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俺的ボロ雑巾計画
2007年06月19日 (火) | 編集 |
目の中に入れても痛くないほど可愛がってきた弟は、何と偽物だった。




俺は3日前まで


弟は俺の宝だ!!


と思い、


コイツのためなら死ねる!!

とまで思ってきた。



しかし弟は赤の他人でブリタニアの監視者で、しかもその手を幼い頃より血で染め上げた穢れた暗殺者だったのだ。
俺は絶対奴を許したりしない。



「・・・すまないなロロ、今日俺は黒の騎士団と打ち合わせがある。家の掃除当番を変わってくれないか?」

いかにもすまなさそうに言うとロロは簡単に騙されて

「うん。もちろんいいよ。お仕事頑張ってね。」

とにっこり笑顔で答えてくれる。

ふふ・・・ばかめ。
俺を騙した罪は重い。
実はガスの元栓を止めておいた。

雑巾がけをしようとしても、食器を洗おうとしてもお湯は出ない。
寒い中せいぜい頑張るんだな。




数時間して帰ってくると、家の中はいつもにも増してピカピカだった。
エプロンをしたロロが雑巾を片手に輝くような笑顔で迎えてくれる。
しかし手は寒さのためか真っ赤だ。

「ロロ・・・まだ掃除をしていたのか?」

「うん!だって兄さんが頑張ってお仕事しているんだから家をピカピカにして迎えてあげたかったんだ。それに家に一人だと寂しいし。お掃除をしていると兄さんと一緒にいるような気がして寂しくなくなるんだ。」

ロロはにっこりと微笑む。

見ると指定の場所以外も完璧な掃除がしてあり、ホコリ一つない。

「ロ・・・ロロおおおお!!」

気がつくと条件反射でロロを抱きしめ撫で回していた。
いかん・・・俺は1年もの間ころっとこいつに騙され続けたのに、いったい何をやっているのだ。

苦悩する俺にロロは嬉しそうに無防備に身を預けてお母さんが帰ってきた時の子供のような瞳を向けた。
そのあまりの穢れの無さに、一瞬俺はシンデレラの意地悪な姉になったような幻覚を見た。

・・・だめだ。
こんなことを続けていたら俺の精神の方が崩壊してしまう。


よし。
ロロを黒の騎士団に放り込んで使い倒そう。

ロロの能力はすさまじい。
うちのエース二人がかりでも全くかなわなかったぐらいだ。


その日俺は夢を見た。
ロロはヴィンセントを駆って鬼神のごとき働きを見せていた。
ふふ。
思ったとおり使えるじゃないか。

子供の頃から暗殺を繰り返してきたロロにはためらいというものが無く、次々と敵機を撃破していく。
しかし、ロロを手ごわしとした敵たちが俺の蜃気楼めがけて一斉に攻撃してきた。

ロロは俺を助けるためにギアスを連発し、最後の一機を落として力尽きた。

コントロールを失って地面に激突したロロを助けるために急いで駆けつけ、ハッチをこじ開けたがもはや遅すぎた。

ロロは俺を見て安心したように微笑んでそのまま死んでしまった。

うわあああああああ!!


俺は涙でぐちょぐちょになりながら自分の叫び声で飛び起きた。

その声に驚いたらしいロロが、普段は足音も立てないのに凄い勢いで自分の部屋から駆け下りてきた。

そして俺の様子に驚いて、一瞬息を呑んだが、ふわっと微笑んで優しくぎゅっと抱きしめてくれた。

「怖い夢を見たんだね。大丈夫。僕だけはいつまでもそばにいるから・・・。」


暖かい腕はかつての母さんを思い出させた。

どうしてこいつが偽物なんだろう。
こんなに暖かいのに。

「兄さんは働きすぎなんだよ。僕がヴィンセントに乗って・・・」


「そんなことは許さん!!!」


つい叫んでいた。
さっきのあの夢。

腕の中で体温を失っていくロロを抱きしめて絶叫したあの情景がフラッシュバックする。


ロロが俺を見てびっくりしたように瞬いた。
そして

「兄さんは優しいね。でも僕は命に代えても兄さんを守るから。」

そう言ってますますぎゅっと俺に抱きついた。

どうしてこいつが本当の弟ではないのだろう。
こんなに俺を慕ってくれるのに。

しかし、俺を1年もの間騙していた事実は替えようも無い。
ナナリーの居場所を奪ったことも。

・・・だからぼろ雑巾にしてからではなく今からこいつを捨てる。捨ててやる。

決意が鈍る前に捨てる。

・・・本当に、本当に捨ててやるんだから・・・。




しがみつくように回されていた手をゆっくりとはずさせて、ロロの瞳を覗き込む。
ロロは怪訝そうに俺を見た。

「ロロ・・・。」

「なぁに。兄さん・・・?」

ロロは少し不安そうに、でも優しく微笑んだ。




「・・・・・・ずっと・・・・・・ずっと仲良く生きていこうな・・・。」

そう言って今度は俺のほうから抱き寄せる。


今度はこいつを拾うために。
他の奴になんか拾わせない。
俺が俺の意思でこいつを拾うのだ。

もうどうでもいいのだ。

ロロが偽物だろうが本物だろうが。


俺たちはきっと仲良く暮らしていける。

ずっとずっと本当の兄弟として。



fin
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