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兄さんの誕生日
2008年12月05日 (金) | 編集 |
おかしい。

こんなのは絶対おかしい。今日は兄さんの誕生日のはずなのに。

「兄さん、誕生日のお祝い何がいい?」

・・・と聞いてしまったのが間違いだったのだろうか。
まさかこんな無茶苦茶な事を誕生日プレゼントとして要求されるとは。

しかし、誕生日プレゼントをもらったのは一回だけという、いわば誕生日初心者の僕がアレコレ考えるより、兄さんに聞いてから希望のものをあげる方がいいと思ったんだ。

何しろここでは不自由すると言う事がそもそも無い。
だから兄さんが何を欲し、何を望んでいるのかサッパリ解らない。

あ、ココって言うのはあの世の事なんだけどね。僕ら二人とも若い身空で死んじゃったから。

てっきり地獄行きだろうと思ったら、僕も兄さんも天国に行けた。

多分色々と情状酌量があったりたり、減刑嘆願願いが地上の多くの人たちから天に届けられ(つまり、僕らに天国に行って欲しいと思ってくれた?)のではないかと兄さんは言っていた。
さすが兄さん。頭が良い。

そうして僕らは天国の隅の方に二人で住むことを許された。

天国の中心地に行く事は禁止されている。

天国には僕や兄さんが殺してしまった人たちがたくさん来ている。(意外にも。けっこう審査は甘いようだ。)
神様も被害者感情を考えると、流石に堂々と僕らを天国に住まわすわけにはいかなかったようだ。
そういうわけでひっそりと暮らしている僕らだけど、片隅と言えど天国なので、おなかがすけば望みの料理が出てくるし、気候は良いし、不自由する事など全く無い。

こんな状況でプレゼントを考えろ・・・と言われても、僕に思いつくはずが無い。
そこで兄さんに聞いてみたのだが、完全に失敗だった。

「プレゼントは何がいい?」

と聞いて返ってきた答えは、

「1日中お前の世話がしたい。」

・・・だったのだ。

大事な兄さんの願いを僕が断れるわけも無く、思わず頷いてしまったのだけれど、こんなの絶対間違っている。

兄さんの誕生日なのに僕は朝から兄さんに抱っこで起こしてもらい、服を着替えさせてもらい、朝シャンしてもらい、髪を乾かしてもらい、昼は僕の好物を作ってもらい(ここは天国なので心に思っただけで出てくるにもかかわらずだ!)、その後は採寸されて、兄さんは今一生懸命ミシンで僕の服を縫っている。

「あの・・・僕の誕生日じゃなくて、兄さんの誕生日なんだけど・・・・・・・。」

と言っても、

「ああ。俺の誕生日だが?」

と言うばかりでちっとも取り合ってくれない。
僕だって兄さんのために何かしてあげたいのにいつも子供扱いばかりして。
何だか泣けてきちゃうよ。

ミシンをかけている兄さんの横に突っ立って眺めているしか出来ないなんて、何だか惨めだ。
しかも、悲しそうにしている僕の視線に気づくやいなや

「ロロ、すまない。服の仕立てに夢中になって寂しい思いをさせてしまったようだな。少し休憩するからお茶にしよう。」

兄さんはにっこりと微笑んでそう言うと、さっさとキッチンに行ってしまった。

ちょっと待ってよ。
お茶ぐらい言ってくれれば僕が入れるよ。
それともこんな気の利かない弟に任せてはおけないって事?
何だか寂しいな。凄く寂しい。



「ロロ、どうした?浮かない顔をして?」

お茶を一緒に飲みながら兄さんが心配そうに僕の顔を覗き込む。

そりゃ浮かない顔にもなるよと言ってやりたかったけど、僕に出来るのは兄さんに心配をかけないでいることぐらいだから、無理ににっこり笑って「何でもないよ。」と言っておいた。

作業に戻る兄さんをぼんやり眺めながら、僕は兄さんのために出来る事を一生懸命考えた。
でも何も思いつかなかった。

料理は兄さんの足元にも及ばないし、第一、思っただけで兄さん級の美味しい料理が出てきてしまうのだ。
でもそういうのを出してあげても心がこもっていなくて空しいだけだ。

僕は裁縫が出来ないから兄さんのように服も作れないし、本当に何も出来る事がない。

響団では暗殺だけを仕込まれてきた。僕のとりえは暗殺だけ。
他には何にも無い。
なんてくだらない事を仕込んでくれたんだ。
どうせなら、響団の下働きとして料理や裁縫を仕込んでくれたら良かったのに。

もしくは、響団ではなく、サーカス一座にでも拾われれば良かった。
そうしたら玉乗りとか、傘回しとかの一発芸で兄さんを楽しませてあげられるのに。

学園では僕は生徒会に所属していたけれど、こんなことなら合唱部にでも入っておけばよかった。
そうしたら、誕生日の歌ぐらい綺麗な声で歌えただろう。

手品部でも良かったかな?
でも頭のいい兄さんの事だから直ぐに仕掛けを見破っちゃうかな?

そんな事を考えていたら、兄さんが服を仕上げてニコニコしてやってきた。
早速着せてくれたその服は柔らかい色合いの、何箇所も切り替えのある素敵な服だった。

「・・・・・・ありがとう。」


ああでもこの台詞、僕が言うんじゃなくて、兄さんに言ってもらうはずだったのに。

そう、僕の手を取り、抱きしめてくれて、

「お前は世界一の弟だ。もう妹なんかどうでもいい・・・。」

と。ああ、いけない。いけない。ナナリーに対抗意識を燃やすのはもうやめようと決意したはずなのについクセで・・・。



その後も僕は兄さんにかまい倒され、世話をやかれ続け、夕食なんか、兄さんに食べさせてもらってしまった。

これが僕の誕生日であれば嬉しさのあまり気を失いそうだが、兄さんの誕生日にこれ・・・と言うのは空しすぎる。


はぁ。
とうとう一日が終ってしまう。
僕は兄さんに何もしてあげられなかった。

一方兄さんは自分の誕生日だと言うのに僕の世話ばかりして、ろくに座る暇もなかったはずだ。
ごめんね。兄さん。あなたにプレゼント一つあげられない情けない弟で。

お休みのキスをしてもらって、とうとう涙がこぼれてしまった。
それはどうしても止まらなかった。
僕に出来るのは心配をかけないでおく事ぐらいなのに。

役立たずな自分が悔しくて、悲しくて涙が止まらない。

「す、すまん!!そんなに嫌だったか、世話をやかれるのは・・・。」

兄さんがあわあわして僕を抱きしめてくれる。

「・・・そうじゃないよ。僕は兄さんの役に立てないんだなぁと思うと悲しくなっちゃったんだ。」

せめて情けない泣き顔を見られないよう兄さんにすがり付いて顔を隠す。

「馬鹿だなぁ・・・。役に立っているよ。今日は楽しかった。本当に。
天国はいいところだけど何もしなくても生活していけるというのは落ち着かなくて。
今日は昔みたいに忙しくお前の世話を出来て楽しかったよ。」

兄さんはそう言うと、本当に嬉しそうに満ち足りた笑顔を浮かべた。

・・・いや、昔だってここまではしてもらって無かったよ。
よっぽど世話がしたくてうずうずしてたんだね・・・・・・・。



でも、そうだったんだ。
確かにそうだね。
ここは何でも手に入るし何の不自由も無い。
二人で心穏やかに暮らせて最高なはずなのに、何か物足りないと言う気持ちは僕にもあった。

ここでは成長と言うものがない。
変化というものもない。

苦労する事も、足りないものも無いので努力する事も無くなった。

昔は苦労する事だらけだったけど、兄さんと二人でする全ての事がもっと楽しかった。

「・・・・・・ねぇ兄さん。僕ら、そろそろ生まれ変わろうか?」

下界で様々な困難に合いながらも良い行いをしてきたものは天国に召される。
そこで傷を癒してまた生まれ変わる。

何故天国にいながらまた困難な事が待っている地上に降りたいのか昔の僕には想像も出来なかったけれど、今ならわかる。
満ち足りている事だけが全てではないのだ。

「そうだな。お前がそれでいいなら、俺も生まれ変わりたい。」

兄さんがにっこりと笑っていった。

・・・やっと、兄さんのためになる事をできたのかな?僕。



僕らは早速神様の所に行って生まれ変わり希望の申請を出した。

条件欄には

①二人兄弟として一緒に暮らせる。

②人の役に立つ生涯を送りたい。

③なるべく足りないものの多い生活がしたい。

と書いて出した。


神様は

「あれだけ苦労の多い幸薄い人生を送ったのだから、もっと望んでも良いのに。」

と首をひねっていたけれど、やがて納得したように僕と兄さんを見た。

「そう言えばお前たちは前も人の役に立つ事を望んでいたな。地上の戦争を終らす救世主の役目を引き受ける者は誰もいなかったのに、お前たちだけが引き受けた。
本当はもっとゆっくりさせてやりたかったのだが、お前たちが平和にした地上で暮らすのも悪くないだろう。」

と言って書類に判を押した。




僕らは顔を見合わせて微笑んだ。

今から思えば前の生も不幸なものではなかった。
僕は兄さんと出会い、どん底を知っているからこその幸せを味わう事が出来た。
大好きな兄さんを助け、最後を見取ってもらう事も出来た。
暗殺者である自分は嫌だったが、兄さんを助けるための力を手に入れられたのだから、今となってはその運命をうらんでもいない。

でも、今度は平和になった地上で違う苦労がしたいな。
誰も殺したりしないで、兄さんと一緒に生きていきたい。


生まれ変わったら、僕、料理上手で裁縫上手な男になるから期待しててね。
誕生日ケーキも焼いて、僕も兄さんに手作りの服をプレゼントするからね。

ハッピーバースデイ、兄さん。
次の世界でも仲良く暮らそうね。





わりと淡々としたお話になっちゃいましたが、精一杯ルルの誕生日を祝ってみました。
ルルは貧乏性だから、何もしないで天国でぬくぬくと暮らすのはひょっとしてつまらないんじゃないかな~って思うのは私だけ?

誕生日とは関係ないけれど、生まれ変わりもいいな~ってコメント下さった方が前にいらっしゃったのでこの後の生まれ変わった二人のお話もオマケで拍手お礼文につけてみました。
1回押しで読めます。見てやろうかと言う方はどうぞ♪
ただし、次のお礼文更新時にこのお話は一番後ろに下がります。





ちょっとややこしいのですが、お礼文が出るのはWeb拍手だけで、一番最後にある拍手はお礼文は出ません(←こちらは累計が出るのでこちらも押していただけると嬉しいですが)

昨日、拍手がうまく機能してないという記事に拍手下さった方がいらっしゃったのでこちらに書いておきますね。
せっかく拍手したのに読めなかった・・・と言うことになっていたら申し訳ないです
また、拍手お礼文は更新ごとに順番が変わります

あと、『ロロを探せ!!』のその5の下書きを半日程公開扱いにしていたようです。
途中がすっ飛んでいるにもかかわらず、拍手下さった方、ありがとうございます!!
公開扱いになっていた間に3拍手はいっていたけど、同じ方?違う方?
案内Pにもサーチにも出していなかったので、もしかしてりんさん???

ラストがはっきり決まったらその5の内容も多少変わるかもしれません
混乱させてしまってすみません。時々こういうことやっちゃうおバカなUTです
まあ、これにこりずお付き合い下さると嬉しいです♪

あと、私信ですが、、『ロロを探せ!!その2』の宇宙一と言う台詞はひづき様から頂いたイラスト漫画から使わせて頂きました。とっても面白かったので。勝手に使ってすみません~



遊びに来てくださった皆様、拍手コメント下さった皆様、ありがとうございます!!!
すっごく励みになっています♪

返信はこちらから

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兄さんの誕生日おまけSS・お礼文より移動
1970年01月01日 (木) | 編集 |
神様の許可が下り、僕らは双子として生まれ変わった。

・・・と思ったら目も開かないうちに捨てられた。
コンチクショー!!
どんな親だよ。

神様も酷すぎる。

確かに僕らは足りないものの多い人生を希望した。
しかし人生の最初からコレか。

孤児院のベビーベットで兄さんと共にふてくされていたら、周りがざわざわしだし、優しい手が僕らを抱き上げた。

まだ視界のはっきりしない目を見開いてよく見ると、アッシュブロンドに澄んだ湖のような青い目をした美しい女性の顔が見えた。

「ナ、ナナリー!!」

兄さんが赤ん坊語で叫んだ。

あ、本当だ。

成長してスッと背も高くなり、大人っぽくなってはいるが確かにナナリーだ。
歩けるようになったんだね。良かったね。

髪を高く結い上げ、上品な皇女服を着たナナリーは、僕らを抱き上げ、何とそのまま政庁に連れて帰った。


どうやら僕らはナナリー皇女に引き取られ、育てられる事になったようだ。

たまたま僕らの孤児院に慰問に来た彼女はたまたま紫炎の瞳の僕らを見つけ、そこに亡き兄の面影を見たのかもしれない。

兄さんを抱き上げ、抱きしめては

「なんてお兄様に似ているのかしら。きっと神様が私達をお引き合わせになったのね。」

と、涙を浮べて言っている。

・・・じゃあ、僕は何で引き取られたのかな?
おまけなのかな・・・・・・。

と、ちょっと気を悪くしていると、ナナリーが今度は僕を抱き上げた。
至近距離で見るナナリーはさすが兄さんの妹だけあってドキドキするほどの美しさだった。

「懐かしいわ・・・。」

彼女は僕を見つめてホロリと涙した。

女の涙は武器というが、確かにそうかもしれない。
潤んだ瞳に真珠の涙を浮かべた彼女は天界の天使たちより美しかった。

「お父様になんてそっくり・・・。」


おい、ちょっと待て。
何で僕があのおっさんそっくりなんだよ。
こいつめ・・・僕が大きくなったら100回殺す・・・。


ベットに戻された僕に兄さんがそっと囁く。

「そんなに落ち込むな。信じられないだろうが、シャルルは子供の頃本当に可愛かったんだ。
昔の肖像画を見て俺は驚きのあまりよろめいて3000万の壷を割ってしまったほどだ。」


・・・・・・そう言えばV.Vとシャルルは双子の兄弟だったっけ。
そう考えれば納得は出来る。
つまりあのまま生きていれば僕や兄さんもいずれは・・・いや、やめよう。変な想像は。


そうこうしていると、ナナリーの部屋にゼロが入ってきた。

ゼロはすばやく部屋のロックをかけると仮面を取った。
現れた顔はおなじみのもの。クルルギスザクだ。

「やあ、ナナリー。ルルーシュにそっくりの赤ん坊を拾ったって聞いたけど?」

「ええ。本当に可愛いのよ。見てくださいな。」


その様子はなんとなくラブラブの新婚の夫婦のようで、兄さんが二人を見て眼を吊り上げた。

「ス・・スザク!!俺が死んでまだ5年なのに何早速ナナリーとラブラブになっているんだ!!!
お前、生涯ゼロとして生きると約束したじゃないか!!!
せめて結婚はナナリーが大学院を出るまで待ってくれ!!手を握るのも見詰め合うのも結婚式がすんでからだろう!!順番が違う!!!」

と赤ん坊語でほぎゃほぎゃ言っていたが二人に通じるわけも無く、うるさかったのかスザクさんが兄さんを抱き上げた。

「泣いてるよ、ナナリー。オムツを代えてあげたら?」


ぎゃあああ。なんて事を!!!と口をパクパクさせて声にならない声を兄さんが上げていると

「ええ~っと、お口ぱくぱくしてるから、ミルクじゃないかしら?」

と言ってナナリーが粉ミルクを調合しだした。

兄さんもこんな所でおむつを変えられてはたまらないと思ったのかぴたっと文句を言うのをやめた。

「ほ~ら、やっぱりお腹がすいてたのね♪」

抱き上げられて渋々ミルクを飲む兄さんって何か可愛い。

と思っていると、僕の視線に気づいた兄さんにキッと睨まれた。


そのまま僕らはベットに寝かされ、次に気がついたときは1歳の誕生日になっていた。
その次は二歳、更に次は3歳、4歳、5歳の誕生日。

どうやら誕生日の日だけ前世の記憶が戻るようだ。

僕らはまだ子供なので外に出て行く事はそれほどないけれど、ニュースとかで世の中が良くなっていってる様子を知ることが出来た。

それから、僕らが幸せに育っていっているらしい事も知ることが出来た。

ナナリーはますます美しく女らしくなっていて、いつの間にかゼロと結婚していた。

頼まれて仕方なくとはいえ、自分の兄を殺したスザクさんをそこまで好きになれると言うのは不思議な気もしたが、シャーリーさんがお父さんを殺した兄さんの事をそれでも大好きだったように・・・・・・シャーリーさんを殺した僕の事をそれでも兄さんが弟と認めてくれたように・・・・・・ナナリーもきっとスザクさんを許したのだろう。

いや、ナナリーも兄さんを殺そうとしたことがあるから、スザクさんの行為が深い信頼と友情のためであった事を誰よりも知っているのかもしれない。

兄さんももう二人の事は諦めたのか密かに祝福の言葉を贈っていた。
・・・が、ナナリーに筋トレを勧めるスザクさんを睨みつけるのは忘れていなかった。

あの事件さえなかったらおてんばに育っただろうと兄さんがナナリーを評して言っていたが、今は快活なうえ、筋トレの成果かあのコーネリア皇女と腕相撲して勝っていた。
・・・さすがマリアンヌ様の娘だ。恐ろしい・・・。

兄さんは5歳にして6ヶ国語を操り、チェスにかけては右に出るものの無い天才児らしい。
ナナリーの側近を片っ端からやりこめているという。

僕は天国で来世に望んだとおり毎日調理場に行っては料理を習い、暇さえあればちくちくと何かを縫ったり編んだりして料理・裁縫の得意な男となるため日々励んでいるらしい。
良かった。暗殺に励んでなくて。

さあ、今度の人生はどんなものとなるのだろう。

こんどこそ兄さんとこの手を血で濡らす事の無い人生を歩みたい。
きっとそうなるよね。

兄さんがいて、僕がいて、ナナリーがいて、スザクさんがいる。
そうして皆で笑ってる。

足りないところは皆で補えばいい。

悲しい時は慰めてもらえばいい。



どうかこの優しい世界が続きますように。






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