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13話+2部2話分までUPしました。上から読めるよう日にちを遡って投稿しています。
2008年06月20日 (金) | 編集 |
本編とR2小説を参考に公式で書かれていない部分を捏造してみました。
感想をいただけると嬉しいです♪
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1・潜入
2008年06月14日 (土) | 編集 |
「は?」

日頃めったに感情を表さない少年が意外そうな表情を作る。

「潜入工作・・・。僕に出来るでしょうか?僕は親も兄弟もいないし・・・。」

僕は通信相手の上官に思ったままを述べてみた。
僕のこれまでの仕事は単純な暗殺だった。
潜入工作をやったこともあるがせいぜい変装して一時的に近づくぐらい。
ずいぶんと畑違いの仕事が回ってきたものだ。

「君に潜入工作の仕事がほとんど無かったことは知っている。しかし今回のターゲットはあのゼロだ。
エリア11の悪魔と呼ばれた男だ。」

ゼロ・・・。
残忍な戦い方と狡猾な手口で十数万のブリタニア正規軍と皇族二人を殺した悪魔のような男。
ブリタニア本国でも有名な話だ。しかし・・・。

「ゼロは死んだと聞きましたが・・・?」

「ああ、公式発表ではな。しかしあの魔女C.Cをおびき寄せるための餌として使えると陛下が判断されたのだ。陛下のギアスによって今あの男は記憶を書き換えられゼロであることも、皇族であったことも家族のことも忘れただ人として暮らすことになる。」

「じゃあ、僕でなくても・・・。」

「いや、C.Cと接触すれば記憶はおそらく戻る。そのときあの悪魔のような男に対応できるのはおまえしかいない。同じ悪魔のな。」

そう、僕はここでは悪魔と呼ばれている。
ギアスのことを知る人間からも知らない人間からも。
その通り名は正しいようにも思う。
僕は多分人間ではない。僕と同じ時間を生きるものは誰もいない。

人は誰かのために生きるから人なのだと言った奴もいたが、家族の顔も本当の誕生日すら知らない暗殺だけがとりえの僕にそんな人はもちろんいない。


暗殺の仕事であればどんな人間だろうと、どんな場所であろうとターゲットを仕留めてきた。
僕にはギアスという人には持ち得ない武器がある。

物心付いたときから当たり前のように人を殺してきた。
歯を磨くように。食事をするように。人形のように。

人を殺すことだけが日常。僕の存在理由。
別に人を殺すのが好きなわけじゃない。かといって嫌いというわけでもない。
ただ、任務に失敗するような役立たずであればブリタニアは僕を簡単に始末するだろう。

実際ブリタニアはそういう国だ。
国に忠実に使えた高名な騎士でさえ利用価値が無くなれば始末されていた。
そう・・・そんな仕事を何回もした。
チームの手引きにより進入し、時間をとめて銃で撃つ。
勇猛と名高い騎士でさえ悲鳴も上げずに事切れた。

別にかわいそうだとか、そんな気持ちにはならなかった。
なった事が無かった。
ただ何となく『アレは僕の未来の姿なのだろう』と淡々と思った。

暗殺率100パーセントの僕をブリタニアは大切にしてくれた。
食べるものも着るものも寝る場所にも不自由しない。
気に食わない同僚を殺しても別にとがめられることは無かった。

初めて同僚を殺したのは12歳のときだったか・・・いや、もっと前だったかもしれない。

「お前みたいな悪魔は家族も友も得られず・・・想う事も想われることも無く死んでいくのさ。」

僕に向かって奴はそういった。
小さな子供の僕がが奴より上位にいて大切に扱われていたのが腹ただしかったのかもしれない。
何かと言うと絡んできた。
でも僕は人とかかわることが苦手で、とても怖くて、そんな風に言われてもただうつむくことしか出来なかった。

それに気を良くした奴が更に続ける。

「でも、俺は違う。確かに暗殺の仕事をしてるが俺には想う奴もいるし想ってくれる人もいる。」

その男は胸元からペンダントを開いて仲良く映っている家族の写真を見せた。
その瞬間心の中で何かが切れた。

気がつくと男は死んでいた。
開いたままのペンダントは血だまりで薄汚く汚れたけれど、赤く染まった写真の中の家族とやらは仲良さげに笑ったままだった。
それが無性に癇に障って僕はそのペンダントを踏み潰した。

僕はあの時確かに悲しかった。
悲しかったと思いたい。その頃は誰になんと言われようと僕も人間だと思っていたから。
でも悪魔の瞳から涙は一滴も出なかった。
それから先は自分でも自分の事を人間とは思わなくなった。

そんな僕に弟役が務まるようには思えなかったが、僕は引き受けた。
役立たずにはなりたくなかったし、悪魔といわれたゼロの弟ならできそうな気もした。





でもそれは大いなる勘違いだった。

目を覚ましたルルーシュ・・・兄さんに優しく

「熱は下がったの?心配したんだよ。」

というのが最初のセリフとされていた。

でも演技なんかしたことのない僕のセリフは大根役者の足元にも及ばない棒読みで、隠しカメラで見ていた機情メンバーはいっせいに机に突っ伏したという。

目覚めた兄さんは「どうしたんだロロ!・・・大丈夫、俺が付いているから気をしっかりもつんだぞ!!」と言うなりがしっと僕を抱きしめ、真っ青な顔をしてふらふらと立ち上がった。
そして電話を手にすると学校の担任にかけ始めた。

「もしもし!!うちのロロが大変なんです!!あんなロロは見たことがありません!!いじめにあっているに違いありません!!早急に調べてください!!!!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

予想の範疇を限りなく超えた兄となった人物の行動に僕はただあんぐりと口をあけて点になった目で見つめていた。

資料にはただ一人の妹を溺愛する兄だと書いてあった。

だけど僕は信じちゃいなかった。
悪魔が妹を溺愛するわけ無いだろう。ボンクラどもめ。どこに目をつけて情報収集しているんだ。
これだから無能な奴らは使えない。

悪魔に愛なんてない。必要ない。



僕の前に始めて引き出されてきた兄さんを見たとき、少し嬉しかった。
この人がゼロ。僕と同じくギアスを持つ男。
親友に売られ、父親である皇帝に道具として扱われ、母親は惨殺されたという。
素敵だね。悪魔に相応しい経歴じゃないか。


眠ったままの能面のような顔は恐ろしく美しく感じられた。
たくさんの人の血と怨嗟にまみれてきたゼロ。

裏切りと絶望の中で苦しんで生きてきたゼロ。
あなたを愛する人は誰もいず、あなたも誰も愛さない。

きっと氷のような瞳と共に目覚めるのだと思うと自分らしくも無くわくわくした。


妹に対する愛情は世間を欺くためのものであり、本物であるとはとても思えなかった。
僕も長年悪魔と呼ばれてきたけれど、食事をするように人間を殺してきたけれど、さすがに十数万にんは殺しちゃいない。
一日あたり2~3人。仕事の入らない日もあるからせいぜい5千人程度だろうか?
ゼロに比べたら可愛いものだ。

だからゼロは僕よりもっと冷酷で氷のような心を持っていなければならないはずだ。
それなのに目の前のこの男は僕を心配してあたふたと取り乱している。
何なんだこいつは。何て見苦しいんだ。
僕の頭の中で作った真実のゼロ像がガラガラと音を立てて崩れていく。
でも悪夢はこれで終わらなかった。


続きは2で・・・。

2008年06月11日 (水) | 編集 |
気持ち悪い・・・。

ビレッタが小柄で優しげな紫の瞳を持つ少年と初めて対面した時の感想がそれだった。
地下にある機情の本部。
そこに現れた暗殺のプロというのには不似合いな容姿。


写真で見たときはこんな儚げで華奢な少年に任務が務まるのか、と危惧したが、会ってみると写真の印象とは全然違う。

ただ、ただ、気持ちが悪い。
少年が当然のようにまとっている狂気と殺気。
それは戦場で過ごすことの多かったビレッタをおびえさせる程の暗くどろどろとした負の空気だった。

およそ感情というものを映さない瞳。
機械とでも話しているのではないかと錯覚する淡々とした口ぶり。

この少年は自分という人間と話していない。
ビレッタはすぐそう気が付いた。

一瞬後には肉隗になるかもしれないただのモノと話しているのだ。
機情メンバーから聞いたあの話。

「味方「殺しのロロ」

任務の妨げとなると判断された同僚を一言の訳も聞かず哀れみもかけず彼は殺すのだという。
その中には殺されるに値しないほんの些細な罪とも言えない理由のものも多くいる。
それでも彼がとがめられないのはひとえにその能力の高さゆえである。

暗殺率100セントという通常ではありえない業績を誇るロロには帝国からさまざまな特権が与えられている。
たとえば・・・今は上司という立場の自分を殺したとてそれが任務遂行の手段であれば何の罪にも問われない。
ブリタニアという国は元々そういう国ではあるが、光の当たらない場所での仕事はその方針がもっと顕著に現れる。
今すぐ逃げ出したい衝動にかられるがそうもいかない。
逃げ出しても処分されるだけ。

特にビレッタはギアスの存在を知ってしまった。
単に任務をこなすだけではこの仕事が終わった後始末されるような気さえしていた。
始末されないためには自分が役に立つ人間だと上に認めさせ、任務を与え続けられるよう信頼を勝ち取らねばならない。
仕事を組む相手が気持ち悪かろうと何だろうと上手くやり遂げなければ明日はないのだ。
ビレッタは相手に気づかれないようそっとため息をついた。

戦場で戦っているときは良かった。
命のやり取りをする毎日で、手のかかる上司もいて大変だったがこんな所でびくびくしながら仕事をするより未来があった。
いずれは出世して貴族になって・・・。
そうしたらもっと幸せがつかめるような気がした。
でも、実際爵位をもらっても幸せだとも嬉しいとも感じることが出来なかった。
ただ今日から、保身のために面白くもない仕事をする毎日が待っている。
こんな死神と一緒に。

「記憶を失う前の私、本当に幸せだったんでしょうか・・・?」

以前わけもわからずに自分が言った言葉。

イレブンなどとこの私が・・・。ありえない。幸せだったはずがない。
あのときの私は記憶がなかった。
だからあんなことを・・・。


そしてふと思いをはせる。
正面に大きく映し出されたこれから餌として監視する少年を。


記憶を失ったゼロ。
彼は今どういう気持ちなのだろう。

母を失った悲しみもなく。
目と足が不自由な妹は健康な弟に摩り替わり(心は病んでそうだが)
元皇族という重い枷もはずされて、偽者の世界の中で彼は今自由になったのではないか。
そんな気がしてならなかった。

3
2008年06月10日 (火) | 編集 |
ホカホカと湯気の立つ手の込んだ夕食を見つめてロロははー・・・っと深いため息をついた。

「どど・・・どうしたんだ!ため息なんかついて。お前の好物ばかり作ったのに。」

目の前の兄という立場の人がおろおろと自分を見つめる。
いけない。
任務、任務。

「なんでもないよ。」
そう言って精一杯にっこり笑ってみる。
まあ、僕は役者じゃないから上手く笑えたかどうか自信はないけれどね。

ため息をついたのはゼロがあまりにもニコニコしているから。

この人に実際会うまで僕はゼロがこんな明るい人だとは思っていなかった。
僕は心のそこからがっかりした。
絶望的にがっかりした。

綺麗な顔に冷笑をたたえ、人を人とも思わず、血も涙もない。
そういう僕にとっての理想像をひそかに作り上げていたのにこれはいったい何なのだろう。


僕はずっと一人だった。
ギアスという人の理から外れた力を持ち、人の世界からはじかれた。
ゼロもそうでなければならないと思っていた。

彼の弟として静かで冷え冷えとした無機質な暮らしをするはずだった。
冷淡な彼は弟に対しても冷ややかで、会話も最低限。
モノを見るような目で見つめられ肉親といえど利用するために一緒に住まわすだけ。

外に出ればうそ寒い兄弟ごっこ。
お互い騙しあい、相手を利用しつくして最後は僕が彼を殺す。僕の鏡のような存在を。

最初は気乗りしてなかった任務だけれど、いろいろ想像していくうちに心が躍った。
任務を楽しみだと思ったことは初めてだった。
どうやってゼロを殺そうか。

本当に楽しみにしていたのに。
ああそれなのに・・・。

初めて食べる家族の手作りの食事を不覚にも美味しいと思ってしまった。
今まで味なんて気にしたことがなかった。
一人で食べる栄養のバランスだけを考えられた食事。
複数で食べることもあったが、僕は会話に加わることはなかった。
向けられるのは恐れや嫉妬、さげすみの視線。
それだけ。
今はあれこれたわいもないことを話しながら敵意のカケラもない男と食べている。
これは自分的にはちょっとまずい状況だ。
元々演技に長けているとはいえない僕だからどうしても返答もぎこちなくなるし、学校生活にも家族にも慣れていないので戸惑ってしまう。
まだ1日もたっていないのになんだか凄く疲れた。
こんなに人と長く話した記憶もないし、なれないことは本当に疲れる。暗殺なら食事をするように自然に出来るのに。

それでもルルーシュは時折心配そうなまなざしを向けるだけでずっとニコニコ笑っていた。
そして、
「疲れてるんだな?俺の看病で寝られなかったんじゃないか?」
と言って目を細め、僕の髪をくしゃりとなでる。

僕はビックリして飛び上がりそうになったけれど、何とか我慢した。
触れられるのは好きじゃない。
僕に触れてくる人もまずいない。

僕が人に触れることもない。
僕が知っている人の感触はナイフを通した切り裂くときの感触か至近距離で撃ち殺したときの返り血の生暖かさだけ。
そうそう、死体の処理を自分でしなければならないときもあるけれど、教わったとおり手早く機械的に処理するだけ。

だから生きてる人間の暖かさが気持ち悪くて身をすくめた。
その瞬間ルルーシュはなんだか傷ついたような
悲しそうな顔をした。

演技では絶対に出来ない顔。
何故かその顔に心が痛んだ。



4
2008年06月09日 (月) | 編集 |
いったいアイツは何をやっているんだ!!
ビレッタは己の手をぐっと握り締めて叫びだしたいのを我慢した。

「ニイサン ネツハ モウダイジョウブ?」

ロボットじゃないんだからアレはないだろう!!!!
感情がほとんどないのは知っていたが、16年も生きてきて、アレはちょっとひどすぎる。
むか~し、いとこの幼稚園の学芸会に行ったことがあるが園児の端役レベルより更に下だ。

「頼むぞロロ・・・。」
機情に与えられた任務が成功するか否かはロロにかかっているといってよい。

ロロ以外は潜入工作になれたそれなりの芝居が出来る工作員ばかりを集めている。
ビレッタは・・・体育教師という設定だが、運動神経には自信があるし学生時代は運動部に入っていたから体育会系のノリは理解している。

それに何より陰気なこの機情本部で鬱々と覗きまがいのことをやっているより太陽のもと学生たちを叱り飛ばしながら体を動かす方がいいので実はそう嫌ではない。

とはいえ任務は絶対だ。覗きまがいだろうが、ストーカー行為だろうが徹底してやらねばならない。
ロロの失敗はビレッタを含めた全員の失敗。
いや、この本部を統括する自分の責はその中でも最も重い。下手をすればそのまま処刑だ。

戦場で死ぬ覚悟は出来ていたけれどひそかに闇に葬られたり、無能者として国家に処刑されるのは流石にぞっとする。

しかしいやな想像が駆け巡った後予想外のことが起こった。
ロロの棒読みのセリフに反応して画面の中の黒髪の少年はロロを疑いもせずがばっと抱き寄せたのだ。
そして何か叫ぶと電話をかけにいった。

電話はすべて盗聴できる。早速スイッチを切り替える。

「もしもし!!うちのロロが大変なんです!!あんなロロは見たことがありません!!いじめにあっているに違いありません!!早急に調べてください!!!!!」



「・・・・・・・・・・・・・・・。」


予想の範疇を限りなく超えたもとゼロであった人物の行動にビレッタはただあんぐりと口をあけて点になった目で見つめていた。

ふと我に返ると、あの無表情の少年・ロロはビレッタよりも更に馬鹿面でほうけていた。

資料には書いてあったがなんというシスコン・・・いや、ブラコンか。
ゼロという仮面の下にまさかこんな幼い顔が隠れていようとは。

でもそう、私にはなんだか解る。
かく言う私も昔はちいさい弟が可愛くてたまらなかった。

私と違っておとなしい性格だったのでよくいじめられて帰ってきたが、そのたび弟をいじめていた奴をとっちめに行っていたっけ。
もう弟はとっくに大きくなって私を昔のように必要としなくなったが、今でもやっぱり弟は可愛い。

なるほど、素はこうゆう奴なのか。
・・・とすると少々気の毒だな。可憐であったという妹と真逆の弟なんかを派遣されて。

だけどルルーシュは気がつかないのだろうか?
あんなに気持ちのわるい気を発し続けているあの少年を弟だと思えるのだろうか?

でもその心配はすぐ打ち消された。
ルルーシュはただのブラコンではなかった。
超がつくほどの筋金入りのブラコンだった。

あのロロが圧倒されている。
目をぱちくりと瞬き、信じられないという表情で固まってはいたが画面からはあの気持ちの悪い殺気が消えていた。

そのあともルルーシュのちょっと普通の兄ではありえないような愛情の嵐に驚愕の表情を浮かべることはあっても殺気など微塵も感じることはなかった。



ゼロの仮面をかぶっていた少年。
もっと恐ろしげなイメージがあったが楽しそうに、嬉しそうにロロに話しかける。
その幸せそうな顔を見るとビレッタはなんだか胸が痛くなった。

ゼロであった頃の少年は果たして幸せだったのだろうか。

黒の騎士団を引き連れギアスという人の理から外れる武器一つを携え修羅の道を行く。
イレブンたちの英雄。
ブリタニアにとっての大罪人。
全ての罪と責任をこの細い肩にしょって力の限り反逆した。
おそらく、これしか道はないのだと自分を追い込んで。

胸が痛む・・・。
優しく穏やかに微笑むその姿はビレッタが知るただ一人のイレブンを思い起こさせた。
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