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夢を見せて
2008年07月12日 (土) | 編集 |
「ねえ、兄さん、僕にギアスをかけて欲しいんだけど、駄目かな?」

料理の仕上げをしていた兄さんは驚いた顔をして振り向いた。

「必要ないだろう?何故俺がお前にギアスをかけなければならないんだ?」

「だって、僕は兄さんを裏切るかもしれないし、そうなったら困るでしょ?」

見上げてそう言えば、兄さんは苦笑して「裏切らないさ。」と言う。


まあ、兄さんは立場上、そう言うしかないのかな?
一度僕にギアスを掛けようとして失敗してるし、慎重な兄さんは危ない橋は渡らない。

だからギアスをかける代わりに、兄さんは僕に優しい言葉をかけ続ける。
情で僕を縛り付けておくために。

でもね、僕は情で縛り付けられたいわけじゃない。
だって情の鎖はとても苦しい。

息が出来なくなるほどギリギリと僕を締め付けて苦しいんだ。

兄さんのそばにいたいのに。その声をいつまでも聞いていたいのに。
優しくされればされるほど、記憶が戻る前の兄さんを思い出し苦しくなる。

いっそ今すぐ殺して欲しいと思う程。

でも、兄さんが役に立つ僕を簡単に殺してくれるとは思わない。
いつか来る最後の日まで、僕はこうやって苦しみ続けるんだ。

だから、早く終わりにしたい。




「・・・きっと裏切るよ。兄さんを裏切る。それでも僕にギアスをかけない?
今なら僕は抵抗しないよ。信じられないなら僕の両手を縛ってからかけるといい。僕のギアスは物理現象には効かないから。」

そう言うと、僕は両腕を重ねて差し出し、兄さんの目をじっと見つめた。
その、悪魔の瞳を。

「どんなギアスをかけてもいいよ。
兄さんの盾となって死ねと命じてもいいし、どんな危険な命令にも従うように言ったっていいんだ。
だから・・・僕にギアスをかけて。お願いだから・・・。」


そう、僕は嘘かもしれない情より、もっと確かなギアスの命令が欲しい。
絶対尊守の力。その力で僕を縛り付けて欲しい。
それはとても楽で魅惑的なことのように僕には思えた。

ギアスさえかけてもらえれば、僕はもう兄さんを疑わなくてすむ。
その優しさの一つ一つに心をえぐられる事もなくなる。
大好きな兄さんの人形となって、苦しさからも嬉しさからも開放され、便利な道具となれるのだ。
なんて幸せな事だろう。


そう僕は、ギアスに自由意志を奪われたい。
元の機械のような僕に戻りたい。
それだけが兄さんのそばにいても苦しまない唯一の方法だから。


美しい紫の瞳から赤い鳥が羽ばたけば、僕の苦しみは終わる。



兄さんと見つめあい、どれ程の時が流れたろう。

「ロロ・・・。」

僕を覗き込むその瞳に期待する。




「俺は、かけない。お前だけは、絶対俺を裏切らないから。」

ゆるぎない言葉。


どうして?

他の人間にはかけてあげるのに、どうして?

早く終わりにしたいのに。


兄さんの真っ直ぐな瞳が僕に突き刺さる。思わず信じてしまいそうになるその強さ。

でも、僕は信じないよ。



兄さんは裏切り、裏切られる汚い世界を見てきたはずだ。

親友にさえ裏切られたんでしょ。

その人のこと、僕なんかよりずっと信じていたんでしょ?

その人は、兄さんに優しかったんでしょ?

兄さんを騙したりしてなかったでしょ?

それでも、最後は兄さんを売ったんだ。

今更僕なんかを信じるわけがないじゃないか。



なのに聞いてしまう僕は、きっとおろかなのだろう。
嘘の答えしか返ってこないのに。

「・・・兄さんは・・・・・・今も、僕を信じてる?」

「当たり前だろう。」

即答する兄さんの顔はとっても優しい。

「お前は、俺を信じてないのか?俺と共に未来をつかむのだろう?」

言って兄さんはじっと僕の目を見つめ返す。


信じたい。信じてると言いたい。心から。

でも、それは夢のような話。

幸せな未来へ飛べるわけないと思う、普通…。



僕は何千人もの不幸な結末を見てきたよ。

だって僕は死神だから。

良い人の命も、悪い人の命もこの手で摘み取ってきた。

そこに幸せな未来など無かった。

彼らにも、僕にも。






「・・・。ごめんね。僕は兄さんを信じていない。だって僕は死神で、本当の弟じゃないから。」

そういうと、兄さんはハッとしたような顔をし悲しそうに瞳を伏せた。

「そうか・・・。本当の弟のように思っていたのは俺だけなのか。」

悲しそうな兄さんの顔を見ると信じてしまいそうになる。
でも、普通に考えて、1年もの間騙していた上、たった一人の妹をさらった者たちの仲間だった僕をそう簡単に許せるだろうか。

兄さんは僕が、殺し屋だった事さえ知っている。

僕が憎くは無いのだろうか。

恐ろしくは無いのだろうか。

僕がブリタニアを裏切ってみせたように、今度は兄さんを裏切るとは思わないのだろうか。

眠っている間に殺されるとは思わないのだろうか。

食事に毒を入れられるとは思わないのだろうか。

ずっと、ずっと殺ししかやってこなかった僕の中の何を信じていると言うのだろうか。

もしも僕に信じてもらえるだけの確かな何かがあったなら。
たった一つでもあったなら、僕はギアスなどに頼らず、喜んで兄さんを信じ、その手を取っただろう。

でも、僕には何一つ無い。

あるのはこの血にまみれた両手だけ。




「それでもお前は、俺の大事な弟だよ。」

そういって兄さんは縛ってもらうために差し出した僕の両手をそっととり、見詰め合っていた顔を更に近づける。

僕を優しく追い詰める紫の瞳がすごく怖ろしい。


後ずさる僕の頬を兄さんは暖かい手で包み込んだ。


「俺はお前に騙されていたかもしれないが、それでもお前を弟と信じ、心の底から可愛がった。

お前は俺を騙していたかもしれないが、あの1年が嘘じゃなかったと思うから俺の元に来たのだろう?

それでいいじゃないか。」




そう、あの一年は本当に楽しかった。

僕は兄さんを騙していたけれど、兄さんはそんな僕を愛してくれた。
本当に、本当に、心の底から愛してくれた。

宿題を教えてくれたり、一緒に遊びに出かけたり、他の人には向けないような笑顔を僕にだけは見せてくれた。

乗馬を教えてくれた事もあった。馬はいい人と悪い人が分かるって聞いたことがあったから、本当は近づきたくも無かったけれど、無理やり引っ張っていかれて乗せられた。
馬にまつわるその話は嘘だったようで、馬は僕をすんなり乗せてくれた。
とても不思議で嬉しい気持ちがした。

一緒に料理もした。シーツでふざけあった事もある。

今となっては夢のようで、本当にそんな事があったのかどうかさえ分からなくなってきたけど。


「お前の幸せな未来を俺が作ってやると言ったろ?

 信じろ。」

そう言って兄さんは僕の頭を抱え込むようにして抱いてくれた。
まるで、記憶が戻る前のように。

僕が不安そうな顔をしていると、兄さんはいつもそうしてくれた。



『怖がっている人にはこれが一番効くんだよ』

って言ってたっけ。



『誰に教わったのかは思い出せないけれど・・・。』

そう言いながら。


信じてもいいのだろうか、この人を。


騙されてもいいと思ってこの人の側に来た。
どの道僕はこの人から離れる事はできない。
殺す事も出来ない。

騙されて使われて、捨てられるのはもう平気。
だって僕もこの人を騙してきたのだから。

でも信じるのは怖い。

何の希望も持たず生きてきた僕が、それを手に入れた後、打ち砕かれるのだけは怖い。



「怖くないよ」

兄さんが僕を抱きしめ、やさしく言う。

「信じてごらん。俺はお前だけは裏切らない。」

その手が僕の髪をあやすようになでていく。

「お前に嘘はつかないよ。」

その言葉はきっと嘘だと思いながら、僕は信じたくて目を閉じる。


兄さんはきっと僕を裏切る。

でももし・・・もしも奇跡が起こって来年も僕が生きていて、兄さんと一緒にいられたなら僕はもう一度ねだってみよう。

『ギアスを掛けて欲しい』と。

『お前は本当の弟だった。
小さいときにさらわれて別れ別れになっただけの本当の弟なんだ』

そんなふうに、記憶を作り変えてほしいと。

嘘でもいいんだ。嘘でも。

使われても殺されても騙されても、僕は兄さんが大好き。

最後の一息まできっと大好き。





「幸せな未来』へ飛べるわけないと思う、普通…。


でも、夢を見させてくれるなら、僕はこの温かい腕のなかで眠ろうと思う。
今まで、夢すら見ることを許されなかったこの身なのだから。




本当は明るい幸せロロを書こうと思ったのですが、某アニメ誌に載っていたらしい

「幸せな未来へ飛べるわけないと思う、普通…」

という、悲しいロロのセリフが引っかかって書けませんでした。


これは5話ぐらいの後の話なのですが、その後ルルーシュにころっと騙されて、彼を信じてげらげら笑いながら、ヴィレッタ先生にからかわれ、咲世子に追い掛け回されながら楽しく暮らしていたと信じています。

ルルーシュも、シャーリーの件の前までは、自分と似た境遇にあって、しかも一途なロロを心から可愛がっていたと思います。
ロロ、頑張れ!!
落ちる所まで落ちたら、後は這い上がるのみなのよ。

ルルーシュは悪人だけど、彼も同じような思いをしてきた人間。

底を知っている人間は優しくも強くもなれるから、たっぷり勉強してきてください。
そのさい、うっかり死んだりだけは、絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に駄目ですよ!!!

小説は急いで書いたので後で加筆修正するかもしれません 
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夢を見させて・コメディーバージョン
2008年07月12日 (土) | 編集 |
「ロロ?コレはなんだ?」

ヴィレッタ先生が、僕の部屋でつぶやく。
忙しい兄さんの代わりに僕と打ち合わせることになっていたので今は二人とも僕の自室にいる。
指差した場所には、過ぎた日に赤く×が並べてあるカレンダーがある。

「ああ、印をつけているんです。生き残った日に×をつけて。
どうせ僕が死んでも、悲しんでくれる人も、覚えていてくれる人もいないから、せめてここにいったって証拠を残しておこうと思って。」

「は?」

ヴィレッタ先生があきれたように僕を見る。

「何だそれは。お前はブリタニアを裏切って、更に私にまで裏切らせ、兄馬鹿ルルーシュと前よりもラブラブに過ごしているのに、幸せじゃないのか?」

「幸せ?あんなの、演技ですよ。兄さんは、僕を情で縛っておきたいだけです。
ヴィレッタ先生だって、記憶が戻ったら兄さんは僕を憎むようになるって言ったじゃないですか。
おっしゃる通り、僕は憎まれているみたいですよ。すごくね。」



「ふ~ん、憎まれる、ねぇ・・・・・・・・・ああ!」

ヴィレッタ先生は少し考えてポンと手を打った。

「言った!そういえば、憎むようになるかもって言った!」

「・・・・・そういえば? 自分の言ったこと、忘れてたんですか?

おかげで僕は毎日毎日毎日毎日毎日、24時間夢の中まで悩んでいたと言うのに!!!」

「すまん。お前らをモニターで見てると面白くってつい忘れていた。」

「面白い?こんなに悩んでる僕のどこが面白いって言うんですか!!!」

「面白いじゃないか。まず、どっぷり暗くなっているお前に円形脱毛症が何日で出来るか予想してカレンダーに3つ丸をつけている。

3つのうち、一つでも当たったら、自分へのご褒美に、プラダの財布を買おうと思っている。」


「・・・・・・は?」

何今の言葉、僕の聞き違い?

いや、確かに言った。


「なんで僕の円形脱毛と先生のお祝いがリンクしなきゃいけないんですか!

だいたい、何で僕が円形脱毛症にならなきゃいけないんですか!」

思わず僕らしくも無く怒鳴ってしまうが、ヴィレッタ先生はかまわずフフン、と笑う。


「根拠はある。お前は元々髪が薄い。悩みすぎていずれハゲるタイプだ。」

「ハゲる・・・僕が・・・ハゲる・・・タイプ!?」

「そうとも、私も伊達に軍に勤めていたわけではない。
軍にはさまざまな人間がいる。お前のように若いのから、おっさんまで、そりゃあもうさまざまだ。

そうすると、かならずいるんだよ。悩みすぎてハゲていく奴が。
軍属と言えばブリタニアでは華々しい職業だし優遇もされる。
しかし、華々しい部分ばかりではない。
実際は必要とあらば人殺しもせねばならない。

悩んで悩んで、それでも軍隊を辞められずに大体はハゲの道を行くのだ。」

「ハゲの道を・・・。」

なんて嫌な道だろう。ロード オブ ハゲ。
は!いけない!!さりげなく英訳している場合じゃない!!
僕の髪は大丈夫なんだろうか?

ここのところ、悩んで悩んで、悩みまくった。
禿げると知っていたら、適当な所で切り上げて、適当に悩んで済ませたのに!

あれ?
僕の悩みってハゲより軽かったっけ?

「ちょっと、頭を見せてみろ。」

元々の悩みに戻ろうとしたとき、ヴィレッタ先生が、僕の頭を引き寄せる。
そしてくしゃくしゃかき回す。

「や、やめてください!!何するんですか!!!」

驚いて飛びのくと、ヴィレッタ先生が、にやりと笑う。

「ふ~ん、そんな事を言っていいのか?
せっかく、まだ大きくなってないハゲを見つけてやろうと思ったのに。」

「ハゲ、ハゲ、言わないでください。ありませんから、そんなもの。」

「いやある!絶対ある!そしてお前はまだ小さなハゲの恐ろしさを知らんのだ。」

「ハゲの・・・恐ろしさ?」


もうこれ以上聞きたくないのに、つい聞いてしまう。


「そう。ハゲはまず頭上からやってくる。間違いない。」

「頭上から・・・。」

「その次は額だ!」

言われて思わず額を押さえる。

そういえば、額がすこーし広くなったような・・・。

「ハゲを甘く見た奴らは、1年ほどの間に、哀れなほど少なくなって、ひどい奴はつるつるになる!」

「つ・・・つるつるに・・・!!」

やばい。やばすぎる。
なんだかもう、兄さんの事で悩んでる場合じゃない気がする。
まず、僕の髪の心配をしなくちゃ!!


「先生!どうしたらいいんですか!!ハゲに詳しい先生なら、どうしたらつるつるにならならずにすむか知っているんでしょ!?」

「もちろん知っている。私はハゲの専門家だからな。よし、お前を弟子にしてやろう。財布をもって付いて来い!!」

力強く言ってヴィレッタ先生は僕を促す。

「財布・・・ですか。」

「ああ、ハゲに効くとっておきの薬が置いてある店に連れてってやる。」

「はあ・・・。」

ハゲの薬。僕とは無縁のものだと思っていたけれど、16歳にして、そんなもののお世話になるのか。


ずっと昔から僕は、『幸せな未来へ飛べるわけない』と思っていた。

だけどまさか、ハゲの世界に飛んでいくとまでは思わなかった。

もう、兄さんに騙されてるかも知れないとか、本当にどうでもいい。

これから僕はハゲの世界でハゲの心配だけをして暮らすんだから。



「着いたぞ。」

先生が連れてきた店は、どう見ても薬局ではなかった。

「あの・・・・・・ルイ・ヴィトンって書いているような気がするんですけど、本当にここにハゲの薬があるんですか・・・?」

「あるわけないだろう。お前は本当に常識を知らんな。ココで買うのはコレだ!!!」

言って先生は、小さめの、でも、値段だけはとてつもなく高いバックを手に取った。

「・・・分かりました。じゃあ、僕ここで待ってますから、さっさと買ってきてください。」

「何を言っているんだ!買うのはお前だ!!」

「え・・・?だって、こんな女物のバック、僕は使いませんよ。兄さんのプレゼントにだって出来そうにないし・・・。」

「わかってないな、お前は。私に弟子入りするんだろう。ハゲの対策を聞きたくば、まず授業料をよこすのが世の常だ。ほんとに常識が無いんだから、全く。」

常識・・・。その言葉に僕はちょっぴり弱い。

一応、普通の人が学校で習うような勉強や、ナイトメアの操縦などは教わってきた。
ただし、僕は表には出られない人間だ。
学校など、普通の人間が行くべき所には一回も行った事がない。

兄さんの弟としてこの学校に来たときも、自分のずれ具合を改めて認識した。
普通の人たちは、意味もなくごく普通に

『イベントだから』

と言って、女装したり、猫の格好をしたり、失恋コンテストをやったりしていた。

僕はそんなことしたことが無かったので、とても驚いたが、兄さん以外はみんな嬉々としてやっていた。
あの空気の読めないと評判のナイトオブセブン様ですら僕より常識があったようで、去年のアルバムを見たら赤いセーラー服を着て、ポーズまでとって嬉しそうに笑ってた。

こういう行事を異常な事とおもってしまう僕はやっぱり常識が足りないらしい。

「わかりました。買わせていただきます。」

僕はバックを受け取って、今の僕の名前で作られたカードで会計を済ませようとした。
そこにヴィレッタ先生が口をはさむ。

「あ、領収書、お願いします。品書きの欄は、そう、白紙で・・・。」

「え!?」

横からしゃしゃり出て、当たり前のように言うヴィレッタ先生を振り返る。

「馬鹿だなお前は、こんなの、経費で出るに決まってるじゃないか。」

ヴィレッタ先生が、僕の袖を引いて、小声でささやく。

「監視している偽者兄貴へのプレゼントとして経費に上げとけばいいんだよ。」

「え・・・でも、そんな事。」

「心配しなくても、バックされてきた金は私が受け取っておいてやる。」

「いえ、そういう心配をしてるわけでは・・・。」


あれ?

僕はなんの心配をしなくちゃいけなかったんだっけ?



「さあ、次だ。行くぞ。」

思い返そうとすると、ヴィレッタ先生に手を引かれた。

今度こそハゲの薬を買いに連れて行ってくれるらしい。

「さあ、ここだ。」



あれ?僕の目の錯覚でなければここは・・・。

「ゲーセンって書いてあるんですけど・・・。」

「ああ。その通りだ。」

「ハゲの薬を買いに連れて行ってくれるんじゃなかったんですか?」

「ああ、その前に、バックの礼をしようと思ってな。あれ、すごく欲しかったんだ。
でも、私が使い込みしてばれるとやばいだろ?
お前は上の覚えもめでたいし、それにもうルルーシュの味方だから横領がばれて首になってもいっこうにかまわないだろ?」

「いえ・・・かまいます。
それに、そういう意味ならヴィレッタ先生だって同じ穴のムジナです。」

「まあ、そんなことはどうでもいい。
ゲーセン、行ったことないって言ってたろ?
お堅い兄貴じゃ連れて行ってもらえないだろうが、結構楽しいぞ?」

「別に楽しくなくていいです。ハゲの薬を売っている店に連れて行ってください。」

「・・・ふ~ん。残念だな。薬に頼るのもいいが、もっと根本的なところを解決しないと、一生薬に頼る事になるぞ。」

「え?薬じゃなくてもハゲを治す事ができるんですか?」

「ああ、出来るとも。ハゲの原因はストレスだ。ストレス解消といったらゲームだろう。」

「わかりました。そんなことでハゲが治るならやらせていただきます。」

「よし、では金を出せ。コインに両替してきてやる。」

「え・・・!?さっきお礼だって・・・!!」

「この店に連れてきてやったのが礼だ。お前のために来たのだから、お前が出すのが当然だ。
そんなことも分からないのか、常識の無い奴め。」

「はあ・・・。そういうものですか・・・。」

僕は渋々財布から紙幣を抜き取ってヴィレッタ先生に渡す。

別に僕はけちじゃない。
僕は勤労少年なので、一応国から給料が出る。
それも、かなり高額の給料が。

でも、それを使った事はほとんど無かった。

ここに来るまで僕は、外界から隔離された特別な寮に住まわされていたし、衣食もすべてブリタニアが用意してくれた。

使ったと言えば・・・そう、自動販売機で一度だけジュースを買った。
何に対してもあまり興味を持たなかった僕だけど、殺す対象が、自動販売機にコインを入れると、下からコトン・・・と珈琲とかが出てくるのが何だか面白くて、まねしてみたんだ。

その話をヴィレッタ先生にしたら、面白そうに聞いてたっけ。


そんな事を考えているうちに、先生が戻ってきて、僕はハゲを治すべく、必死でゲームをやった。
ナイトメアのシュミレーションとも似ているが、面白さは全然違う。

その後もあの店、この店、さんざん引っ張りまわされて、お金を使わされて、最後にやってきたのはごく普通の、どこにでもありそうな薬局だった。

「ああ、これこれ!」

言って手渡されたのは、

『豊かな髪を取り戻したいあなたへ  やわらかい髪用  薬用シャンプー』

と書いてあるシャンプーだった。

「コレさえあれば、ばっちりだ!!!今日から枕を高くして寝るがいい!!
お前の髪は、明日からふさふさだ!!」

そう言って胸をはる先生が何だかおかしくって、僕は噴出した。

ああ、笑ったのって久しぶりだ。

笑うと言うのはなんて楽しいのだろう。

僕はこの人を好きになればよかった。

そうすれば、毎日笑って過ごせたかもしれない。さんざんたかられて、絞りつくされそうで怖いけど。




買い物が終わるとすっかり暗くなっていた。
もう、いつもの夕食の時間はとっくに過ぎている。
兄さんは心配してるだろうか。

いや、心配なんて・・・。僕なんか、コマの一つだもの。

そう思ってクラブハウスを見ると、人影が会った。

兄さんだ!!

「兄さん!」

急いで走っていくと、兄さんは仁王立ちになって怖い顔で僕を睨んだ。

「遅い!!今何時だと思ってるんだ!!」

そう怒鳴って・・・それから、ふわっと抱きしめてくれた。

「心配した。すごく。すごく。」


これもきっと演技。そう思いながらも心が温かくなる。
僕は何故あんなにおびえていたのだろう。

演技だとしても、兄さんは僕のそばにいてくれて、こうやって抱きしめてくれる。

僕は、兄さんには許してもらえないと勝手に思い込んでいたけれど、初めからやり直せばいいんだ。

僕だって、兄さんに初めて会ったとき、兄さんを殺すつもりだった。
記憶が戻ったら、どうやって殺そうか・・・そんな事ばかり考えていたような気がする。

それなのに今、僕は兄さんが大好きだ。
大好きで、大好きで、涙が出るほど大好きだ。


僕の凍った心を溶かしたのは何だったんだろう。
そう、兄さんの笑顔だ。

どこまでも優しくて、見返りなど一切求めない笑顔。

そして温かい腕。僕の全てを許してくれるようなそのまなざし。



暗殺者だった僕に兄さんと同じような事ができるとは思わない。
でも、諦める必要も無い。

昨日知らなかったことだって、今日は知ってる。

昨日出来なかった事が、明日は出来るかもしれない。


兄さんと一緒にいられる時間が後どれぐらい残っているのか僕には分からない。
でも、泣いて過ごしても、笑って過ごしても一生は一生。

ふてぶてしく笑って過ごす方を僕は選びたい。
そう、あの人のように。


「兄さん、心配かけてごめんね。僕の一生にかかわる、とっても大切な買い物があったんだ。
許してくれる?」

甘えるように言うと、兄さんは「仕方の無い奴だ」と言って頭をなでてくれた。

僕は円形ハゲがばれるんじゃないかと冷や冷やしながらも、ぎゅっと兄さんに抱きついた。

「兄さん大好き!」

しがみつくようにして叫ぶと、兄さんは、一瞬驚いた後、

「俺もだよ。」

と、ささやいてくれた。

その瞳の色は、気のせいかもしれないけど・・・・・・確かに記憶が戻る前のものだった。



嘘から始まった僕らだけど、嘘が本当に変わることもある。
もう一度信じてみよう、心から。

記憶が無かったときの兄さんが、そうやって僕の心を溶かしてくれたように。

信じてみよう・・・心から。




前回どん底にまで落としたので、今回は復活する話を書いてみました。
ロロが一番大好きなのは、兄さんだけど、ロロを引き上げてくれる人は何だかヴィレッタ先生のような気がしてなりません。
公式に沿って話を作ろうと思っているのにどんどん暴走していきます

ちなみにヴィレッタ先生は本当に自分のカレンダーに丸を三つ書いていたわけではありません。
ロロのただならぬ様子を察して即興でプランを組み上げてます。

私の中ではヴィレッタ先生は、イレギュラーにとことん強そうなイメージがあります。

TVが進んでヴィレッタ先生が裏切ったりしたら、困っちゃいますので、是非このまま味方でいてあげてください♪



ロロのカレンダーはその後、×印ではなく、マークが並んでいます。
ここまで書こうと思ったけれど、ダラダラしてしまうのでやめました



ウサギのチャッピー様、拍手コメントありがとうございました。本編でルルーシュがロロにギアスをかけるとしたら、どんな内容になるのでしょう。
何となく、最後までかけないような気もしましたが、スザクにも(致し方なく)かけたことからありえるのかも!?
とりあえず、14話でかけるのは勘弁してほしいと心の底から思います
ウサギのチャッピーさまのところには今、13話派生のお話がたくさんあります。どれもいい話ばかりです。
まだご覧になってない方は是非どうぞ!


浅田 リン様 拍手コメントありがとうございました。
ロロなはぜひその愛でルルの氷った心を溶かして幸せな未来をつかんでほしいですねとありましたが、本当に、切にそう願います。
5時代のアニメらしく、ロロは最後には幸せになってくれなければ!!
ロロに何かあったら思ったよりがっくり来る事が13話で分かったので、私のためにも幸せになってくださいと叫びたい気持ちです!
こちらのサイトは最新作でロロの明るい話を書いてらっしゃいます。
14話の前に、スコーンと明るい話を読んで気力を蓄えてくださいね!とってもお勧めです♪

麻巳様
詳細な感想、ありがとうございます!!作品を書く上でとても参考になります。
また、伝えたかった意図がちゃんと伝わってると思うとすごく嬉しいです♪
どうぞまた、良い所も悪い所もご意見をいただけたら嬉しく思います♪♪

「箱庭」何度か聞いたことがありますが、確かにこんなイメージですね。
改めて聞いてみたいです。
14話に向けて、いろいろ準備されているようです。
何が準備されているか、確かめたい人はこちらにGOです!
お持ち帰りできるものもあるようです♪


ihiro様、バトンありがとうございました!!!
興味しんしんでお待ちしておりました♪
原稿を仕上げなければならないihiro様にこの時期頼んじゃってまずかったかなと思いつつも書いていただいたバトンを何回も何回も読んでしまいました。
ちなみに書きたい話が浮かんだら、そのイメージのイラストが無いか、まずもう一度見返しに行くのがこのサイト様です♪(勝手にスミマセン)テンションが上がって早く書けるもので・・・。
では、お互い14話頑張りましょう!!








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