スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ヴィレッタ日記・バトン編
2009年05月28日 (木) | 編集 |
(*_*)様より楽しいバトンが回って来たのでヴィレッタ日記に突っ込んでみました♪
ではでは~・・・。








某月某日

キャラポーズバトンと言うものが回って来た。

バトン・・・というと、私が小学生の頃チアリーディングでやっていたアレだろうか。
懐かしい。
足を上げるたびチラリとのぞく下着目当てのスケベな男子どもに、よく手が滑ったフリをしてバトンを投げつけてやったものだ。

よし、今回は手が滑ったフリをしてルルーシュの頭めがけて投げつけてみるか
少しはまともになるかもしれない。


何?そのバトンではない?
ああ、リレーのバトンか。

それなら任せてくれ。

子供の頃から運動神経抜群だった私は当然毎年リレー選手、それも、アンカーに選ばれた。

ある年、私がモテるのを妬んでいつも嫌がらせをしてくる女が同じリレー選手として前を走っていた。
観客に見えないようそいつの足を踏みつつ一発脇に肘鉄をいれ、ぶっちぎりで優勝したのも今となっては懐かしい思い出だ。

何?それでもない?
ちゃんと人の話しを聞けだと?
教師に向かって失礼な。
私はいつも人の話はよく聞いている。

・・・ふむふむなるほど、今回のリレーは



①~⑥(+非番)にあみだくじでキャラの名前を当てはめ、以下の指示に従ってもらうだけ!
絵でも文でも構いません!


という特殊なルールなのか。
では当然私を入れておこう。今連載している『その手のひらに』の私の出番はまだ後のようだからな。
ここで目立っておかなければ。

ロロも入れてやろう。どうも苦労してるようだから。
ルルーシュも入れてやるか。奴はくじ運が悪いからとんでもないものを引くに違いない。
楽しみだ。

あとは誰を入れるかな?
まあ特殊任務のメンバーを選ぶわけじゃなし、適当でいいだろう。
よし、アミダの結果、こうなったぞ。
それからどうするんだ?

①→ヴィレッタ
②→ジェレミア
③→ロロ
④→ルルーシュ
⑤→咲世子
⑥→ナナリー
非番→スザク



何?お題があるのか?
私が決めるんじゃないのか・・・。
まあいい。

*④がヒーローのポーズ

よし、ルルーシュ、一番乗りだ。
目立ちたがりのお前にぴったりのやつがきたのだ嬉しかろう。

何?良い子のヒーロー・ゼロのモノマネをするだと?
寝言は寝て言え。何処が良い子のヒーローなのだ。
しかも物まねじゃなくて本人だろう

では仮面ライダーV3だと?
一体いつの生まれなのだ。
妙に古臭いセンスだと思っていたら、そういう奴だったのか。
まぁいい、時間がもったいないから次だ次!!



*②がブリッ子ポーズ


え~っと、②番、②番は・・・・・・
なっ・・・!!ジェレミア卿!!

「別に無理にされなくても良いのですよ、おいたわしい・・・。」

本音:誰が見たいかそんなもの

「え?『皆がやるのに私だけ逃げるわけにはいかない。』とおっしゃるのですか。
さすがジェレミア卿。高貴なお育ちなだけあります!」

本音:見たくねーっつってんだろ!!しつこいんだよ!!


・・・でも結局見さされてしまった・・・。おえっ・・・・・・。



*⑥が①にセクシーポーズ

え~っと・・・①は私だが、⑥番は確か・・・。

「はい。私です。ヴィレッタさん。」

ああ、ナナリーか。ナナリーは美少女だが、お色気からは最も遠い場所にいる少女だ。
大丈夫だろうか・・・。

「心配ありません。そんなこともあろうかと思って、シャーリーさんにセクシーな水着を見立てていただきました。コレを着れば私だってセクシーな大人の女性に大変身です♪」

何!!シャーリー!?
それはまずいのでは・・・

思ったとおり、ソレは水着と言うよりヒモであった。

「ナ・・・ナナリー!!」

馬鹿兄が騒ぎ出した。

「ナナリーにそんなものを着せるぐらいなら俺が着る!!」

「兄さんにそんなものを着せるぐらいなら僕が着る!!」

馬鹿弟も騒ぎ出した。

「ルルーシュ様にそんなものを着せるぐらいなら私が着る!!」

ジェレミア卿までロロに負けじと参入して来た。

女がここに3人いるというのに、何でそんなヒモ水着をめぐって男三人で争うのか私には理解できない。

ナナリーは水着の事はもう諦めたようで、可愛く投げキッスをおくってよこした。



*↑に対するその①の反応

ナナリーは可愛いが、男どもはキショイ!!変態揃いだ!!!



*③が⑤に土下座

え?ロロが咲世子に土下座?
くじ運の悪いのはルルーシュでなくてロロだったか・・・。
これは悪い事をしてしまった。

予想通りロロは

「何で僕が咲世子なんかに・・・!!」

と憤慨している。
確かに、悪い事もしていないのに土下座など出来ないだろう。困ったな。

「ロロ様?9月21日・ルルーシュ様の寝顔を盗み撮りなさってましたね?
9月25日ルルーシュ様のゼロ衣装を勝手に着て鏡に前でくるっとまわって・・・。」

「うわわわわ!!何で咲世子がそんな事知って!!!!
ごめんなさい!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!!!」

ロロはあっさり咲世子に土下座していた。
意外とプライドの無い奴だ。



*最後にみんなで決めポーズ!


決めないで、このまま撮ろう。
その方が面白そうだ。



以上でバトンの課題は終わりだ。
本当は絵でやった方がいいのだろうが、UTはロロしか書いたことが無い上に、描くのが遅い。
実は寝込んで?いる間、おきては駄目だろうということでコタツで寝転がって描いたロロの絵もまだ塗り終わらず放置してあるらしい。

そういうわけでこちらに(*_*)様の描いた愉快なバトンがあるのでそこで楽しむことをお勧めする。

次の人の指定はしないが、持ってかえってくれれば嬉しいと思う。

・・・以上、私の日記はこれで終わりだ。








キャラポーズを文章で・・・というとこんな感じしか思いつきませんでしたが、大丈夫でしょうか~
アミダ、久しぶりにやりました☆
ヴィレッタ先生は今の連載でももうすぐ登場しますが、そろそろシリアスターンに入るので、いつもより真面目かも?しれません。


読んで下さった皆様、コメントくださった皆様、ありがとうございます♪
とても励みになります!!
ではまた~♪

次回更新は多分金曜日になります☆




スポンサーサイト
その手のひらに
2009年05月19日 (火) | 編集 |
拍手お礼文に収納していたSSです。
タイトル以外、文面は全く同じですのでもう見た方はスルーしてくださいね
金曜日にこの続きをUP予定です。

初めての方へ。
このお話はUTの願望をこめたパラレルです。
コメディ・シリアス混在の連載物で、お話としては独立していますが、『僕は湖面に・・・』のもう一つの形のパラレルでもあります。
『ロロを探せ』の続きとして書いていますので、読まなくても支障はありませんが、先に読んでおくとより解りやすいかもしれません。
色々ありつつ、最後にはハッピーエンドに持ち込めるよう頑張りますのでもうしばらくお付き合い下さいね♪

あと、悪質なウイルスが急拡大しているようです。リンク先サイト様やサーチでも警告文が載っていました。よろしかったらこちらを見ておいて下さいね。
うちは今のとこ大丈夫そうです。感染しにくくするための対策は採りましたが、絶対ではないのでドキドキです。家族共用のPCですし。
ウイルス・・・嫌ですね








その手のひらに






「彼がカレンが帰ってくるまでの間私の親衛隊長を務めることになったロロだ。」


せっかく兄さんが紹介してくれたのに、黒の騎士団の奴らはアホのようにぽかーんと口を開けて僕を見た。
失敬な。僕が親衛隊長じゃ不足だというのか。

「あの・・・ゼロ・・・その・・言いにくいんだが、彼は本当に大丈夫なのか?」

気弱そうなおっさんが本当に言いにくそうに兄さんに声をかけた。
知ってるぞ。お前の名は扇。
僕は兄さんの記憶が覚醒する前、顔がわかっているすべての黒の騎士団員の特徴と経歴を覚えつくした。
その時は大事な兄さんを奪おうとする害虫退治のためとして覚えたのだが、まさかこうして仲間として席を共にする事になろうとは思ってもみなかった。

「大丈夫とは、どういう意味だ?」

兄さんがいらだたしげに言う。

「その・・・彼は、非常に若いし、経験も積んでなさそうだし、ブリタニア人だし・・・えっと・・・華奢で力もあまりなさそうだし、デスクワークならともかく、身を挺してゼロを守る親衛隊長には向かないんじゃないかと・・・。」

「そんなことは無い。カレンだって若いし、ブリタニア人とのハーフだがその実力は知っての通りだ。
このロロも見かけは若いしブリタニア人だが、カレンと同じくハーフで、海外では実戦も十分経験している。
私が選んだのだ。従ってもらおう。」

そう言うと扇は黙り込んだ。

兄さんカッコイイ!もっと言ってやれ♪

しかし兄さんはそれだけ言ってさっさと部屋に帰ってしまった。
あれ?

そして僕だけが団員に囲まれて取り残された。

「へ~・・・こいつがねぇ。」

じろじろと無遠慮に僕を眺め回すヒゲの男も僕は知っている。
玉城信一郎だ。
出来れば永遠に会いたくない男だったが、初日から会ってしまって残念だ。

あれは遡る事数ヶ月前。
この男は破廉恥にも女装してアッシュフォード学園の女子寮に忍び込んだのだ。
そしてあろうことか通りかかった僕にナイフを突きつけた。
え?
何で僕が女子寮にいたかって?
それは機密事項なので話せない。

しかし奴はそこで僕に向かって言ってはいけない一言を言ったのだ。
コレを言った奴は今まで全員殺して来た。
生き延びたのは奴だけだ。
いずれ機会を見て始末してくれよう。

そんな事を思いながらも表面だけはニコニコして玉城を見ていると、

「お前さぁ・・・なんっか見たことあるような気がするんだよなぁ・・・。」

と玉城が呟いた。

どき。

「そう言えば以前アッシュフォードで見た美少女・・・。」

う。アホのくせして覚えていたか。
ここで『こいつ前に女装して女子寮にいた』なんて言われたら僕の立場が無い。


「・・・に似てるけどやっぱ違うや。」

ほっ・・・。


「でもちっこいし細いし女みて~だよな♪」

奴はまたしても言ってはならない一言を口にした。


「・・・僕の何処が女みたいだと・・・?」

「え!?全部!全部だよ!!顔もちっちゃくて、目がでっかくて、身体は華奢だし。な~~?」

失礼なことを真顔で言う玉城に他の団員も一斉にこくこくと頷いた。

くっ・・・。ここはアホの巣窟か。兄さんが苦労してやつれるわけだ。

・・・コロス。絶対コロス。兄さんの野望が成就した暁には全員まとめて皆殺しだ。

しかし今は忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐えねばならない。
何故なら僕は兄さんの信頼を一身に背負うゼロの親衛隊長なのだ。

団員と対面した初日から皆殺しにしてしまったら後で兄さんに、

「ごめんね兄さん☆てへ

と言っても多分許してもらえない。



「ま、でもよ。ゼロが言うんじゃしゃーね~か・・・案内してやるから来なよ。カワイ子ちゃん♪」

玉城が手をヒラヒラさせながら言う。

ブツ・・・っと堪忍袋の緒が切れる音がした。


「・・・それは一体誰に言ってるんですか?玉城さん・・・。」

「え?お前ぇだよ!お前ぇ!!あ~あ、何で本当に女じゃなかったのかな~。こ~~~~んなに可愛いのに。
がっかりだぜ。」

玉城は両手を広げて大げさに言う。
まだ言うか。アホ玉城。どうしてくれよう。

「そうですか。がっかりさせてこれは申し訳ありませんでした。
お詫びに玉城さんと遊んで差し上げますのでチェーンを用意していただけますか?」

「え!?チェーンでどう遊ぼうって言うんだよ。」

「いいから持ってきてください。」

用意された細めのチェーンを僕と玉城の足にしっかり結び付けると、僕は懐からナイフを取り出した。

「なっ・・・。やろうってのかよ!!」

玉城が驚きの声を上げる。

「玉城さんどうぞ。あなたのナイフです。使ってください。何なら銃も使っていいですよ。
僕は丸腰で戦います。
それで僕が勝ったら、僕に従って頂けますか?」

僕の台詞とただならぬ様子に周りがざわついた。

「おいよせ。玉城はこれでも実践経験が長いんだ。君のようなきゃしゃな子が武器も無いのに戦うのは無理だ。」

ちょっとしぶいおっさんが慌てて止めに入った。
お前の名も知ってるぞ。藤堂鏡四郎。
奇跡の藤堂と呼ばれる黒の騎士団の片翼だ。
しかし僕は見たぞ。
さっきアホ玉城が僕の事を女みたいだと言った時、どさくさに紛れてこいつも頷きやがった。
頭脳派で人格者だと聞いていたがとんでもない。
こいつもアホの仲間である。

「ご心配なく。何ならあなたも参加しますか?僕は2対1でも結構ですよ。」

そう言うとさすがに藤堂はムッとした。
僕の殺気は抑えている。
タダの小僧と思っているはずだ。
乗って来い、藤堂。
お前も地面に叩き伏せてやるよ。
もう二度と僕の事を女のようだとは言わせない。


しかし藤堂は玉城と違ってアホのクセに理性はあった。
一瞬ムッとしたものの、すぐ柔和な顔になり、わかった、わかったと子供でもなだめるようにつぶやいた。

ちっ。

乗ってこなかったか。合法的に叩き伏せようと思ったのに。

「では私は見届け人となろう。しかし玉城、わかっているだろうな。ゼロが連れて来た子供だ。何か分け有りかもしれない。傷などつけるなよ。」

わけ有り・・・???
僕何かヘマした?
弟だってばれたりしてないよね・・・。


「あ~なるほど!!」

不思議に思っていると、玉城が感心したような声を上げた。
一体なんだっていうんだろう。
僕にはサッパリわからない。

「つまりこいつはゼロの隠し子かもしれないって事か!!!」

「う・・いや、私はそういう可能性も考えられると思っただけで・・・玉城、そういうことは思っていても声高に言うもんじゃない!!」

と、藤堂も声高に言った。


藤堂・・・。
アホ決定だ。
しかも玉城レベルのアホだ。
終ってるよ、こいつ・・・・・。
何で僕がゼロの隠し子って事になるんだよ・・・。

しかも他の団員たちまで

「おお!なるほど!!」

とか言い出した。

うう・・・かわいそうな兄さん。
まだ18歳なのに、こんなでっかい子供がいる事にされているよ。
あんなに知性あふれる兄さんなのに部下は揃ってアホばかりだ。

しかしこんな使えない部下ばかりを纏めて日本一のテロリストとしての実績を築き上げた兄さんの力量に今更ながら、心底驚嘆する。
やっぱり凄いな。僕の兄さんは

でもこれからは僕が力になるよ。
僕が一生懸命頑張るからね!



アホどもとの会話で戦いを始める前にすっかり疲れてしまったが、何、玉城ぐらい、軽くひねってやる。
昔は致命傷を与えず気絶だけさせるなんて方法知らなかったが、いろいろあって今ではちゃんと知っている。


・・・さて、アホ玉城に格の違いを教えてやるとするか・・・。

もちろんアホ玉城にギアスを使うような真似はしない。
自分の寿命を縮めるような事をせずとも、玉城ぐらい軽く倒せる。
ただ、あれだけの事を言ってくれたのだから、簡単に気絶できるとは思わないで欲しい。

・・・しかし玉城は自分の立場が全くわかっておらず、頭を掻きながら「まいったなぁ~・・・。」とのんきに呟いている。

ふ・・・ではまず最初は軽い突きからだ。
一撃で殺せるぐらいの技と力はあるが、それじゃあつまらない。
さんざんいたぶって泣いて許してくださいと言うまで痛めつけてやる。
逃げ出そうとしたって無駄だ。
そのために鎖を用意した。

チェーンデスマッチ。

響団で行われる生き残りをかけた試合を僕は幼い頃からやってきた。
試合相手は凶悪な殺人鬼だったり、敵国から捕らえて来た武術の達人だったり、時にはライオンやヒョウなどの相手までさせられた。
お互いの足に鎖を巻いてあるので絶対に逃げられはしない。
相手の息の根を止めて初めて自分が生き残ることが出来るのだ。

響団の暗殺者達は皆こうやって仕込まれる。
だから敵の真っ只中に放りだされてもうろたえる者など一人も居ないし。
どんな敵にだって冷静に立ち向かっていく。


さぁ、痛めつけてやるよ、玉城。
まぁ玉城なんか数のうちにも入らないが・・・。


しかし玉城はぼ~っと僕を見ているだけで構えようともしない。

「玉城さん、いきますよ。ちゃんと構えてくださいね。」

そう言うと玉城は「おう。」と言って一応構えを取った。
そこに軽い一撃を入れる。

「いたたたたたっ!!!参った!!!」

玉城は打たれた場所を大げさに覆って大声を上げた。


は?

僕まだ軽くしか入れてないんですけど・・・・・・・。


ふと傍らの藤堂を見ると、満足したような顔で玉城を見ながらうんうんと頷いている。
八百長か!!

神聖な戦いを何と心得る!!
合法的に玉城をボコボコに出来ると思ったのにコレじゃ台無しだ!!


あまりに腹が立ったので藤堂の襟首を掴んだら、四聖剣が黙っちゃいなかった。
引き剥がそうとする彼らにどさくさに紛れて一撃づつ入れて気絶させると今度は周りの奴らがざわっと殺気だった。
結局大乱闘になり、僕はコンマ単位でばれないようにギアスを使い、全員死なない程度にのしてやった。
ざま~みろ!!

周りの奴らが前とは違って恐怖の眼差しで僕を見る。
ああ、心地よい。
これだ、コレなんだよ僕が求めていたのは。
あ~、スッキリした♪♪


あれでも何か忘れているような・・・?

その時シュン・・・とドアが開き、書類を手にしたゼロが現れた。
ヤバイ!!!


「ロロこれはっ・・・・・・!!」

床に累々と横たわる猛者たちの有様を見て、兄さんは驚きの声を上げた。

「だって・・・。」

僕は瞳をうるうると潤ませてゼロに抱きついた。

「だって皆僕のこと、女の子みたいだってからかうんだもん・・・。
酷いよ皆。うわ~~~ん。」

僕に抱きつかれたままゼロは床に横たわった藤堂に冷たい視線を向けた。

「藤堂。本当なのか。ロロを女の子みたいだと言ってからかったのは。」

「あ・・・いや、ゼロそれは・・・あの・・・私は頷いただけで玉城が・・・。」

もごもごと言う藤堂に兄さんは小さくため息を落とした。

「・・・本当だったのか。ロロは知り合いも居ないここにいきなり来て心細いんだ。
そんな事を言ってからかう奴があるか。」

心細い?・・・そんなタマか?と藤堂の視線が一瞬言いかけたけど、ライオンも後ずさるような殺気をこめた視線で睨みつけておいた。

「ロロ・・・かわいそうに。いい大人が寄ってたかって子供のお前をいじめるなんて・・・。」

よしよしと僕の頭を撫でるゼロに南が足元から「ゼロ、騙されてはいけません!!いじめられていたのは俺達です!!」と視線を送った
もちろん僕は密着している兄さんの時だけを止めて足元の南をぐりぐりと踏みつけてやった。
そしてギアスを解く。

「ゼロぉ。怖かったよ~!うわぁ~ん。」

いっそう派手に嘘泣きをすれば、兄さんは優しく僕を抱きしめてくれる。

「ほらほら、もう泣かない。可愛い顔が台無しだぞ。」

ゼロ自らハンカチで僕の目元をぬぐってくれる様子を他の団員達は凍り付いて見ていた。
ざまぁみろ。
僕とお前らじゃ信用度が違うんだよ。


その一件があって以来、団員達は僕の言う事をよく聞くようになった。

よっぽど怖かったのかあの玉城さえ、恐る恐る

「あの・・・ロロ様、歓迎の宴の準備をしました・・・。」

なんて言って擦り寄って来たぐらいである。



折角なので歓迎してもらうことにした。
その席で、

「ねぇゼロ。僕、玉城さんは女装の一発芸が得意って聞いたんだけど見てみたいなぁ

とねだってみた。

「やってやれ。玉城。」

「そうだ、折角だから藤堂さんや四聖剣の皆さんも♪」

「やってやれ、藤堂。朝比奈 。仙波。」

「わぁ♪皆かわいいなぁ(本当はきしょいけど)
僕みたいな新参者にこんなに親切にしてくれるなんて、皆良い人ですね、ゼロ♪」

にっこりと微笑んでそう言うとゼロはまた頭を撫でてくれた。

「今度は皆さんで踊ってくださいませんか?
僕、賑やかなの大好きなんです

玉城たちは仕方なく女装のまま踊り始めた。

ふふふ。
僕は根に持つほうなんだ。こんなのまだ序の口だよ。
徹底的にいびってやる!!!

そんな事を考えながら僕は宴会の間にこやかに微笑み続けた。


その2に続く。



こんな調子で果たしてハッピーエンドに持ち込めるのか謎ですが、頑張ってみます☆

体調はかなり良くなって今日はバイトにも行きます♪
ご心配おかけしましたがもうだいじょうぶです~!!


読みに来て下さる方、拍手、コメントくださる方ありがとうございます~!!
とっても嬉しいです♪
コメント欄からなが~いお返事をしております☆













その手のひらに その2
2009年05月19日 (火) | 編集 |

「玉城、お茶」 「玉城、掃除しておけ」


・・・実はあれから兄さんにおねだりして玉城を僕の補佐・・・つまり親衛隊長補佐の職につけた。

兄さんは「えっ!玉城!?もっと他に良い人材が・・・。」と言っていたが、僕は玉城がいいのだ。
身近に置いておけばボロ雑巾のように使えるし、いびり倒すのにも都合がいい。
1日がかりでねだりにねだってやっとOKをもらい、早速兄さんに玉城を呼び出してもらう。

兄さんはまだ渋い顔をしていたけど、それでもちゃんと約束は守ってくれた。

「玉城。欲しがっていた役職をやろう。何と0番隊親衛隊・副隊長・・・つまりロロの補佐官だ。身に余る光栄を喜ぶがいい。」

そう兄さんが言い放つと玉城は顔を真っ青にして

「そ、それだけは勘弁してくれっっ~!!!もう俺一生ヒラでいいからっ!!!」

と涙目で頼んでいたが、そんなカワユクもないお願いが通じるはずも無い。

そう!!
ゼロにお願いを聞いてもらえるのは弟の僕だけ!!
泣き落としが効くのも僕だけの特権だ!

見るがいい玉城。
本当の泣き落としはこうやってやるものだ。
アハハハハ!

心で黒く笑いつつ、僕は神妙な顔をして見せた。

「兄さん・・・ごめんね。僕、人望が無くて・・・。
折角兄さんが玉城さんに頼んでくれたのに。
そりゃ玉城さんだって僕みたいな年下の頼りない子供に使われるなんて嫌だよね。
・・・ううっ・・・ぐすっ。」

涙ぐんで兄さんにすがり付けば、兄さんは血相変えて(多分。仮面越しだから見えるわけじゃないけど)僕を抱きしめてくれた。

「ロロ!!
お前に人望がないなんてそんな事はないぞ!!
その証拠に俺はお前が大好きだ!!!!!
悪いのは人を見る目のない玉城の方だ!!」

そう言って玉城のほうに向き直る。

「玉城。うちのロロはまだ子供だが、学校の成績はいっつもオールAだし、真面目で優しくてかわいくてよく気がついて、疲れてるとさりげなく肩なんか叩いてくれちゃうこの世で最高のおと・・・いや、男なのだ。
いったいこのロロの何処が不満だというのだ!!
400字以内で述べてみよ!!」

と凄い剣幕で怒鳴りつけた。

「う・・・。」

玉城は何か言い返そうとしたが僕はゼロマントの端っこを掴んだまま「言えるものなら言ってみろ!!」と殺気を込めた視線を送ってやった。


「く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったよ。」


勝った!!!
玉城は力なく返事してがっくりとうなだれた。

この僕を女みたいだと言った恨み、晴らさずにおくものか。
お前なんか奴隷だ。
以後僕の下僕としてまめまめしく働くがいい。


難なく奴隷をゲットした僕は、しばらくの間は浮かれた。
そして玉城に下働きを言いつけてボロ雑巾のように働かせまくったのだが、これが何をやらせても全く使えない。
驚くほどに使えない。

お茶を入れさせればまずくてぬるい茶が出てくるし、書類整理を言いつけてもきちんとできないので必要な時に必要な書類が出てこない。
では掃除ぐらいは・・・と思ってやらせたのだが、これも下手クソで見ちゃいられない。

結局僕が横から手を出しては掃除し、お茶も入れなおし、適当にすすいだだけの薄汚れた布きんや茶渋の残った器を漂白剤につけてピカピカに仕上げなおし、水でべちゃべちゃになったままのシンクを磨き上げた。

書類も全部分類しなおした。
ついでに計算も間違いだらけだったので僕がPCでフォームを作り、全部一から入れなおしておいた。

ちゃんと渡したはずなのにいつの間にか無くなっていた書類は僕が部屋中捜して見つけ出した。


・・・おかしい。ボロ雑巾にしてやるはずだったのに、何故僕がすべてやり直し、ボロ雑巾のように働いているのだろう。

くそっ!用事を言いつけるたび、10倍の手間を伴って僕に跳ね返ってくるなんて・・・・。

そうは言ってもあれほど兄さんにおねだりして玉城をこの職につけたのだ。
今更返品するわけにはいかない。


玉城は睨んでやらせるとパニックになって元々無能なのに益々失敗が多くなる。
そこでしょうがなく・・・本当に本当に嫌だったが怖がらせないようにニコニコと優しく接することにした。

それでやっと仕事の成功率が7パーセントほど向上したが、それでも玉城は本当に無能だった。
もし響団に拾われていたら、次の日には実験体として解剖され、馬鹿の見本として脳を展示されてもおかしくないぐらい無能だった。

しかし、僕の足を引っ張る才能だけは無駄に溢れていた。

それはタチの悪い事に意図してやっているわけではなく、本当に地でそうなのだ。

なんで僕が玉城の後始末に終われる生活をしなければいけないのだろう。こんちくしょう。
・・・でもそのままにしておいたら兄さんの軍務に差し障るし、部屋がだらしないままでは落ち着かないので結局僕が全部やり直し、くたびれ果てた。


最後にはお願いだから何も触るな。手伝うな。・・・という状態にまで追い込まれたのだが、兄さんに窮状を訴えるわけにはいかない。
兄さんは「玉城だけは止めておけ!」とさんざん言っていたのに僕がそれを押し切ったのだ。
今更取り消しは出来ない。

ため息をついていると

「ロロ隊長、お茶を入れてくださいよ~。」

と無神経な声がした。

パニックにさせないよう優しくしてやったら付け上がりやがって、この野郎。
厚かましいにも程が有る。

「玉城、僕は疲れてるんだ。まだ仕事が全然片付いていないからね。」

お前のせいで。・・・と心の中で付け加える。


「そっか・・・じゃあ、俺がお茶を・・・。」

言いかけた玉城に僕は電光石火の勢いで走りより、

「ううん、やっぱり僕が入れるよ。ずっと働き通しだしちょっと休む事にするよ。」

と引きつりながらも何とか笑顔を作ってその手から優しく茶筒を奪い取った。


実は茶筒には苦い思い出がある。
先日、あまりにも忙しかったので、この際まずくてぬるい茶でもいいからとにかく飲み物を・・・と思って玉城に茶を入れさせたら、茶筒の蓋が硬かったらしく、勢い余って部屋についているミニキッチンに茶筒中の茶葉を全部ぶちまけたのだ。
茶葉はあちこちに散って隙間に入り込み、その掃除にどれだけ苦労した事か。
玉城にさせるぐらいなら僕が・・・。しくしく。

その時にいさんが僕の私室に入ってきた。
わあ、今日も気品があってきれいだな。僕の兄さんは♪(顔は見えないけど)

「どうだロロ、玉城とは上手くいっているか?」

「え?・・・あはは・・・当然・・・だよ・・・、ね、玉城?」

「おう!最初はとんでもない奴だと思ったけど、茶を入れるのは上手いし掃除は手早いし、中々いい奴だぜ!」

玉城は人の気も知らず上機嫌で答えていた。
しかし兄さんの機嫌の方は見る見るうちに急降下していった。
あれ・・・?
僕ちゃんと責任を取って玉城の不始末もフォローしたし、兄さんに迷惑はかけてないはずだよ?

「おい、玉城・・・。」

兄さんはドスの効いた声で玉城に詰め寄った。

「隊長補佐の分際でロロをこき使うとは、一体どういうことだ。
まさかロロがおとなしいのをいい事にいじめてるんじゃ・・・・・・。」

「ゼ、ゼロ、それは誤解だぜ?
さっきも俺がロロ隊長にお茶を入れてやろうとしたら何か走ってきて代わってくれたんだ。
な、ロロ隊長!」

「う・・・うん・・・。その・・・僕の方が年下だし、玉城さんはずっと黒の騎士団に居た人だし・・・僕がやった方がいいかな・・・って思って。」

「ロロ・・・!!なんて謙虚な・・・!」

ゼロは僕をがっしりと抱きしめた。
うわぁぁい
苦労も吹っ飛ぶよ。

衣装も変わって仮面もかぶっているけど、兄さんのいい匂いがする。やっぱりゼロじゃなくて僕の兄さんだ。うれしいな。

「ロロ・・・、お前が天使のように優しく気遣いの出来る奴だと言うことはこの私もよく知っている。
しかし、分というものがあるだろう?
お前は隊長なんだ。そんな事をしなくてもいいんだよ。
さ、掃除や書類の整理は玉城に任せて私の部屋においで。
美味しいお菓子を用意してあるんだ。」

「え♪うん、行・・・。」

とふらふら頷きそうになってからハッとする。
玉城に任せてこの部屋を後にする!?

駄目だ!!
それだけは駄目だ!!!

帰ってきたらどんなおぞましい部屋になっているか知れたものではない。
しかも今日中に提出しなければいけない書類がまだまだあるのだ。
本当はその書類だって余裕をもって仕上げておいたのに、ちょっと机の上に置いたままトイレに行っている間に玉城に珈琲を見事なまでにこぼされて全部やり直しているところなのだ。

玉城は

「ちょっと珈琲の染みが付いてたってちゃんとした書類にはちがいないんだからそのまま出しちゃえよ。透かしてみればちゃんと読めるって♪」

なんて気楽に言っていたが、染みだらけの書類約30枚を潔癖できれい好きの兄さんに差し出す勇気など僕には無い。

やっと8割がた書き直したというのに、玉城を残して行けはしない・・・。
ああ、僕の幸せな時間がっ!!
優雅なお茶と美味しいお菓子が僕を呼んでいるっていうのに


   その3に続く


ルルーシュと正反対の玉城との半共同生活を書いてみたくてやっちゃったのですが、イジメるどころかヒドイ目に・・・。あれ?
昨日、おとといと、2日がかりでラストまでの大まかなストーリーを書いていったのですが、8~10話位になりそうです。
元々湖面の方を本編13話ぐらいに続けて、最終話辺りまでを捏造しようと思いながらも途中で挫折したのですが、今度は何とかなりそうです。
義父が来る前に出来るだけ書き溜めて手直しを入れながら週1で出していこうと思います。
それでロロの1周忌までは続けられるような・・・。

昨日初めて胡麻豆腐を手作りしてみました(旦那がセットをもって帰ってくれたので)
けっこうはまりそうです。超簡単なのに美味しい♪(それに手作りの方が安い!!!)
苺も今なら1パック100円ぐらいで小粒のB品が売ってるので大量にジャムを作りました♪
・・・でも、子供がそれは無いだろ!!と言うぐらいパンに塗るのですぐなくなっちゃうんですが・・・
体調が良くなって来たし気候もいいので凄くうろうろしたいけど、出来ないのでこうやって気晴らししています。
今日はバイトが無いからパンでも作ろうかな?


その手のひらに その3
2009年05月19日 (火) | 編集 |
結局兄さんからのお茶の誘いは断って、泣く泣く書類の復元作業を続行する事にした。
だって僕は知っている。
兄さんは僕を戦いに巻き込んだ事を不憫がってアレコレと気を使ってくれるけれど、今僕らが置かれている状況は決して楽観できるものではない。
少しでも兄さんの役に立って兄さんの心の負担を取り除かねば。
玉城に足を引っ張られてる場合じゃない。

それにしても僕の天敵は咲世子ぐらいだと思っていたけれど、こんな所にも居たとは・・・。

咲世子と言えば、彼女は大丈夫なのだろうか。
ちゃんと兄さんの影武者の役を果たしているのだろうか。
彼女は今兄さんだけでなく、僕の影武者も勤めている。
それだけは勘弁してくださいと先日の玉城のように兄さんに頼んだけど、背に腹は代えられなかったようであっさりと却下されてしまった。

帰ったらあちらもまた恐ろしい事になってそうで気が重い。
まさか帰宅したら僕にも108人の女とのデートが待ってないよね。くすん。

まぁ、ヴィレッタ先生やシャーリーさんが居るから大丈夫だと思うけど・・・。


実はシャーリーさんも先日から僕らの仲間となり、ビレッタ先生や咲世子と連携を取りながら、学園での僕らの場所を守ってくれている。
もちろん兄さんはシャーリーさんが黒の騎士団に入団する事について青筋立てて大反対したが、ギアスをかけてまで反対することはできず、結局彼女に押し切られるような形で仲間となった。

ただ、シャーリーさんは一般人なので危険な事は一切させず、影武者の暴走を止めたり、黒の騎士団の方に行ったきりの僕らのアリバイを作って他の生徒達に不信感を抱かれないようにする仕事を任せている。

組織での正式な訓練を受けたことも無い彼女に何が出来ると最初は侮ったが、彼女は空気を読むのが素晴らしく上手く、僕らの居場所を優しく守ってくれた。

何と言っても彼女は先日のキューピッドの日以来、兄さんの恋人と言う事になっている。

その事実は腹立たしいが、居もしない兄さんとのデートを装い毎日クラブハウスの僕らの部屋に通ったり、その後僕の風邪がうつって寝込んだことになってる兄さんの看病を口実に、これまた他の人たちを部屋に寄せ付けないよう頑張ってくれている。

一言の文句も言わずに。

部屋に兄さんは居ないというのに。

突然訪ねてくるアクの強いラウンズや空気の読めないクルルギたちを「もう!せっかくルルといい雰囲気なのに邪魔しないで下さい!!」と元気に追い返してくれたりもしたそうだ。
監視カメラの細工担当のヴィレッタ先生が定期連絡でそう言っていた。
シャーリーさんは、咲世子よりはよほど機転が効いていて本当に使える。

とても感謝しているが、僕は彼女を殺そうとした事のある身なので正直複雑な気持ちでもある。

僕はシャーリーさんが苦手だった。むしろ嫌いと言ってもいい。
何不自由なく育ったくせに何ももたない僕から、僕の全てである兄さんを奪おうとする盗人。そう思っていた。
そんなある日ジェレミアが現れ、戦いの舞台に一人きりで居る彼女を見つけた。

「取り戻してあげたいの・・・ナナちゃんだって・・・。」

そう言った彼女に今まで押さえつけていた感情が爆発し、殺意が芽生えた。
ナナリーは僕の敵。
僕の居場所を完全に奪う恐ろしい敵だ。

とっさにギアスを発動させて彼女が握っていた銃を手に取った。
そして心臓に狙いを定めて引き金を引いた。

しかし、僕はシャーリーさんを撃てなかった。

「あなたはルルが好き?」

偽物だと解っているはずの僕に彼女は真っ直ぐな瞳でそう聞いた。
そして、僕が兄さんの事を好きだと告げると、それを信じて微笑んでくれた。

その時の彼女の顔が一瞬脳裏を支配した。


僕の銃はシャーリーさんを貫かず、掠めるようにして、後方の窓を割った。
狙った対象を仕留めそこなうなど、今までの僕には考えられない事だった。
それもこんな至近距離で。

混乱してパニックになりかけた僕をギアスの切れたシャーリーさんはその手に持つ銃ごと抱きしめてくれた。
そして、

「大丈夫。私は何があってもルルの味方だから。もちろんロロの事も大好きよ。ルルの事、好きでいてくれてありがとう。」

と静かに言ってくれた。
その言葉に落ち着いてしまった自分に僕は驚いた。

シャーリーさんは僕に「信じてくれてありがとう。」と重ねて言って、微笑んだ。



それ以来、シャーリーさんは仲間となり、学園で僕らの居場所を守りつつ、生徒会の皆が心配しないよう咲世子と共に芝居をうってくれている。

ジェレミアは素性を隠して僕らの仲間となり、ほどなく黒の騎士団の第二親衛隊長となった。
一昔前の怪盗のような仮面をかぶり、髪をオレンジ色に染めているところから団員達の間で密かにオレンジ仮面と呼ばれているようだが、きわどいところで素性はばれてない。

ジェレミアはゼロと対立したことで有名な上、純血派としてクロビス殿下の元、新宿ゲットー殲滅作戦に加担した事もあるので正体がばれたらやばいどころの話じゃない。

それでなくともハーフとして紹介されているが、ブリタニア人にしか見えない僕と髪をオレンジに染めて仮面を付けてもやっぱりブリタニア人にしか見えないジェレミアの二人を続けざまに親衛隊長・第2親衛隊長の任に付けたのだ。
元から長く居る団員達の反発はどうしても出るだろう。


しかし心配した事態にはならなかった。

食堂に行くとジェレミアは何故か皆に囲まれて目頭をハンカチで押さえていた。

「・・・・・・と言うわけで、私の人生は挫折だらけだったのだが、やっと念願のゼロ様にお仕えする事が出来て・・・うう・・・この上なき幸せなのです・・・!!」

食堂の端っこの方でこの異様な光景を呆然と眺めていたら、ぽん・・・とC.Cに肩を叩かれた。

どうやらジェレミアはC.Cにそそのかされて嘘の可哀相な生い立ちを捏造して喋ってるらしい。
元々は生真面目な性格と聞いていたけど、中々やるなぁ。
ま、後々の事を考えると悪くは無い策だよね。

感心していると、

「ロロ隊長~!!こっち、こっち!!!」

と呼ぶ玉城の声が聞こえた。
ものすごく聞こえないフリしたかったけど、玉城の声はでかい。

それに、僕もジェレミアの話を聞いてみたかったので、その輪の中にい居る玉城の所に行くことにした。

「ロロ隊長、このジェレミーって奴、見かけはキザでいけ好かないと思ったけどすっげー苦労してるみたいなんだぜ。」

玉城がちょっとしんみりと気の毒そうに言う。

「ふ~ん。どんな苦労?」

僕は下らないと思いながらも一応聞いておくことにした。

玉城が手短にした説明によると、ジェレミーこと、ジェレミアは、とある名門貴族の家に生まれるも、双子は不吉であるという家の言い伝えにより存在を抹消され、密かに地下室で育てられたことになっていたらしい。

何だかありがちな設定だな~。
すごく胡散臭いし。

しかし玉城は疑いもしない様子で説明を続ける。

・・・そのままじゃ、アレなんで要約すると・・・ジェレミーは少年期に自分の不遇に反発して家出し、反政府組織に飛び込んで戦ううち何度も死線をさまよい、今では義手義足・・・身体のほとんどが機械となってしまい、顔にも大きな傷があるので仮面を被っている・・・・という事になっていた。

なるほど。こっちは中々もっともらしいじゃないか。

「でも、ジェレミーと言い、ロロと言い、ブリタニア人でも結構大変なのねぇ・・・。」

ちゃっかりと輪の中に居たラクシャータさんがため息をついて言う。

え?僕?
何か大変だったっけ・・・。

「C.Cに聞いたけど、あんた、ゼロが若いときの過ちで出来ちゃった子供なんだって?」

「は?」

「その挙句、相手の女には生粋のブリタニア人じゃないからって生み逃げされて・・・。お金も騙し取られて・・・。あんた、お母さんの顔も知らないんだって?
あたしがお母さん代わりになってやるよ。そんなひどい女の事は忘れて困った事があればあたしに言いな。」

「は・・・はぁ・・・どうも・・・・。」

何か知らない間に僕の過去も捏造されている・・・・・・。
しかも兄さん、女に金を騙し取られて逃げられた甲斐性無しにされてる・・・・・・。

「可哀相だよな、ロロ隊長。
お母さんが居ないから、小さい頃からゼロを手伝って家事三昧だっり、内職の造花作りしたりしてて遊ぶ暇も無かったんだって?
ゼロも隊長も異様に料理・洗濯・家事一般が上手い上に手先が器用だから変だな~とは思ってたんだ。」

玉城が目に涙まで浮かべて気の毒そうに言う。

いや、お前が家事出来なさすぎなんじゃ・・・・・・。


「日本との戦争が始まって君もブリタニアで苦労したんだな。」

今度は藤堂のおっさんがしみじみと言う。

「当時ブリタニアに居た君は、日本人の血が混じっているという事で、いじめられて育ったそうじゃないか。子供に罪は無いのに、気の毒な事だ。」

「だから性格が曲がってしまったんだな。本当に気の毒に。」

藤堂に続いて朝比奈も言う。

誰の性格が曲がってるって?
どさくさに紛れて今さらっと言ったな

しかし、前回に引き続いて乱闘騒ぎを起こすとさすがにまずいので、お守り代わりの携帯をぎゅっと握って耐えた。

「・・・まあでも君・・・よくやってるとは思うよ。」

朝比奈がポツリと言う。
え?
いつも嫌味しか言わない朝比奈が、どうしたって言うのだろう。
何か悪いモノでも食ったのかな?

あの玉城を6日も使ってへこたれるどころか優しく面倒見てやってるんだからな・・・。業務も遅れなく完璧にこなしているみたいだし・・・。」

フッ・・・・・・と遠い目をして言う。

「そう、あの玉城を!!」

「ああ、あの玉城を!!」

「そうね。あの玉城を!!」

「見直したよ。うちの部署でも来たことあったけどもう使えなくて使えなくて1日でつき帰したんだ。」

「ええ、うちの部署でも。」

「俺の部署でも。」

「うちもだ!!」

人々が次々と叫ぶ。


・・・なんか変なところで僕の評価が上がってる・・・。
玉城は逆切れしてわめいていたケド、なんだ、皆一回は玉城の被害にあっていたのか。

だけどこう皆で責められちゃ、何だか玉城が気の毒な気がする。
僕にも覚えがあるけど、周り中の同僚にあしざまに言われるのはけっこうきついんだよ。
気にしないようにはしてたけどね。

「・・・まあ、玉城も頑張ってるよ。」

何だか急に玉城を庇いたくなった。

何をやらせても駄目だけど、別に悪気はないんだよね。
僕が疲れてるって言ったら、お茶を入れようとしてくれたし、僕の嘘の経歴を聞いて同情もしてくれた。
初日から大乱闘をやらかして浮いてしまった僕にも分け隔てなく声をかけてくれる。

それに他のやつら(特に朝比奈)が兄さんの悪口を言っても玉城は決してそれに乗らない。
いつも兄さんのために憤慨してくれる。

馬鹿でアホでどうしようも無い奴だけど、優しいところもある。

「行こう・・・玉城。僕がちゃんと美味しいお茶が入れられるように何度でも付き合ってあげるよ。」

そう、何も出来なかった僕に兄さんが根気良く教えてくれたように僕も・・・。



後の事は部屋に戻ったのでよくわからないのだけど、その後も僕の噂はあちこちで吹聴され、
元々僕には『ゼロの隠し子』疑惑説があったのだが、この日を境に公式にゼロの子供ということになってしまった。


   その4に続く


もうすぐXデーが近づいてきます。
今自動投稿でも対応できるよう必死で全部書き上げています←未完になると何となく気持ち悪い。

私の願望の入ったパラレルなのでシャーリーは死にません。
あそこから歯車が狂ってしまったので。

兄さんはシャーリーを保護してくれた(と思っている)ロロの事を前よりいっそう可愛がってるし、戦いの場に巻き込んだことを不憫に思っているのでロロに対してめちゃくちゃ甘いです。

ヴィレッタ先生はシャーリーが死亡しなければずっと味方でいてくれたと思います。(多分彼女はルルがギアスで自殺に見せかけて殺し、葬式にさえ出てこなかったと思って裏切ったと思っています。それまでけっこう温かい目でルルロロを見ていたし、ほっておけばいいのにアーニャからルルを助けたりしていたしね。あの咲世子にも『あなたとは良好な関係が築けたと思いましたのに残念です』と言われてたし

次回はシリアス率95パーセントです。

義父が来るとしばらくルルロロサイト様めぐりも出来なくなるので今のうちに・・・とこっちもちょろちょろ見てますが、ウイルスが怖くてあんまり廻れてません・・・。
一応対策はしているけど、早く落ち着かないかな~?
リンク先サイト様は感染者はいらっしゃらないと思います。
うちが大丈夫って事は多分大丈夫。
だってしょっちゅう見に行ってたもの(今もですが)


拍手・コメントありがとうございます♪
とっても励みになります☆

返信はこちらから

[続きを読む...]
 その手のひらに  その4
2009年05月19日 (火) | 編集 |
「何故俺がロロのパパなんだ俺はまだ18歳なんだぞ!!!」

意外とこういう噂に疎い兄さんの耳にも僕らの噂は入った。

「いいじゃないかルルーシュ。
オッサンだと思われた方が貫禄が出るし正体もばれにくい。
隠し子説は元々あったんだ。
私はソレを面白おかしく吹聴しただけだ。」

「するな!!!!」

「ああ、怖い。怖いな、お前のパパは。気も短いし。コレじゃ女に捨てられてもしょうがない。
な、ロロ?」

C.Cが僕の後ろに隠れながらわざとらしく言う。

僕はこの魔女が苦手だ。
ギアスも効かないし、兄さんをこき使う。

たまに殺意が芽生えるが、V.Vの同類と言うことは殺したって死にやしない。やるだけ無駄と言うことだ。

「・・・うちのパパはすごく優しいです。」

仕方なくC.C似合わせているのはこの設定、意外と使えるからだ。

あれ以来兄さんが僕にべたべたしても、誰も『この新参者が!!』という目で見てこない。
むしろそっと目頭を押さえながら温かい目で見てくれる。(何故だろう?)

ゼロの私室に勝手に入っても誰も咎めないし、僕から兄さんにべたべたするのももちろんOKだ。


何かラクシャータさんも異様に僕に優しくなったし、朝比奈でさえあんまり嫌味を言わなくなった。

それに、あんなに優しい過去話を作ってくれて僕は内心ちょっとC.Cに感謝している。(年寄り扱いの上女に金を騙し取られて逃げられた事になってる兄さんには悪いけど)

兄さんと親子で、二人っきりで過ごせてたなんて、嘘の設定でも嬉しい。
しかも、兄さんを手伝って家事三昧で暮らせてたなんて。

響団で過酷で寒々とした生活しか送ってこなかった僕には、ああ!夢みたいに幸せな設定だ。

僕の仕事といえば暗殺ばかりだったけど、造花作りが仕事と言う設定も最高だ。
綺麗な花を兄さんと楽しく作ってる自分を想像して浮き浮きしてしまう。
C.Cって意外と優しいなぁ。(兄さんにまとわりつくから嫌いだけど)






時間はちょっと戻るけど、ジェレミアが僕らの仲間となった事で、カレンの居ない間の戦力的ダメージはほぼ無くなった。
しかし、彼が戻らないとなるとV.Vが不審に思うので、兄さんはあの超優秀な頭で策を練り、騒ぎのあった当日にはもう手を打っていた。
さすが兄さん!!
やっぱり僕の兄さんは凄いなぁ・・・!!


情報操作は兄さんの得意技。

例の学園襲撃の際、ジェレミアがヴィレッタに

「実はマリアンヌ様の遺児であるルルーシュ殿下を密かに守りにきた。昔のよしみで協力してくれ。」

と告げたため隙を見て帝国の裏切り者として、毒殺し、念のため完全に破壊したとブリタニア皇帝には報告しておいたのだ。(その際、ジェレミアの告白記録も捏造して証拠品として提出した。皆でノリノリで芝居して、けっこう面白かった。)

また、ジェレミアは誰かからルルーシュ暗殺を請け負って来たらしい事も機情を通じて皇帝陛下に報告しておいた。
ジェレミアを預かっていたのがV.Vだという事を皇帝も知っているそうだから、今頃V.Vは皇帝に問い詰められて大慌てだろう。

V.Vは皇帝に内密でジェレミアを刺客として差し向けたらしい.。

こんな形でC.C捕獲作戦に水を差され、皇帝はさぞかし怒るだろう。
せいぜい仲間割れしてくれればいい。(でも僕も兄さんに内緒でナナリーやシャーリーさんを殺っちゃおうかと思った事があるので、ちょっとズキッっときたけどね

ただ、そんな時間稼ぎをしてみてもV.Vが動き始めてしまったのでは、兄さんの記憶が戻ってしまった事を知られる日は近い。




「・・・・・10日が限界だな。ごまかせるのも。このままでは学園が騒乱に巻き込まれてしまう。
もう戻れないかもしれないが・・・ついてくるか?ロロ・・・。」


決して僕に危ない事をさせようとしなかった兄さんだが、さすがに僕の協力がいると思ったのか、黒の騎士団に連れて行ってくれた。




そして運命の日はやってきた。
響団の位置が完全に特定できたのだ。


響団は軍事施設ではない。
大勢で正面から押し切るより、少数の精鋭で乗り込む方が効率が良い。
ゼロ番隊第二親衛隊長補佐の木下以下十数名のナイトメア隊を響団からやや離れた所に隠したまま、兄さん、僕、ジェレミア、C,Cの四人で突破をかける事とした。

ちなみに玉城も付いてくると言い張ったのだが、ついて来られたらトラブル発生率100パーセントなうえに、絶対死ぬだろうから、こっそりおやつに下剤を混ぜておいた。
多分今日1日はトイレから出てこられないだろう。
その間にこっちのカタをつけて急いで帰らなきゃ!!
さもなきゃ僕の美しい部屋と完璧な書類がまためちゃくちゃに・・・
あ・・・思い出したらめまいがして来た。


ものすごく足手まといになりそうなC.Cにも下剤入りのピザを届けたのだが、すっかりぺろっと平らげたはずなのにピンピンしている。
多分毒薬を盛ってもぴんぴんしてるんだろうな。さすがV.Vの同類だ。

僕らは少人数で突入するのだから、C.Cのフォローまでは出来ないと思うけど、ま、死んでも生き返るしあとで回収しとけばいいよね♪



ジェレミアの響団情報は僕のあいまいな情報と違って正確だった。
それはそうだろう。

僕は皇帝からの正式な依頼を得て迎えに来た特務の男にひっそりと連れ出された。
道具であるギアスユーザーに響団の位置は知らされていないし知る必要も無い。
だから広大な中国のどの位置に響団があるのか僕は知らない。

それでも響団の周りの四季の移ろい方、それに合わせた日の出、日の入りの時刻、温度、自然の様子、時々現れる野生生物、植物などの情報など、僕から引き出せる情報の全てを兄さんはたどった。

そしてジェレミアが現れる前からある程度の位置は特定していた。
しかし、そこからの絞込みがはかどっておらず、苦労していたのだが、ジェレミアの情報により、詳細な位置まで完全に特定できた。


ジェレミアは皇帝には内密にこっそりとV.Vと共に響団を出立したので操縦も彼自身がやっていた。

名門貴族である彼は司令官となるべき教育を子供のうちから叩き込まれている。
ブリタニアと敵対する中華の地理もよく知っていた。
航空記録など持っていなくとも正確に元いた位置を兄さんに示す事が出来た。




一つ息をつき、地上すれすれを飛ぶ旧世代の航空艇より乾いた地上を見る。
サクラダイトを検出し、反応を捕らえるレーダを避けるため、わざわざオイルで動く小型の旧式飛行艇を用意しておいた。僕たちは木下と別れてそれを使って移動した。

それも響団施設が近づけば乗り捨て、今度は徒歩で歩く。

懐かしい風が肌を撫でる。
教団は僕の故郷とも言える場所。
そしてV.Vは僕の親代わりであった人。

と言っても、実際はそんないいものではなく、無能と判断されたら即処分され、厳しい統制の元、任務こそ全てと徹底して教育される。そんな場所。

そこでは人間らしい感情は悪として扱われ、帝国に仇成すものの命をためらい無く摘み取る事が究極の善とされていた。

教団には幼いギアスユーザーが大勢居る。
愛という言葉も、情という人間の根幹も持ち合わせる事を許されない、純粋な戦闘集団。
響団を落とすなら、実はV.Vよりも彼らの方が障害となる。

彼らを抑えるのが今回の僕の最大の役目だった。

大丈夫。出来る。
僕のギアスは欠陥品だが、彼ら全てのものより強い。
そして僕は彼らをよく知っている。
うまくやればあっという間に片がつく。


周りを見渡せば砂漠のような砂にごつごつとした岩肌。
乾いたギアスユーザーの心のような。


兄さんの体力が心配だったけど、何とか頑張ってくれた。
黄砂を防ぐためのサングラス、1時間分のわずかな水、携帯できる銃、ナイフ、手榴弾、催眠ガスそれらだけが僕らの持ち物。





たどり着いた響団のアジトには先頭に機械の身体を持つジェレミア、次に兄さん、C.C、最後に僕の順で侵入した。

すぐに4人ほどの衛兵が出てきたが、僕らの敵ではなかった。
僕はすぐさま全員の時を止め、銃を素早く奪うとギアスを解いて一歩下がった。

ジェレミアが心得たように一瞬で3人を気絶させ、一人の兵士の腕を後ろにねじり上げ、口をふさいで兄さんの前に引きずっていく。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる。お前は俺達の奴隷となれ!!」

待ち構えていた兄さんが瞳を染めて兵士に命ずる。

ああ兄さん、兄さんが言うと非情な台詞もカッコイイ!!

ジェレミアが倒れていた兵士に次々とカツを入れ、兄さんも次々とギアスをかけていく。
途中現れた兵士もこの調子で支配下に置き、進んでいく。

C.Cが、
「確かこういうゲームをやったことがあったぞ。侵入してくるゾンビにかまれるとそいつもゾンビになるっというゲームだったな・・・。いや、ルルーシュの方がゾンビよりたちが悪いか。」

などとつぶやく。

失礼な。僕の美しい兄さんをゾンビと一緒にするなんて。
でも兄さんはこんなのは慣れっこなのか平然と聞こえない振りをしていた。


支配下に置いた数人に建物内の監視装置を切るように命じ、他のものには合図があるまで元の持ち場に戻って警備を続ける振りをさせる。

そして僕とジェレミアの案内の元、まずは落としやすい研究員を片っ端からギアスにかけて支配下に置きながらギアスユーザーを探す。
ギアスユーザーは今の時間なら格闘訓練場にいるはずだ。

研究員から奪った鍵と暗唱番号で鋼鉄製の扉を開ける。

猛獣の唸り声の聞こえるだだっ広い広間では数人の子供たちと手負いのライオンが戦っていた。
いきなりドアが開けられた事で一瞬気を取られた子供の一人にライオンが飛び掛っていった。

とっさに時を止め、ライオンの喉笛を一突きにして蹴り飛ばす。

「ロロおにいちゃん・・・。」

子供の瞳が懐かしそうに見開かれる。

「・・・うん、元気にしていましたか?」

優しくそう聞くと子供は眼を見開いたまま何度も頷いた。
ギアスユーザーは非情でなければいけない。
戦いとなればこの子等も非情に徹するが、まだ年端のいかない少年少女たちは長年暗殺だけを続けて来た僕とは違う。
教育により情のほとんどは機能しなくなっているが、ほんのわずかに残った親兄弟を慕うような気持ちを僕に向けてくることもある。
それに応える事は禁じられていたが、兄さんと知り合って変わった僕は彼らが不憫でならなかった。

響団に体の調整をしに帰った時、V.Vに隠れてこっそりと菓子などをやったこともある。
彼らとのかかわりはその程度のものだったのだが、よほど嬉しかったのだろう。V.Vが居ない時には彼らは僕のことをロロお兄ちゃんと呼ぶようになった。

「皆、よく聞いて。僕は君達を連れ出しに来た。もう戦ったり、殺したり、痛い思いをしなくていいんだよ。」

そう言うと子供達は首をかしげた。

「戦わなくていいって事は・・・僕ら、処分されるの?もういらないの?」

「違うよ。この人の眼を見て。この人の瞳は幸せを運んでくる瞳なんだよ。」

そういって兄さんの方を示した。


聞きなれない「幸せ」という単語を聞き、不思議そうに兄さんを見る子供達にギアスがかけられる。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。お前たちはギアスと響団に関するすべてを忘れて明日まで眠れ。」

これでいい。
記憶をいじるのはあまり気持ちのいいものではないけれど、かつて皇帝が兄さんのギアスを記憶と共に封じる事が出来たのだから、これでこの子達ももうギアスを使えなくなる。

それに人を殺して来た記憶なんて無い方がいいんだ。
ある程度成長した僕には耐えられたけど、こんな小さな子供達が自分の罪と向き合えば精神が崩壊してしまう。


その時、後ろでゆらめく影があった。

「ずいぶん勝手な事をしてくれるね。ルルーシュ。」

長い金糸の髪を揺らめかしてV.Vが現れる。
手にはマシンガン。

「裏切り者のロロ。そしてジェレミア。あんなに眼をかけてやったのに、この僕を裏切るんだね。言っておくけど、僕はどういう風にされても死なないよ。最後に勝つのは僕だ。」

そう言ってためらいもなくマシンガンを連射する。

マシンガンの前に立ちはだかったのはC.Cだった。

C.Cの腹を貫通したいくらかの弾丸が、兄さんを庇って立つジェレミアの機械の身体に音を立てる。
僕はとっさに足を払い、体の下に押し込んだ兄さんを守りながら様子を伺う。

普段は玉城並にだらしなく、どうしようもない女であるはずのC.Cがマシンガンで穴だらけにされた腹を庇おうともせずにV.Vを睨みつけていた。

「・・・こんな風に殺したんだろ。マリアンヌを。」

ぎょっとしたようにV.Vの瞳が見開かれる。

「お前は嘘の無い世界を願っていた。それなのにお前は嘘ばかりついてきた。
シャルルに、私に、自分に。何故だ?」

「・・・決まっている。嘘の無い世界を作るためだ。」

V.Vはせせら笑った。

「嘘を重ねたその口で、嘘の無い世界を望むのか。哀れだな。
お前はマリアンヌの事も本当は好きだったろう?」

「好きじゃない!あんな女。シャルルをたぶらかす魔性の女だ!!」

「違う。お前はマリアンヌが好きだった。そして、本当は人間として生きていける、マリアンヌに愛されるシャルルになりたかったんだ。」

「違う!違う!違う!!僕はシャルルの兄さんだ。シャルルの幸せだけを願って来たんだ!!」

「違わない。人の世から・・・人としての時間から取り残される恐怖を私は知っている。
まだ年若いお前には、それに耐えられなかったんだ。」

「違うと言っている!!僕はそんなに弱くない!!」

再びマシンガンを構えるV.VにC.Cが歩を進める。

「無駄だ。私は死なない。撃たれても。焼かれても。砕かれても。」

「う・・・・・。」

初めてV.Vが恐怖の色を浮かべる。

本来ありえるはずの無い、コード保持者同士の戦い。
それは戦いをかいくぐって来た僕にも凄絶に思えた。
お互い死なないのだから果てが無い。

神話にある不死身の神同士の戦いを見るような神聖さに飲まれ、戦いのプロであるはずの僕とジェレミアは唯呆然と成り行きを見守っていた。

「V.V。私は嘘のある世界に価値が無いとは思わない。」

V.VがC.Cから逃れるように彼女の歩んだ歩数分下がる。

「優しい嘘だってあるんだ。大切な人を守るための嘘も。」

「違う・・・嘘は全ていけないんだ!!
皆、皆、僕とシャルルを騙した。騙して優しそうに近づいて、普通の暮らしも、母様の命も奪ったんだ。
シャルルが皇帝になってもそれは変わらなかった。
騎士の剣にかけて忠誠を誓ったはずの旧ラウンズのほとんどもシャルルを裏切った。
この世は嘘つきしか居ないんだ!!!」

再び乱射されるマシンガンに一歩も引かずC.Cは進み続けた。

「痛い。V.V。心が痛いよ。」

そう言って差し伸べた手でC.CはV.Vを優しく抱きしめた。

「お前も、心が血を流しているんだな・・・。」

C.Cの体から力が抜け、瞳が力なく閉じられる。
すぐに蘇生するとわかっていてもあまりにも痛々しく、そして美しい姿だった。

僕は女性を美しいと思うことはほぼ無い。
人間を美しく思うことも。

所詮血と肉の詰まった皮袋。
そう思って殺して来た。

でも彼女の姿は聖女のようで・・・幼子を守る母のようで、その凄絶な美しさに眼を奪われた。

「C.C-っ!!」

兄さんの悲痛な声が響く。

「しっかりするんだC.C!!」

まだ蘇生の始まらない身体をゆらして兄さんが絶叫する。

普段なら兄さんにうるさくまといつくC.Cなど居なくなってしまえばいいと考えていたが、C.Cを抱きしめて泣く兄さんを僕は息を詰めて見守った。

「拘束させていただきます。」

ジェレミアが呆けているV.Vの後ろ手を縛り上げたが、何の抵抗もなかった。
僕らは完全に響団を制圧した。



   その5に続く



響団の幼いギアスユーザーにお菓子を上げるというエピソードは昔にも実は使ったことがあります。
14話本編派生のロロ爆殺前夜のお話です。
本当~に暗いお話ですが、興味のあるチャレンジャーは覗いて見て下さい。こちら→『償い

実はコレを書いた当時から、このお話の救済版を書きたかったのですが、中々書けないままでした。
シャーリーの生存といい、今回といい、あいたたた・・・・という設定ですが、こんな展開が夢でしたので、どんどん行っちゃいます

ありきたりであっても優しい展開を・・・そんなSSを目指しています。


話は変わりますが6月1日はヴィレッタの誕生日だったようです。
・・・と言うことは先生、28歳に?
そろそろがけっぷちにますます大人の魅力あふれる色っぽいオネー様になるのでしょうか?
とりあえず最近子供らが外行って遊んでくれるのでその間に超こそこそヴィレッタ描いてみました。(いきなり帰って来たらダミー画面に差し替えて対処・手洗いの間に消す!!)
・・・でも服をシンプルにしてもやっぱり3時間以上かかる・・・。早く描けるようになりたいです・・・。

viretta11_convert_20090603121614.jpg


・・・と↑28歳になった当時UTは思ったのですが、今から考えると28歳なんて素ッ極若くて羨ましいわぁ




ちなみに今書いているお話は無事最終話まで書き終わりました。(ギリギリまで修正入れますが)
毎週金曜日UP予定です。
義父が来た後は全部自動投稿に・・・と思っていたけど、日にちを遡って投稿しないとブログだと続けて読めないのでどうしようかなぁ。
私の朝は早いけど、義父も早そう・・・。
テレビを見てる間にUPしてしまおうと思っているけど出来なかったらチャンスが無かったのね~と思っておいて下さい。
文字だけで地味なSSサーチ様の登録は義父がいても隙を見て出来そうですが、派手なギアスサーチ様はもしかして登録出来ないかも・・・。トイレに行ってる隙にやるしかありませんね。
一応半同居なので近くにアパート借りてもらうけど、1週間ぐらいは完全同居になると思うし、その後もこちらに友達が居ないので入り浸り状態になると思います。
でも、折角決心して遠い所から来てくださるのだから楽しく過ごせるよう、きちんとしないとね
義父は6月14日に来ますので、それまでにやりたい事をやっときます♪(倒れない程度に)


あと・・・WEB拍手の方、お礼文を載せるのにとても使いやすくて助かっていたのですが、有料なので14日までに手を引きます。もうお礼文まで書く余力がないので
すみません。(現在拍手はFC2拍手とWEB拍手2種類使用しています。お礼文が出るのはWEB拍手の方です。FC2拍手は無料ですのでそのままです。)

暇があったらお礼文もまとめてブログに移して載せようと思ってます。
間に合わなかったらすみません
いただいたコメントは全てコピーして保存しておきます。
読んで下さった皆様、コメントくださった皆様ありがとうございます。
ネタが浮かばない時、何回も読み直してテンション上げさせていただきました。
もうしばらく頑張りますね☆


拍手コメントのお返事はこちらから♪





[続きを読む...]
その手のひらに  その5
2009年05月19日 (火) | 編集 |
ジェレミアのギアスキャンセラーで響団員のギアスを解除した後、改めてギアスの研究データ全てとC.Cに関する事を忘れるように兄さんが命じた。

そして、研究していたのは死なない兵士についてだと思い込ませた。

潜ませていた木下たちを呼び寄せて、施設の一室に閉じ込めた響団員を拘束し、更にジェレミアが使っていたジークフリードを回収した後、響団基地を完璧に破壊しつくした。

これでギアスの事が黒の騎士団に漏れる事は無い。
しかし・・・。

「兄さん・・・。これだけ派手にやったんだ。兄さんがゼロだって事はすぐ皇帝にもバレるね。」

そうなって誰より困るのは兄さんのはず。
しかし兄さんは、

「ああ・・・。想定通りだ。何も心配する事は無い。」

とニヤリと笑った。



その頃スザクは皇帝から命を受け、クラブハウスのルルーシュたちの住まいに踏み込んでいた。

「シャーリー!!退くんだ!!」

いつもの温和なスザクはもう何処にもいなかった。
シャーリーを突き飛ばし、部屋に土足で踏み込む。

もちろん、ルルーシュはいない。

「シャーリー、ルルーシュは何処に行ったんだ!!」

スザクが鬼の形相でシャーリーに詰め寄る。
しかしシャーリーは、少し首をかしげ、ルルーシュのベットを差した。

「もう、スザク君ったら何怖い顔してるの?
ルルだったらそこで寝てるじゃない。まだ熱があるんだから静かにしてよ。」

スザクは改めてベットを見るがもちろんルルーシュはいない。

「くっ・・・!!ギアスか!?ルルーシュの奴シャーリーにまで!!」

そう言うや否や部屋を飛び出した。

後に残されたシャーリーは、腰が抜けたように座り込んだ。

スザク君を騙しきった・・・。

彼女はそっとつぶやいた。

元々ルルーシュからばれた時の策を授けれれていたけれど、それは大役で、気の張るものだった。

でも見事果たせたのだ。

私、ルルの役にたったよ。
絶対守ってみせるから。
だって私はルルの事が大好きなんだもの・・・。




スザクが次に向かったのは機情の司令室だった。

「ルルーシュはどこだ!!」

叫べども局員達は穏やかな顔で

「何も異常はありませんよ?」

と繰り返すばかりでらちがあかない。

「ヴィレッタはどうした!!」

「・・・さぁ・・・そう言えば数時間前に何処からか通信を受けた後、ロロと共に出て行かれましたが、行き先はわかりません。」

しまった。やられた。

ヴィレッタもギアスにやられたに違いない。
局員達も全員ギアスに掛かっている。
おそらくロロも。

ルルーシュはナナリーを見捨てて逃げたのか・・・。

スザクはがっくりと膝をついた。

ルルーシュにまんまとしてやられた事より、あの男が最愛の妹ナナリーを見捨てた事の方が何故かショックだった。

どうして・・・。

どうしてなんだ、ルルーシュ。








「ねえ兄さん。ナナリーは大丈夫かなぁ・・・。」

本当はナナリーが消えてくれたらいいのにと思っていた僕だけど、そうも言えないのでこういう風に聞いてみた。

「当たり前だ。C.Cが言っていた。V.Vはシャルルの双子の兄で何物にも変えがたい存在だと。
二人で何かろくでもないことをたくらんでいたらしいが、その計画もV.Vを取り戻さなければ成り立たないらしい。
あいつの事だ、いずれナナリーを切り札にしてくるだろうが、V.Vを押さえている限り問題ない。
奴は秘密基地のカプセルの中で半冬眠状態で眠り続けている。

ナナリーも今のところ良くやっている。落ち度も無いのに今すぐ提督を解任される事は無いだろう。
向こうもV.Vを押さえられている以上、思い切ったことは出来ない。しばらくはお互いに様子見だ。」

「ふ~ん・・・。」

ナナリーは安全なのか。ちょっと残念。

あ、でも、いい事もあった。

学園から撤退したヴィレッタ先生が正式に黒の騎士団に入り、今日からこの斑鳩で一緒に過ごせるようになったのだ。(僕に化けて先生と一緒に脱出した咲世子は別任務中)
彼女は学園内では僕の姉のような人だった。

新しく入団したヴィレッタ先生は僕と同じく日本人の血が混じっているということになっている。
そして僕の希望により、僕の腹違いの姉ということにもなっている。

したがって・・・誠に不本意なのだが、彼女もゼロの隠し子その2という事になる。
先生はそれをすご~く、すご~く嫌がっていたけど、大丈夫。
慣れれば兄さんの事を「パパ~」と呼べるもんだよ。(ウットリ)

ただ、さすがに『27歳のヴィレッタのパパは嫌だ』と兄さんが言いはったので、7歳程さばよんで先生は20歳と言う事にしてある。(←せめて30代パパを死守したいらしい。)
ちょっと無理があるんじゃないかな・・・と僕的には思うのだけど、ヴィレッタ先生は何故か自信満々に賛成した。
先生はジェレミアほどメディアに露出していないが、念のため、名前は千草と変え、髪も下ろしている。
呼び間違えないようにしなくっちゃ。

それと・・・うっとおしい懸案が一つ。


「・・・姉さんから離れてください、扇さん。」

「ロ・・・ロロ君!!」

「いまだ姉さんの恋人気取りですか。」

「いや、ロロ君、本当に恋人なんだが・・・。」

扇がもごもごと言う。

ああ、うっとうしい!!
善人づらなのに何故か気に障る。

最初っから気にくわなかったが、先日こいつが兄さんの大恩を裏切り、騙して格納庫に連れて行ったあげく、有無を言わさずナイトメアで囲んで殺そうとした夢を見て以来、益々嫌いになった。
こんな奴と恋人だったなんて、信じられない。



「扇・・・。まぁ、恋人だった時もあったんだが、お前は私を騙してただろ?だからあれは無効だ。」

先生が言う。

「でも好きになってしまったんだ!!」

扇が暑苦しく食い下がる。

「気持ちは嬉しいが、任務に専念したいんだ。忘れてくれ。」

ヴィレッタ先生はふたたび言い返す。
よしよしイイぞ♪

「・・・だそうです。扇さん。ブリタニア軍で諜報活動をしていた姉さんの命を助けてくださった事には感謝します。
でも、記憶を失った姉さんを家に連れ込んで恋人にするなんて許せません。」

「何!?ヴィ・・・いや、千草、こんな男と付き合っていたのか!!」

通りかかったジェレミアが驚愕の声を上げる。

「いや、その、ジェレミー・・・私は・・・。」

「姉さん、こんなブロッコリーのような男の何処がいいんですか?趣味が悪すぎです。」

「全くだ。」

ジェレミアも腕を組んで何度も頷く。

「まぁそう言わないでくれ。これでも扇は一応命の恩人なんだ。」

「へ~。そうなんですか。でも覚えておいてください、扇さん。
僕はシスコンなんです。母親代わりの姉ですからね。以後姉さんに付きまとったらタダでは済みませんよ?」

懐から隠しナイフを取り出し、1度上に向けて弧を描かせてからパシッと受け取り扇の顔面めがけて投げつける。
ナイフは顔すれすれに飛び、扇のバンダナをはらりと落とした。(兄さんに怒られるとまずいので傷はつけなかったが)

そしてニヤリと真っ黒く微笑むと扇は後ずさった。

「私も許さん。ヴィ・・・千草は私の元副官だ。それに彼女は私に気があるのだ。」

え・・・?
という風にヴィレッタ先生がジェレミアを見たが、彼は気づかず続けた。

「だいたい彼女は面食いだ。彼女には私が相応しい。・・・男らしく引いてもらおうか。」

扇とジェレミアが睨み合ってる間に先生はコソコソと逃げ出した。

「待ってください。あのままでいいんですか!?」

追いかけて尋ねると、彼女はにっこりと微笑んだ。

「ああ、かまわない。二人の男が私をめぐって争う・・・女のロマンじゃないか。
面白いからほっとけ。」

あ・・・悪魔だ。
せっかく扇の魔の手から守ってあげようとアレコレ頑張ったのに、守っているつもりの彼女の方が悪魔だった・・・。

ヴィレッタ先生はこういうところのある人だが、今では僕らの大切な仲間だ。
しかし、すんなりとこうなったわけではない。

元々は脅して仲間にしたのだから、いつ裏切ってもおかしくない人だった。

彼女は移民の3世。
肌の色も生粋のブリタニア人とは少し違う。

3代ブリタニアに住んで初めて正式にブリタニア人と認められるのだが、それまでに色々苦労があったようだ。
いつも飄々としているが、家は貧しく、心無い差別も受けて来たらしい。
それが原動力となってブリタニアでの出世を目指したらしいが・・・。

『その果てに幸せがあるとは思えなくなった。』

そう悲しそうに言っていた。
軍での一線を退いて機情の司令官となった彼女が見たのはのはイレブンたちの悲惨な暮らしだった。
租界全域にいる諜報員と接触を図るため、ヴィレッタ先生は目立たぬようにしてよく町に出かけた。
それも、昔とは違って、自分の足を使って一人で。
租界で働くイレブンはならず者のブリタニア人にしょっちゅう殴られていた。
町を1時間ほどふらつけば、そういう光景を必ず1,2度は目撃する。

僕も彼女と町を歩く機会が何度かあったが、いつもそういう場面を見るたび、彼女は苦虫を噛み潰したような表情で悔しそうに見ていた。

兄さんの記憶が戻り、ヴィレッタ先生を裏切らせた後のある日、僕らは腰の曲がったイレブンの年寄りを踏みつけているガラの悪いブリタニア人観光客と出くわした。
いつものように見なかった振りをするのかと思ったら、先生は無言でそいつに近づき、襟首を掴み上げ、殴りつけた。

「ロロ・・・。ブリタニアは大国だ。でも・・・。」

その先は聞かなくても解るような気がした。

彼女も力で蹂躙した側の人間ではあったが、根は優しい女性だ。
それは約1年、近くで見てきた僕にはよくわかる。

抵抗するすべを持たない弱者を一方的に貶めるブリタニア人にどうしても我慢ならなかったのだろう。

「お前達につけば弱者にも優しい世界になるんだな・・・?」

そうつぶやいたその日から先生は積極的に僕らの仕事を手伝うようになった。

人間と言うのは変わっていく。
僕も変わった。

昔は人の事などどうでも良かった。
任務こそ全て。そう教えられて育って来た僕だから、誰が死のうが苦しもうが、知った事ではなかった。

でも今は違う。
僕は兄さんと出会って無償の愛というものを知った。

ヴィレッタ先生と出合って、仲間からつまはじきにされて来た僕にも庇ってくれる人がいるのだと知った。

シャーリーさんに出会って命がけの強い想いと優しさを持つ人が、ごく当たり前に生きている一般人の中にもいるのだと知った。

そして今、自分の意思で、弱者にも優しい世界が欲しいと思っている。

きっと手に入れてみせる。

そして皆で笑い会う日を迎えるのだ。








響団の事が片付いた今、次の懸案事項はナナリーとカレンの救出だった。

「まずはカレンからだな。」

「「「えっ!?」」」


兄さんのその台詞にその場の誰もが驚いた。

今ここ、ゼロの私室にいるのは兄さんの素性を知るC.C・ジェレミア・ヴィレッタ先生・僕。それに兄さんの5人だ。
ジェレミアはともかくその他は兄さんの超シスコン振りを知っているので意外としか言いようが無い。

「カレンは捕虜の身。今はナナリーの庇護の元、テロリストとしては破格の扱いを受けていると咲世子から報告を受けているが油断は出来ない。
テロリストに温情を与える提督と広くブリタニアに知れたら知れたらナナリーの評価はがた落ちだ。」

「・・・なるほどやっぱりナナリーか。」

「ナナリー様だな。」

「相変わらずシスコンだ。」

「・・・カレンさんを助け出すのもナナリーのためなんだね・・・・・・。」

貴様ら人の話は最後まで聞け
ナナリーの評価が落ちれば、それは目と足の不自由なナナリーのサポートをまかされた幹部達の手落ちということにもなる。

急がなければそれを危惧した一部臣下の独断によるカレン虐待・・・最悪ラウンズの承認を得ての処刑すらありうる。
そうなる前に絶対カレンを取り戻さなければならない。


比べて我が妹ナナリーは皇女。そして提督。皇帝以外彼女を害する事は出来ない。
V.Vがこちらの手に落ちた今、皇帝は思い切った手は打てない。
急ぐ事は無いんだ。

それに、今ナナリーを強引に拉致しても利益は何も無い。
皇女である提督をさらうような危ない氾濫分子の居るエリアに次に派遣されてくる提督は恐らく強硬派。
日本人に対してまた圧政をかけるだろう。それでは困る。
ブリタニアのイヌになる気などないが、このままならナナリーの手腕により、日本は間もなく衛星エリアとなる。
そうなれば税や日本人に課せられる規制は今より格段にゆるくなる。
8年前の戦争に加え、カラレス総督による弾圧に日本人は疲弊しきっている。
圧政をひく提督の方が黒の騎士団にとって都合がいいのは確かだが、俺はもう、ブラックリベリオンの轍は踏まない。時間は掛かるだろうが、一般市民をなるべく巻き込間ない方法で対処したい。
・・・だから今、ナナリーを連れ戻すわけにはいかないんだ。」

兄さんが苦しそうに言う。
本当は誰よりナナリーを救出したいと思っているだろうに。


「・・・なるほど。さすが我が君。ご立派な決意です。
助け出すカレンはテロリスト集団の1パイロット。
エースであるという点を加えても、ブリタニアが持つ多くのエリアの1氾濫分子。皇女拉致とは重みが違いますな。」

「カレン一人に逃げられてもそれは総督交代やエリア降格と言えるほどの過失ではないということだね。まず、取り戻すならカレンの方。そうだね、兄さん。」

「ああそれに、ナナリーは今の総督としての仕事に誇りを持っている。
連れ出そうとしても『否』と言うだろう。しかしカレンが逃げる事に成功すれば正直ホッとするはずだ。多分・・・何かあっても目をつぶるだろう。」

「・・・わかった兄さん。政庁には僕が行くよ。カレンさんの事は僕に任せて。」

「それなら、私も我が君のために。」

「いや、ジェレミアは無理だ。派手すぎる・・・・じゃなくて目立ち・・・いや、顔を知られすぎている。
俺がロロと行こう。このギアスがあれば響団の時と同じように・・・。」

「それは反対だ。ルルーシュ。」

ヴィレッタが立ち上がった。

「何故だ?政庁を真正面から急襲せよとでも言うのか?
その案は不可能では無いが、多大な犠牲が出る。最少の犠牲で済ますにはコレが最善の手だと思うのだが?」

兄さんが目を細めて言う。

「確かに犠牲は最少だ。しかし私はお前がギアスを使って戦い続ける事には反対だ。」

「ヴィレッタ。無礼だぞ!!」

ジェレミアが立ち上がる。

「いや、いい。それで?
まさか綺麗事だけでブリタニアと戦争が出来ると思っているわけではないんだろう?」

「もちろんだ。だが、お前のギアスは人の意思を捻じ曲げて使う魔道の力だ。」

「ああ、その通りだ。・・・だが、ブリタニアだって人をゴミのように殺すナイトメアを開発して侵略戦争を行って来た。言わば、ブリタニアという国は銃口から権力を得て生まれた育った国。
あれは外道の力ではないとでもいうのか?」

「そうだ。外道の力だ。だがそれでもそこには意志の力がある。軍に入る意思・入らない意思。
死を賭しても進む意思・止める意思・逃げる意思。・・・裏切る意思。

お前の力は違うだろう。『大事な人にでも剣を向け殺す。』『自分が守って来た世界を一瞬でぶち壊す。』『自分の命さえためらい無く失わせる。』そういう力だ。
お前・・・ユーフェミア様にもその力を使ったろう。」

一瞬兄さんの顔がこわばった。
そのことについてはヴィレッタ先生が言うまでも無く、薄々皆が知っていた。
しかしそれは禁句中の禁句だった。

場が凍りつくのにもかまわず、先生は続ける。

「私はユーフェミア様とお会いする機会が何度かあった。平民出身の私にもおごったところなど何一つ無い優しい皇女様だった。あんな事をするわけがないと思っていたが、ギアスの力を知ってやっとわかった。お前がユーフェミア様にギアスをかけたんだな?」

しばらくの沈黙の後、兄さんが口を開いた。

「・・・その通りだ。俺が彼女にギアスをかけた。最も卑劣なギアスを・・・だ。
しかしそれを知っていて俺に付いたのは何故だ?
自分も同じように利用され、殺されるとは思わなかったのか?」

ヴィレッタ先生が兄さんをじっと見る。

「それは・・・思わなかった。
・・・・・・私は1年近くお前を見てきた。
外でのお前も、家でのお前も、監視カメラでずっと。
お前は悪どいところもあるが、根は優しく情厚い。
シャーリーが団入りするのでさえ大反対だったお前が親しかったというユーフェミア様にあんなギアスをかけるわけがない。
今回も犠牲を最小限にしようとしている。
何か・・・あったんだろう・・・?」

一気に喋る先生に、兄さんは少し驚いた顔をしたが、その後すぐ自嘲の笑みを浮かべた。

「・・・・・・さすが偽物でも先生だな・・・。ありましたよ。でも、結果的にユフィを死なせたのは俺だ。
だから俺のせいじゃないなんて見苦しい事を言うつもりはない。」

「いや、言っておいた方がいいんじゃないか?ルルーシュ。」

それまで黙っていたC.Cが初めて口を開いた。

「お前のそのくだらないプライドと秘密主義が余計な誤解を生むのだ。本当~~に坊やだな。
ギアスは強力な武器だ。だから使えばいい。銃や剣と同じようにな。
ただ、使い方を誤ればあの時のように大惨事だ。
仲間と情報の共有もしないなんて愚の骨頂だ。」

「・・・ルルーシュ様、お聞かせ下さい。何があったんですか?」

「・・・兄さん。僕も話した方がいいと思う。ここにいる皆は、兄さんを責めようと思っているわけじゃないんだ。言い訳だなんて誰も思わないよ。多分・・・あれはギアスの暴走だよね。」


兄さんはしばらく黙っていたが、重い口を開いて

「・・・ああ。・・・・・・そうだ。」

と呻くように言い、途切れ途切れに全てを語った。



「・・・なるほど。お前のギアスは一人一回。そして暴走すると自分の意思では止められない。いつ暴走するのかもわからない。
では聞くが、ルルーシュ。この中にギアスをかけたことの無い人間はいるか?」

ヴィレッタが尋ねる。

「・・・ロロにはかけてない。C.Cとジェレミアはギアスにかからない。」

「では暴走に備えてロロには何かかけたほうがいいな。変なギアスに掛かったらあの時以上の大惨事だ。」

「何がいいかな?僕は兄さんがかけてくれるなら何でもいいよ?」

「・・・よし。本当に何でもいいんだな。丁度かけてみたいギアスがあったんだ。俺の目を見ろ!!ロロ!!」

決意した兄さんの瞳が怪しく光る。

うん、・・・僕はなんでも受け入れるよ。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる・・・。」


「ちょっと待てルルーシュ・・・お前、一体何を・・・!!」

止めに入ったヴィレッタ先生の言葉が終らぬうちに兄さんの瞳に鳥の羽ばたくような紋章が浮かび上がった。


「男のパンツは黒ビキニが一番カッコイイ!!


うん!わかったよ!!男のパンツはやっぱり黒ビキニなんだね!!!・・・あれ?何を皆さんずっこけているんですか?」


「ルルーシュ・・・もうちょっとマシなギアスの使い方は無かったのか・・・・・(最悪だ)」

「本当に・・・・・・・・・・・・。ちなみに私はトランクス派なんだが・・・。」

C.Cもチーズ君を抱きしめてため息を落とす。

「やかましいっ!!お前らいっつも事あるごとに『黒ビキニパンツの男が』と言いやがって!!
これでロロは永遠に黒ビキニ派だ。ざまぁみろ!!
あーはははは!!!」



「ルルーシュ様、流石です。感服いたしました!!私も以後我が君を見習いとうございます!!」

「だよね、ジェレミア!!黒ビキニかっこいよね♪この任務が終ったら一緒に買いに行こうよ♪」

褒めちぎる男共を女性陣はかわいそうな者を見るような目で見ていた。



ロロにギアスをかけ、暴走のリスクを少なくした後、皆は会議に戻った。

結局潜入は僕と兄さん、そして学園撤退後から政庁に変装して入り込んでいる咲世子と連携して行う事になった。

ヴィレッタ先生は政庁付近で小型民間船に偽装した、フロートシステム・フル装備の超高速飛行艇で待機。

ジェレミアは海底ルートを使い、政庁に近い海岸線にひそみ、ジークフリートで待機。

更に120キロ先の海底に斑鳩を密かに待機させ迎撃体制を取らせておくが、基本的にはカレンをを奪取した瞬間、反撃はせずに全力で逃げる作戦だ。

「作戦名は・・・。」

「どう考えても『ピンポンダッシュ大作戦』だな。黒ビキニ男よ。」

「違う!!CT5Rだ!!!」

真面目くさって愉快な作戦名を提案するC・Cを兄さんは怒鳴りつけた。
・・・しかし、結局、作戦名は通称『ピンポンダッシュ大作戦』として長く後まで語られる事になるのだが、それは後の話と言うことで。



その6に続く




いらして下さった皆様ありがとうございます♪
とうとう日曜日の夕方からびっちり義父と同居となります。
更に主人がその翌日耳の手術をして1週間入院する事が決まっちゃいました
元々耳鳴りが時々してたようなのですが、この1年大変だったからかな~。進行が思ったより早いのですぐ手術・・・と先日決められちゃいました

でもまあ、避けられないなら、子供達が小さい頃や役員で超忙しかったり義母の事でバタバタしていたあの頃よりずっとずっといいタイミングなので良しとしておきましょう!

・・・というわけで、日曜日から1週間、完全同居の義父の糖尿病食を3食作りつつ、バイトに出かけ、合間に主人の見舞いに行き、更に子供の試験勉強に付き合わねばならないのでさすがに1週間禁PCとする事にします(PC見るとつい睡眠時間削ってしまう。用事は削れないので

日曜早朝までにコメント欄からいただいたコメントにはお返事できると思いますが、それ以降のものは主人が戻ってきてなおかつ義父がすぐそばのアパートに移るまで出来ないと思います。すみません。

次の金曜日は自動投稿でUPしますが、サーチには載せられないと思います。
ご案内リンクにも載せられませんが、ご案内Pの次に来るようにしておきますので良かったら見に来てくださると嬉しいです♪(更に次の月曜ぐらいなら何とかサーチに載せられるかもしれないけど)

その次からも全部毎週金曜日早朝にUPするよう設定しておきます。
その後隙を見てご案内リンクとサーチに載せます。(良い方法を教えてくださった美咲様、ありがとうございます!!)

義父は私の事を10年以上良い嫁だと思っていてくれているので、実はうかつで粗忽でアホな上にオタクである事がばれないよう、必死で頑張ってみたいと思います(笑)←でもオタク以外はすぐばれそう

描きかけのロロイラスト何とか塗り終わりましたので置いておきますが、もしロロがルルに出会わずに17歳になったらこんな感じかな~と思いつつ描いたイラストなので、幸せイラストではありません。

それでも良い方だけこちらからどうぞ→暗いロロイラスト

もうコレがUPできる最後のイラストなのにこんなので締めてしまうとは!!
他にも描きかけはあったけど、これが一番早そうだったのでつい・・・。


遊びに来てくださった方、拍手コメントくださった方、ありがとうございました♪
とっても励みになります!!
返信はこちらから




[続きを読む...]
その手のひらに その6
2009年05月19日 (火) | 編集 |
事前に政庁の見取り図は手に入れてあった。
それに、元提督のジェレミア、そして彼の元副官であり、最近まで政庁に出入りしていたヴィレッタ先生は政庁を知り尽くしている。
当然、特別捕虜の収監先・シールドプリズンの正確な場所や解除方法も難なく割り出せた。

紅蓮は咲世子の報告により第三試作品格納庫に収納されている事が確認されている。
今回はカレンの救出を第一に考えているが、当然、紅蓮を取り戻す事も視野に入っている。

カレンと紅蓮をセットで取り戻す事が出来ればどれほどの戦力アップに繋がる事だろう。
そのために綿密な事前調査が行われた。

政庁に居る人間を特定する事はけっこうたやすい。
ブリタニア人に見えるハーフの団員や主義者を使って政庁の人の出入りは連日詳しく調べられた。

また、兄さんはハッキング技術を駆使して政庁内の要人の行動予定を掴んだ。

そして、政庁にクルルギ、ジノ、更にはナナリー、ロイド、セシルがいない時を狙って作戦を実行に移したのだ。
出来ればアーニャもいない事が理想だったのだが、さすがにラウンズが三人揃って不在という、こちらに都合のいい隙は調べても無かった。
そこで、ジノやクルルギの機体よりわずかにだがスピードや機動性が劣るモルドレットを操るアーニャの待機日に的を絞ったのだ。

兄さんと僕は海底トンネルより、いざという時の提督脱出用ルートから政庁に侵入した。
このルートは極秘とされており、基本的には皇帝直属の特務の人間か、提督本人とその副官にしか知らされていない。
ジェレミア、ヴィレッタから知らされたこのルートはハッキングして手に入れた政庁極秘見取り図にも載っていない。
この脱出ルートを作った工事人は、下働きから設計者まで完成と同時に殺害されているほどの超極秘ルートだ。

提督となるのはどこのエリアであろうと、皇族か大貴族。
部下をおとりとして上空から脱出させている間に提督や幹部はこちらから密かに逃げるシステムだ。
使うかどうかは提督の判断次第だが、こういったものはどこのエリアの政庁にもあるらしい。

皇族や大貴族を守るためだけに多数の罪亡き人が犠牲となっている事に憤りを感じるが、今はこのルートが使えることがありがたい。

地下トンネルから小型艇に乗り、細い道を低速で進んでいく。
そして、格納庫で降り、そこからは歩いていく。
程なく着いた小さな扉を僕のギアスで時間を制止させてから注意深く開ける。
たどり着いた部屋は想定通り無人だった。

ギアスを解き、兄さんと共に部屋に滑り込んで隠し扉を元通り閉じる。
そして部屋を見渡した。
豪奢なレースのカーテンが揺れる窓辺に、1枚の写真が飾ってあった。
その写真の中で、幼い兄妹が幸せそうに笑っている。

そう、ここは提督の私室であった。

兄さんはその写真を手にとって懐かしそうに眺めた。
目が見えない提督だけど、きっと思い出の写真を兄妹の誰かから譲り受けて心の支えに飾ったのだろう。


「ナナリー・・・。」

兄さんは、側にあったメモ帳を破るとそれに針でいくつかの小さな穴を開け、そっと枕元に置いた。

きっと『愛している』と書いたのだろう。


文字数から考えて、誰からとも書かなかったのだろうが、それでいいのだろう。
二人の間に多くの言葉は要らない。もう既に絆という、言葉に勝るものを持っているのだから。

僕だって兄さんに愛されている・・・そう思うのに、胸が痛んだ。

「兄さん、急いで!!カレンさんが待っているよ!」

そう言うと、兄さんは例の写真を1度だけ振り返ってゼロの顔に戻った。
ごめんね、兄さん。意地悪して。
でも僕はもう、兄さんの大切な者を壊そうとしたりはしないよ。
だから、小さなこの意地悪をゆるしてね。




僕らは天井や壁の通気溝を伝い、紅蓮が収納されている地下2層目を目指した。
監視カメラや警報装置はは通気溝にもあったが、咲世子が僕らの侵入とともに監視ルームに即効性の睡眠ガスを投げ入れ、更には警報装置も一斉解除してくれた。

元々政庁の見取り図は手に入れているけれど、警備システムを熟知しているジェレミアとヴィレッタ先生がこちら側にいて情報提供してくれるのはやはり大きい。
ギアスを使っていないにもかかわらず、最小限の手間で作業が進んでいく。
それでも作れる時間はわずか。
携帯用の縄梯子も使って素早く地下まで降りていく。

そして、リサーチにより、今は無人のはずの第三試作機格納庫にたどり着くと、紅蓮の起動キーと取扱書を入れてあるはずのすぐ側のセキュリティーボックスを確認する。
そこにハッキングして調べておいた暗唱番号を打ち込んでキーと取扱書を取り出す。

紅蓮は改造されてはいたが、基本システムは同じで僕にも操縦出来そうだった。

この事態を想定していた兄さんの指示の元、僕はラクシャータさんの紅蓮操縦シュミレーションシステムで訓練を受けていた。
カレンさんほど使いこなせないにしても、基本の動作ぐらいなら十分だ。

兄さんが下に残って紅蓮の起動準備を始める。
僕は操縦桿を握って息をつめる。

ここからはスピードが勝負。失敗は許されない。

兄さんの指がキーボードに素早く正確に文字を打ち込んでいく。
ライトが順に点灯し、機械音が唸る。
背に装備された翼がグンと伸び、兄さんの声に応えるように僕も復唱する。

「聖天八極式・紅蓮、発進!!」

発進と共に兄さんを紅蓮の手のひらに包み、逆の腕で厚い壁をぶち破りつつ一直線にカレンの囚われているシールドプリズンを目指す。

ミサイルにも耐えるという障壁も紅蓮の輻射波動の前には飴の様に溶けた。


シールドプリズンにたどり着くと、そこにはもう、咲世子によって助け出されたカレンが爆風をものともせず、長いドレスをはためかせて仁王立ちしていた。

カレンと咲世子も手のひらに収納し、壁を砲撃すると共に脱出する。

火の手が上がった瞬間、小型超高速航艇で待機していた先生が、プラスチック爆弾の起爆スイッチを入れる。
あらかじめ咲世子が迎撃システムに爆弾を取り付けていたのだ。

僕は爆炎を突っ切るように最大スピードで海岸まで飛行した。凄いスピードだ。
元々紅蓮は飛翔できたが、以前の倍以上のスピードが出るよう改良されていた。

同じく、スピードだけを考えて改造されたヴィレッタ先生の超高速艇もぴったりと紅蓮についてくる。

モルドレッドや他のナイトメアもやや遅れて飛び立ったようだが、僕のギアスを使うまでも無くあっさりと振り切れた。そして、深追いはせずに政庁に引き返していったようだった。

迎撃システムを内部から破壊された政庁は、防御力が著しく落ちている。

まして、日本近海にシールドを解いた斑鳩を探知したなら、汎用機のナイトメア以外、即出撃出来る主戦力としてモルドレッドしかいないブリタニア軍は絶対深追いはしてこないという兄さんの読みは見事に当たった。

海岸近くでジェレミアと合流し、ジェレミアの護衛のもと、兄さんと咲世子、カレンさんを先生の超高速艇に急いで移し、託す。

僕らの政庁脱出と共に猛スピードでこちらに向かっているはずの斑鳩とこれまた最大スピードで斑鳩を目指す紅蓮との現在距離は約100キロメートル。
超高速艇の護衛をしながら斑鳩と15分で合流し、続けて少し遅れたジークフリードも斑鳩に収納し、急速潜行して安全区域まで全力で逃げた。

・・・後々まで『ピンポンダッシュ大作戦』と呼ばれ続けた事を除けば、作戦は大成功だった。




兄さんの読み通り、ナナリーは総督を解任されなかった。
カレンを奪取されたものの、政庁の被害自体はピンポイントでの爆破のみだったので1週間ほどで全ての機能が回復し、人的被害もほとんど無かったようだ。

しかし、より鉄壁の陣となれるよう、元々居たラウンズ3人に加え、ナイトオブテンが政庁に常駐する事となってしまった。

ナイトオブテンはわりと品格高いと言われるラウンズの中では異色の人物だ。

「人を殺したいから軍人になった。より多くの人間を殺したいからラウンズになった。」

と公言してはばからない下品な男だ。
そんなに人殺しが好きなら響団の暗殺者にでもなれば良かったのに。
いつでも代わってあげたよ。


カレンを取り戻し、斑鳩内はお祭りムードだった。
久しぶりに戻ったカレンはお姫様のような上品なドレスをさっさと着替え、身体にぴったりとした団服を着て嬉しそうだった。

ゼロ番隊、隊長の座は、僕からカレンに戻った。少しがっかりしたけど、仕方ないよね。
うん。僕は全然気にしてないよ。

ゼロ番隊・隊長には漏れなく玉城副隊長がついてくるけどよろしくね。とりあえずお茶だけは美味しく入れられるよう仕込んでおいたから.(他は頑張ったけど駄目だった。)

僕はゼロ直属の特別身辺警護役となり、部屋も兄さんと同室になった。
ありがとう兄さん。
僕のことも考えてくれて。



とはいえ、兄さんと同居するという事は、C.Cと同居する事にもなる。
彼女のだらしなさは玉城以上だった。
よく耐えたね・・・兄さん・・・。

忙しい兄さんに代わって僕は彼女の世話をした。(兄さんはしなくていいといっていたが、やらずにはいられない)

何で僕がC.Cのパンツまで洗濯しなくちゃいけないのかと憤ったが、その辺にポイポイとブラやパンツを脱ぎっぱなしにされたらとても困る。

絶対片付けないC.Cに代わって僕か兄さんが片付けるしかないのだが、兄さんはそれでなくても忙しい上、カレンさん救出の際、通風孔を腹ばいで進み続けたり、ゆらゆら揺れる縄梯子で5階分も一気に降りたので、今強烈な筋肉痛に苦しんでいる。(それと紅蓮の手のひらの中での超高速Gも堪えたみい。)

ああ、可哀相な兄さん。
せめて僕が兄さんが気持ちよく過ごせる環境を作ってあげなきゃ!!

・・・と思うのに、今日もC.Cは下着同然のきわどい格好で部屋をウロウロしたり、床にあぐらをかいて行儀悪くピザを食べている。
何でだろう。
ヴィレッタ先生といい、C.Cといい、僕の周りの女たちはこんなのばっかりだ。
クラスの男子達は女の子に夢を抱いていたが、これでどうやって夢を抱けというのだろう。
もう一生独身でいいよ・・・僕は。
兄さんと一生美しく、慎み深く生きていくよ。


ただ、僕はC.Cが嫌いじゃない。
V.Vの一件以来僕はけっこうC.Cをかっている。
彼女は普段はだらしがないが、いざと言うときは命を張ってでも兄さんを守るだろう。
だから僕も兄さん同様彼女を守ろうと思う。

それに会長やヴィレッタ先生、玉城にまで揉まれて来た僕だ。
もう響団にいた頃の僕じゃない。
今更パンツの10枚や20枚でガタガタ言うまい。

彼女は玉城と違って決して仕事を手伝おうとしたり張り切ったりしないから実害は少ないしね




兄さんは落ち着いた頃を見計らい、カレンさんを私室に呼んだ。
そして僕らに話した全ての事を自分の生い立ちも含めて話した。

僕の事はすんなり受け入れてくれた彼女だったが、ユーフェミア様の件は流石にショックだったようで黙りこんだ。
近くで見ていた僕はカレンさんが裏切るのではないかとハラハラしたが、

「・・・・・・事故じゃ、・・・・・・しょうがないよね・・・・・・。知らないで罪を犯すことって私もあったもの。
母さんは私の事だけ考えていてくれたのに、私はそれに気づこうともしなかった。
そのせいで母さんは壊れてしまった。

・・・でもね、しょうがない、しょうがない・・・じゃ、ユーフェミアも虐殺された日本人も浮かばれないよ。

だから・・・・・・償おう?
私も一緒に精一杯償うから。
一緒に地獄に落ちてもいいから。
許してもらえなくても、生きてる限り、皆に償おうよ。
・・・・・・ね?」

と、静かに涙を流した。

男勝りで敵には容赦の無いエースパイロットのカレンさん。
明るく快活で、兄さんからの信頼も深く、羨ましく思ったこともある。

でも、彼女にも暗黒の部分はあった。

以前僕は自分一人が不幸なような気がしていた。
でもみんな、自分と戦っているのだ。

兄さんも、カレンさんも、きっとナナリーも。





その7次週金曜日早朝UPします。

オマケとしてありえない俺達の続編?的なお話を載せておきます。こちら→俺的ボロ雑巾計画

でも本当はこのお話は『その手』のだいぶ前に当たるお話です。


WEB拍手は有料版から無料版に戻せないようなので、多分9月末に期限切れになって自動的にお礼文共々消えると思います。(出来るだけブログに移そうと思ってますが結構手間なので全部は無理かも?)
休止までに全部WEB拍手はずそうと思ったのですが、何処に貼ったのか一件一件調べる暇が無いので・・・というか、その暇に一つでもたくさんSS書いちゃいたいので無責任とは思いますが、そのまま放置させていただきます(というか、コレかいてるの6/13日だけど)
プロフィール下のは外させていただきました。
いただいたコメントだけはコピーして移動しました♪コメント下さった皆様ありがとうございます!!


その手のひらに その7
2009年05月19日 (火) | 編集 |
その後しばらくは日本を離れた。
今、日本で行動を起こすとナナリーの立場が悪くなるからだ。
それに、日本に残っている人たちは別に僕らを待っていない。
悔しいが、それが現実だ。

僕らを待っていてくれるのは、蓬莱島に暮らす、ゼロと共に日本を脱出して来た人たちだ。
まず、彼らの生活が安定するよう出来るだけの支援をしていかねばならない。

ほとんど身一つと言ってもいい姿でセロを信じてここまで着いて来てくれたのだ。
その気持ちにゼロは全力で報いねばならない。

ここで安定した生活を送るためには中華の協力が不可欠だ。
シンクーには貸しのある兄さんだが、それだけでは心もとない。

僕らは、大国である中華の旧勢力平定に出来うる限りの協力をした。

カレン、藤堂、四聖剣、ジェレミア、ヴィレッタ先生、それに僕。
機体の改造をうけ、よりパワーを増した僕らの敵となりうるような勢力は存在しなかった。

成果は目覚しく、天子様を中心とした腐蝕の少ない、人民にも優しい体制がおおまかな所できちんと機能するようになっていた。
それにつれ、人心もより天子様に集まり、黒の騎士団との友好関係も磐石の物となった。

僕らは普段、中華中を飛び回っていたが、たまに蓬莱島に帰ると、そのたび人々の暮らしが良くなっているのがわかる。

今までブリタニア人の暴挙におびえていた人たちが笑っている。
子供達も安心してはしゃいでいる。

僕の見かけはブリタニア人だから、最初は警戒されたけど、いつもゼロが僕を側に置いてくれたので、いつしか僕も皆になじんでいた。

響団では誰も笑顔など見せなかった。
でも、ここは違うんだね。
何だかとても嬉しいな。


ふと、兄さんと暮らし始めた頃の自分を思い出す。
響団に縛られ、心から笑うことの出来なかった僕。

でも兄さんに開放してもらって笑えるようになった。

兄さんの記憶が戻った時、僕は戸惑った。
でも結局兄さんを選んだ。

そんな自分にここの人々が重なる。

全てを失うかもしれないのに、此処に居る人たちは命がけでゼロについていくことを選んだのだ。

守ってあげたい。幸せになれるよう、力の限り守りたい。
そう、これは僕の意思。

もう僕は人形じゃない。






中華での思った以上の成功は皆を勇気づけた。

しかし、裏目と出てしまったこともある。
今までEU平定に力を入れていた帝国宰相シュナイゼルが中華を最大危険国家とみなし、前面に出てきたのだ。

シュナイゼルは手ごわい。
政治に興味を失ったかのように演説のときしか出てこない皇帝に代わって、今の政治を実質的に取り仕切っているのは帝国宰相シュナイゼルだ。

彼の怖い所は戦闘能力では無い。
シュナイゼルはコーネリア皇女のように自らナイトメアを駆る事は無いし(兄さんでさえ乗るのに)飛びぬけた実力を持つ騎士も持っていない。
周りを固めるのはどちらかと言うと文官タイプばかりにもかかわらず、狙った国は必ず落とすという恐ろしい男だ。

弁論を駆使して敵国の同盟にひびを入れ、狙った国を孤立させるのは彼の得意技だ。
天才的な情報収集能力及び処理力で敵国幹部の弱みを握り、甘い言葉を囁いて取り込んで裏切らせるのもお手のものだ。
ゆっくりと弱体化させて内部から壊した後、彼は易々と国の息の根を止める。

その手法は広く知られているはずなのに、それでも次々と国と国とは争わされ、結局はシュナイゼルの前に膝を屈するのだ。


皇帝はV.Vと組んでいたので兄さんは切り札としてV.Vを利用するつもりだったようだ。

でもシュナイゼル宰相にとってV.Vなど、どうでも良い存在だ。
切り札にはならない。
・・・とういうか、V.Vの存在を知っているかどうかも疑わしい。

彼は黒の騎士団の弱点を正確に探り当て、いずれ突いてくるだろう。
その時どう対処するかが重要だ。

団員には隠されているが、実はこちらはコーネリア皇女を捕らえている。
彼女は何故か響団に捕らわれていた。


皇帝シャルルは実子であろうと捨て駒として使うことにためらいがない。
でもシュナイゼルはそうではない。
他国には恐れられているが、ブリタニア国内では温情厚き宰相として名が通っている。

僕的にはあれは単なるポーズであり、いざとなれば身内すら切り捨てる・・・そんな目をしているように見えるけど、シュナイゼルに・・・人々が望む優秀で温情のある宰相を演じきるつもりがあるならコーネリアを取引のカードにすることは出来る。

でも兄さんはそれには大反対した。

ユーフェミア皇女を利用した形で失った兄さんは、その姉であるコーネリア皇女を戦いから外したいようだった。

本当は、ジェレミアのギアスで皇女のギアスを解除した後、改めて兄さんに従うようギアスをかけ、勇猛で知られる彼女を貴重な戦力として使うなり、逆スパイとしてシュナイゼルの近くに送り込むことも出来たのだが、兄さんはギアスを使うことも、利用する事もかたくなに拒んだ。

そして、彼女を人知れず斑鳩内の一室に隠し、拘束はしたものの、丁重に扱った。
この件を知っているのは兄さんの正体を知っているメンバーのみ。
兄さんは毎日食事を持って皇女に届け、許してはもらえないとわかっていながら手をついてユフィの件を謝り続けた。
毎日、毎日、毎日・・・。

どうしても行けない時は僕が兄さんの代わりに皇女の身の回りの世話をする事もあった。
彼女の怒りはすさまじく、僕に対しても兄さんの事を悪し様に罵った。

どうしてここまで言われなければならないのだろう。
兄さんにだって事情はあったのに。
この人だって戦場で多くの人を傷つけ、家族を奪い、征服地を蹂躙して来たはずなのに。

ユーフェミア皇女の件は誤解だと僕から告げようと思ったけれど、兄さんは決してそれを許さなかった。

「これは俺の罪だから・・・。」

悲しく微笑む兄さんの胸のうちを思うと僕は息が苦しくなって、何度もあんな女は始末してしまおうと思った。
実際ナイフを忍ばして部屋の前まで行ったこともある。
でも、出来なかった。
兄さんは今、過去と向きあっているのだ。
邪魔をしてはいけない。


そうこうするうちにシュナイゼルがいきなりモルドレッド1機と副官一人を供に斑鳩に乗り込んできた。
ゼロと直接話がしたいそうだ。

当然僕やカレンさんも兄さんにつき従った。
怪しいそぶりを見せたら即抹殺だ。

磨きぬいたナイフと銃をを懐に忍ばせ、兄さんの隣の席についた。

そこにはシュナイゼルに顔を知られているため出席させなかったジェレミア、ヴィレッタ。個人的にブリタニアに狙われているC.Cを除く主なメンバーが集まっていた。(でも何故か玉城も居た。)

「ところで皆さんはゼロの正体を知っていますか。」

シュナイゼルは出し抜けに言った。

周りが一斉にざわめく。

「私は知っていますよ。・・・ゼロ、君は私が嘘を言っていないと知っているだろう?」

兄さんが無言で応える。

「さて、ゼロの正体を知ったら君達はもうゼロには従わなくなるんじゃないでしょうかね。」

シュナイゼルが続ける。

「ゼロの正体は・・・。」

「待て。これ以上のゼロに対する無礼は僕が許さない!!」

銃の照準をぴたりとシュナイゼルに向ける。
それを兄さんは押し留めた。

「ロロ。ここは話し合いの場だ。どれ程不利になろうとも、銃を向けてはいけない。」

「くっ・・・。」

僕は渋々銃を下げた。

「まぁ、待ちたまえ。・・・ゼロ。私は君の事をとてもかっているのだよ。出来れば争いたくないとさえ思っている。
実は私にはこの地で命を落とした弟が居る。
とても優秀でね、私は彼を末恐ろしく思いながらも愛していたよ。」

「・・・何が言いたい。」

ゼロの声音がわずかに揺れる。

「つまり君は・・・君の戦い方は弟を思い出させるのだよ。」

「シュナイゼルよ・・・ゼロが、貴殿の命を落としたはずの弟だとでも言いたいのかね。」

藤堂が怪訝な表情で聞く。

「その通り。ここにコーネリアがブラックリべりオン時にゼロと相対したときの音声記録がある。コーネリアの愛機に搭載されていた記録用のレコードボックスから取り出したものだ。」

レコードボックスは旗艦、隊長クラス以上のナイトメア、そして民間の飛行機などにも普通標準装備されている。
強固に作ってはあるものの、戦闘行為でボックスごと破壊される事も多いが、回収して解析できればそれなりに役にたつ。

レコーダーから流れる音声は元エリアイレブンの総督と、若い男の声だった。

「そうか・・・お前がゼロだったのか・・・。」

それはコーネリアの声だった。

そしてゼロであるというその男は、コーネリアの事を『姉上』と呼んだ。

皇族であるコーネリアを姉上と呼ぶ以上、ゼロはブリタニア皇室に連なる者ということになる。
場が静まり返った。

追い討ちをかけるように、ゼロであるという男が自分の名を持ってコーネリアにマリアンヌ殺害事件について問いただす。
彼ははっきりと『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと名乗った。

万事休すか。
・・・しかし、ゼロの正体がブリタニアの皇子であったとしても、兄さんにはこれまで築いた信用がある。

ゼロはいままでずっと日本のために戦い、奇跡を起こし続けてきた。
ブリタニア人であるだけでなく、皇族でさえあるというのがばれるのは痛いが、まだこれで兄さんの失脚が決まった訳では無い。

兄さんは大きくため息をついたが、何も言わなかった。


「このテープを聴いて気づいた方もいるかもしれないが、コーネリアは誇り高き戦女神だ。
自分に死が迫っていたとしても、ユフィの仇であるゼロの質問にやすやすと答えはしないだろう。
それなのに、ある一言をきっかけに、コーネリアはゼロに屈し、質問にためらい無く答えている。
何故だと思いますか?」

「それは・・・。」

言いよどむ扇をはじめとした幹部達にシュナイゼルは続ける。

「ゼロは人間に対して強力な催眠術をかける手段を持っていると思われます。」

う・・・悔しいが、いい線ついている。

本当の事を知っているカレンさんも真っ青だ。
兄さんはこれでもシュナイゼルを殺してはいけないというのだろうか。
しかし・・・ここで奴を殺せばシュナイゼルのいう事を肯定する事にも繋がる。
独断でうかつな事は出来ない。

「ここに、ゼロが催眠術を使って惑わしたと思われる人々の資料があります。」

「 日下部・・・片瀬少将・・・ジェレミア・・・ユーフェミア・・・クロヴィスまで・・・。」

藤堂が呻くように言う。

「そして、皆さんもご存知のわが妹・ユーフェミア皇女の日本人虐殺事件。
あれはありえない事件でした。
妹は幼い時より心優しく、決して人々をたばかって虐殺するような人間ではありません。
それがあのタイミングであんな恐ろしい事件を起こしてしまった。
何故だか考えた事がありますか?」

ついにシュナイゼルは王手をかけてきた。
それでも兄さんは動かない。

いや、動けないのかも知れない。

兄さんは毎日コーネリア皇女にユフィの件で卑怯者、人でなしと罵られて来た。
それでも団員から皇女を匿い、詫び続けて来た。
ここでの嘘はどうしてもつけないのかもしれない。

「ゼロ・・・すまないが・・・。」

扇が口を開く。

「仮面を・・・取ってくれないか?」

兄さんはしばらくためらった後、自分の仮面に手をかけた。

「ゼロ、駄目!!」

悲鳴にも似たカレンさんの声が上がる。

兄さんの正体がばれるだけならまあ、良しとしよう。
・・・でも、ユーフェミアの件までばれたら流石に終わりだ。

シュナイゼル・・・カノン・・・アーニャ。
殺さなくては。

扇・藤堂・四聖剣・ラクシャータさん・・・それに玉城。
けっこう好きだったよ。
仲間だと思ってた。
でも兄さんを傷つけるなら僕は・・・。




しかし兄さんが仮面を取る寸前、ドアを蹴破る勢いで飛び込んできた一人の女性が居た。

紫にうねる髪を乱れさせ、目を吊り上げた彼女は円卓に歩み寄り、音を立てて机を叩いた。

「おお、コーネリア、よく無事で居てくれた。
君が行方不明となってどんなに心配した事か。
さ、君の口からもゼロはわが皇族に連なる者だと・・・。」

「いえ、兄上。その者は皇家とは無関係です。」

コーネリアはきっぱりと言った。

「何を言うのだ。さては催眠術に・・・。」


「いえ、私は催眠術になど掛かってなどいません。先ほどの件も、兄上の勘違いでしょう。
確かに幼い頃この地で命を落とした弟は居ました。でもあの子は死んだのです。
・・・私達皇家の者に見捨てられて。

だから、ゼロはあの子ではありません。
しかしあの子の友人ではありました。だから私の事を皮肉を込めて姉上と言ったのです。

マリアンヌ様の件を喋ったのは日本で一人の味方も無く虐殺されたと思っていたあの子にも日本での友達が居て、今でもあの子の名を名乗って挑んでくるほど大切に思っていてくれたのが嬉しかったからです。
それだけの理由ですので、喋ったのは亡くなったマリアンヌ様個人に関する情報だけです。
ブリタニアが不利になるような事など一切漏らしておりません。

そして、催眠術なども使っていません。
そんな便利な力があるなら私を洗脳してブリタニアに送り込めばいいではないですか。
私なら、急襲して兄上や陛下の首を取る事も可能です。
しかしそうはしなかった。
それで答えはおのずと出るでしょう。」

「・・・しかしそれではユフィの件はどうなのかね。君もユフィがあのような事を正気ですると思うのかね?」

「思いません。しかし、私にはずっと一つの疑念がありました。
父上・・・いえ、陛下は幼き兄妹をこの国に差し出しておきながら戦争を仕掛けるようなお方。
その戦争も後から調べた所によると、ブリタニアのためと言うよりは、狂気じみて信じている神の残した遺跡を手中に収めるためでした。
私は・・・ユフィは何か遺跡に付いて知ってはならない事を知ってしまったため、父上に計り殺されたのではないかと思っています。」

「そ・・・そうだ!!確かにコーネリアの言うとおりだ!!
ブリタニア皇帝はそういうやつだ!!」

玉城が叫ぶ。続いて皆も。

「ゼロは天子様の一件でも心の力を大切にしていたじゃないか!!」

「そんな催眠術をかけられるなら、俺達にだってかけてコマとしているはずだ!!」

「でも、俺達は一時的にせよ、シュナイゼルの話に心動かされた。催眠術に掛かっていない証拠だ!!」


シュナイゼルは実の妹に証言を覆され、流石にあせりの色を浮かべた。
まさかこのような形で論破されるとは思ってもみなかったのだろう。

しかし、数秒後にはもう、落ち着き払って笑みさえ浮かべた。

「・・・なるほど。ゼロは我が弟ではないと。いいでしょう。そういう事にしておきます。
では別の取引です。
中華連邦から手を引いていただけないでしょうか。
そうすれば私は今後一切ゼロの正体を詮索しません。」

「何言ってるんだ!!それで取引が成立すると思ってんのか!!」

玉城が怒鳴る。

「ええ、それだけでは取引材料として弱いですね。
では、これでいかがでしょうか?」

シュナイゼルが見せたのは、小さいけれど美しい細工を施された起爆スイッチだった。

「日本人全員の命と交換と言うのはどうでしょうか?」

シュナイゼルは神の様に微笑んだ。

「これは全人類を教育する目的で作ったフレイヤと言う新兵器の起爆スイッチです。
このスイッチを押せばエリア11の主要都市全てが半径100キロ範囲で消失します。」

「はったりだ!!」

玉城が叫ぶ。

その玉城にカノンが銃を向ける。

「はったり・・・と思ってくださっても結構です。
でも、ご存知なのではないですか?
9月15日の件を・・・。」

「9月15日?」

玉城が首をひねる。

「あれが・・・・・・フレイヤか・・・。」

兄さんが呻く。

その他の数人も。

数日前、そう、丁度9月15日。
中華連邦の人工衛星がとある地でのブリタニアの新兵器実験を捉えたと、シンクーから報告があった。
あれが多分フレイヤなのだろう。
その威力はすさまじく、破壊力も、消失範囲も従来の兵器とは桁違いだった。

シュナイゼルは新兵器実験の事は各国に通達しなかったが、あれだけの規模の破壊を行っては何処の国の人工衛星にも写し撮られるのは承知の上だった事だろう。

兄さんの正体だけでなく、それを本当の隠しカードとしてここに乗り込んできたのだ。

「エリア11だけではありません。
交渉に応じていただけないなら、蓬莱島も世界地図から消えることとなります。」

笑顔で起爆スイッチに手をかけるシュナイゼルに、団員も、そしてコーネリアさえ息を呑んだ。

・・・そう。僕以外は。

殺戮兵器・フレイヤの威力は絶大。

何百、何千のナイトメアを有していても、一瞬で破壊される事だろう。

・・・でも僕もずっと帝国の兵器であり、死神だったんだよ。
皇子として何不自由無い暮らしをして来た貴方は知らないだろうけど。

僕はうっすらと微笑むと、ほんの0・5秒時を止めて、シュナイゼルの腕の腱を打ちぬいた。

シュナイゼルは信じられないという顔で僕を見た。


打ち抜かれた手からフレイヤの発射スイッチが垂直に落ちる。
大丈夫。あのてのスイッチはこれぐらいでは暴発しない。

それでも他の者は僕のように手は出せなかった。

ナイトメアに乗ることの無いシュナイゼルだが、学生時代には学業だけでなく射撃や乗馬、様々な分野で記録を作っていた。彼は凡庸な皇子ではない。
銃で打ち抜くより、もう指をかけているシュナイゼルの方がどうしても早い。

そして彼は誇り高き第二皇子。比類なき知者と謳われた大帝国宰相。
策に破れ、無様に捕らわれるぐらいなら、日本を道連れに死ぬことも厭わないだろう。
そんな覚悟を藤堂もカレンもシュナイゼルの微笑みの中に見て取った。

だからこそ、藤堂やカレンも起爆装置のボタンに指をかけたままのシュナイゼルを止める事が出来なかった。

でも、僕のギアスは人の体感時間を止める。
スイッチを持っていたのが超人的な運動能力を持つラウンズだったとしても、時を止めて打ち抜ける。

シュナイゼルはまさか高いリスクをおしてまで手を打ち抜く者が居て、それが成功するとは思ってもみなかったのだろう。
血を流しても泣きも喚きもしなかったが、ただ、呆然としていた。

奥の手として持っていたカードも想定外のイレギュラーに邪魔されて残念だったね、シュナイゼル。
覚えておいて。兄さんにはこの僕がいる。


側に居たカノンがシュナイゼルを守るようにして銃口を向けてきたが、それも普通の人なら気がつかないほどのわずかな間、時を止めて銃身をはじく。
アーニャは何故か抵抗しなかった。


会議はそこで中断になり、シュナイゼル、アーニャ、カノン・・・全て団員達によって拘束された。


とりあえず、フレイヤがまだ何処の地にも落とされる前にシュナイゼルを捉える事が出来たのは本当に幸運だった。
後はシュナイゼルにギアスをかけてフレイヤを始末させればいい。
あんな兵器はこの地上にあってはならない。

コーネリア皇女は僕が拘束し、特別室に連れて行った。
皇女はもう何も言わなかった。
ただ、魂が抜けてしまったかのように呆然としていた。

そこに兄さんが入室して来た。
皇女は、ゆっくりと顔を上げ、兄さんを見た。

兄さんも皇女を見つめた。


「姉上・・・何故・・・?何故あんな嘘をおっしゃって俺を庇ったんですか?
俺が憎いでしょう・・・・・・。」

兄さんはコーネリア皇女に問うた。

「・・・どうしてなんだろうな・・・。」

皇女は小さくつぶやいた。

「・・・本当は助けるつもりなど無かった。今でもお前が憎い。八つ裂きにしてやりたい。
でも、ジェレミアとヴィレッタが持ってきた会議の盗聴音声を聞いて・・・私は・・・。
なぁ、ルルーシュ。
ユフィが亡くなって、私は父上に謁見を申し出た。
でも・・・父上は言ったんだ。『それがどうした。』と・・・。『そんな事はもう知っておるわ。』と・・・。
父上はユフィのために一粒の涙も流してくれなかった。娘なのに・・・。血を分けた娘なのに・・・!!
虐殺皇女として皇族の廟にも入れずに罪人として葬ったんだ!!
それから私は提督位も返上して事件の真相を求めてさすらった。
そしてギアスの事を知ったんだ。
・・・お前のギアスが暴走したのはV.Vのせいだった。
V.Vが面白がってユフィを殺したんだ。
父上はそんなV.Vと組んでいて・・・それを知っても私は直接ユフィを殺したお前が憎かった。
お前はユフィの死をあれほど悲しみ、心から詫びてくれたのに・・・それでもお前を憎まないと生きていけなかったんだ・・・。」

そこまで言うとコーネリア皇女は号泣した。
泣きじゃくる様は噂で知られる戦女神ではなく、弱々しい少女のようだった。

「返せ、ユフィを!!ユフィを返して!!
他には何もいらないんだ。地位も名誉もいらない。
これまで他人を殺めてきたこの腕も切り取ってくれてかまわない。命だって・・・。
だからユフィを・・・私のユフィを返してくれ。
虫でさえ殺せない優しい子なんだ。
皆に愛されて幸せな生涯を送るはずだったんだ。
あんな死に方をしていいはずがない・・・!!
ユフィ・・・。ユフィ!!」

身もだえして苦しみ泣くコーネリアを兄さんは言葉も無く、じっと見つめていた。

「姉上・・・。姉上からユフィを奪って申し訳ありませんでした。
この命で償えるのなら喜んで姉上に差し上げます。
ただ・・・少しだけ時間を下さいませんか?
俺にはやらねばならない事があるのです。」

そう言って一礼し、兄さんは部屋を出て行った。



今思えば、兄さんのゼロ・リクイエムはこの時から始まっていたのだと思う。






次週金曜日に最終話UPします

今回はオールシリアスでした
本当は少し崩してコメディも入れたかったのですが、話の展開上出来ませんでした。
そこで、コメディを入れたかった部分だけ書き直したものをオマケとしてUPします。
話の雰囲気が壊れると思う方は見ないで下さいね

オマケssはこちら

わりとシリアス気味のSSを書いているせいか、コメディが書きたいです。
・・・というか、もう書けないと思うと書きたい話が浮かんできたり。
今思うだけでもかきたいなぁ・・・と思うのは、

①スザク転入の代わりにルルロロの(設定上の)庶民父親に化けたシャルルがルルの様子をさりげなく見るためにクラブハウスに3日ほど居座る話で、ルルは記憶改変されているからパパと仲良し。ロロはいろんな意味でハラハラ。

②兄さんの代わりに初めてスーパーにお使いに行ったものの、モノの場所はわからないわ、おばさん軍団に負けるわでヴィレッタ先生に助けを求めるコメディ。湖面番外編的お話

③マオのように、蜃気楼のレコーダーに残ったロロの声をヘッドホンで聞き続けるルルのシリアス系のお話。ゼロリクイエム寸前まできっとロロの声聞いていたと思います。

④ありえない俺達的なお話。どうやってもロロをボロ雑巾に出来ないルル。←コレなら短いから書けるかも?書けた!!

⑤ロロナナデートの続編で、真っ黒になったナナリーにアヴァロンで拉致されてデートする話(それでも邪魔しに来るルル)

とか書いてみたかったです。
どこかリクエストしたら書いてくださる所ないでしょうかね~?
ご存知でしたら教えて下さい!!!
うちでリク受け付けてるよ!!という方もいらしたら教えて下さい!!
状況が落ち着き次第リクエストに参ります!!!(多分こんな変なお話を書いてやろうという方はいらっしゃらないと思いますが、言うだけはタダなので言っておきます

この文章自体書いてるのは6月10日なので、自動投稿される日、私はどうなってるんでしょうね
とりあえず次回で最終回。
番外編を2つオマケにつけておきました。
それをもって無期限休止に入ります

+6月26追記

最初よりべったり同居になってます。
近くにアパートは借りているのですが、諸事情でまだほぼウチで過ごし、泊まっています。
気分的には思ったより大変ではなかったのですが(忙しいだけなら子供らが小さい時の方がもっともっと忙しく大変だったので)活動自体はやはり難しそうです。
アパート泊まりになっても朝7時~夜9時ぐらいまではウチにいると思うので難しいですね

今日は朝4時半におきたのですが明かりつけたらすぐ起きちゃいました(隣の和室に寝てるけど扉開けっ放しなので。
ただ、お風呂入りに行ったので打ててます♪
同居自体は和やかにいってるので心配なさらないで下さいね☆

遊びに来てくださった皆様、拍手コメント下さった皆様、ありがとうございました!!
とっても嬉しいです♪

拍手コメントはこちらから








[続きを読む...]
その手のひらに7のおまけSS
2009年05月19日 (火) | 編集 |
注:前半は太文字の所だけその7の書き換えで、後半は全て書き換えしてます。







「ゼロ、駄目!!」

悲鳴にも似たカレンさんの声が上がる。

兄さんの正体がばれるだけならまあ、良しとしよう。
・・・でも、ユーフェミアの件までばれたら流石に終わりだ。

シュナイゼル・・・カノン・・・アーニャ。
殺さなくては。

扇・藤堂・四聖剣・ラクシャータさん・・・それに玉城。
けっこう好きだったよ。
仲間だと思ってた。
でも兄さんを傷つけるなら僕は・・・。

殺すのはさすがに可哀相だから一室に監禁してちゃんと心を入れ替えるまでまたチアガール姿でラインダンスでも踊ってもらうか・・・。



しかし兄さんが仮面を取る寸前、ドアを蹴破る勢いで飛び込んできた一人の女性が居た。

紫にうねる髪を乱れさせ、目を吊り上げた彼女は円卓に歩み寄り、音を立てて机を叩いた。

げっ、なんでこんな時にババアが来るんだよ。机を壊さないで!この部屋の備品は斑鳩内で一番お金が掛かっているんだからね。戦魔女に叩かれたらか弱い机にヒビが入ってしまうよ

「おお、コーネリア、よく無事で居てくれた。
君が行方不明となってどんなに心配した事か。
さ、君の口からもゼロはわが皇族に連なる者だと・・・。」

「いえ、兄上。その者は皇家とは無関係です。」

コーネリアはきっぱりと言った。

ええっ!どうしたの!?兄さんギアスかけてないのにとうとうおかしくなっちゃったの!?

「何を言うのだ。さては催眠術に・・・。」


「いえ、私は催眠術になど掛かってなどいません。先ほどの件も、兄上の勘違いでしょう。
確かに幼い頃この地で命を落とした弟は居ましたが、あの子は死んだのです。
だから、ゼロはあの子ではありません。
・・・しかしあの子の友人ではありました。だから私の事を皮肉を込めて姉上と言ったのです。

マリアンヌ様の件を喋ったのは日本で一人の味方も無く虐殺されたと思っていたあの子にも日本人の友達が居て、今でもあの子の名を名乗って挑んでくるほど大切に思っていてくれたのが嬉しかったからです。
それだけの理由ですので、喋ったのは亡くなったマリアンヌ様個人に関する情報だけです。
ブリタニアが不利になるような事など一切漏らしておりません。

そして、催眠術なども使っていません。
そんな便利な力があるなら私を洗脳してブリタニアに送り込めばいいではないですか。
私なら、急襲して兄上や陛下の首を取る事も可能です。
しかしそうはしなかった。
それで答えはおのずと出るでしょう。」

コーネリア偉い!!!
兄さんをいじめるクソババァと思っていてごめんね
今度からコーネリア姫と呼ばせていただきます


「そ・・・そうだ!!確かにコーネリアの言うとおりだ!!」

玉城が叫ぶ。続いて皆も。

「ゼロは天子様の一件でも心の力を大切にしていたじゃないか!!」

「そうだ!!それにゼロには20歳の色っぽい娘と16歳のゼロそっくり・掃除命の息子がいるんだぞ!!そんな掃除ダイスキ中年オッサンのゼロがお前やコーネリアの弟のわけないだろう!!」

「そうだそうだ!!ゼロは斑鳩内すべての水道にTVショッピングで買った節水装置をつけてまわっていた!!そんなセコイ皇子様が何処に居るって言うんだ!!」

「そうだ!!ゼロは時々ふらりと厨房に現れて余り物を使っておばちゃんたちより上手に料理を作るんだぜ!!皇子のワケあるか!!
ゼロの兄だって言うのなら、今から厨房行って残り物で3品以上作ってみやがれ!!」

「う・・・。」

シュナイゼルは団員達に徹底的に証言を叩かれて流石にあせりの色を浮かべた。
まさかこのような形で論破されるとは思ってもみなかったのだろう。

しかし、数秒後にはもう、落ち着き払って笑みさえ浮かべた。

「・・・なるほど。ゼロは我が弟ではないと。いいでしょう。そういう事にしておきます。 (むしろそういう事にしておきたい。)
しかしそれでは何故カレンさんはゼロが仮面を取るのを止めたのです?
後ろ暗い所が無いのなら、素顔をさらしてもかまわないのではないですか?」

今度はカレンに注目が集まる。

「そのとおりです。でも私にはずっと一つの疑念がありました。
彼・・・いえ、ゼロはあれだけのキセキを見せ付けながら、決して仮面は脱がなかった男。
私は・・・ゼロは何か見せてはならないほどの不細工な顔なのではないかと思っています。」

「そ・・・そうだ!!確かにカレンの言うとおりだ!! 」

玉城が叫ぶ。続いて皆も。

「ゼロは戦略はともかく美形ぞろいのブリタニア皇族にカリスマ性じゃ勝てないと思って顔を隠したんだ!!」

「ブリタニア皇子なら、顔を見せて悲劇のカリスマ美形テロリストとして堂々としてるはずだ!!」

「でも、俺達は一度もゼロの顔を見たことがない。ブリタニア皇子じゃない証拠だ!!」

「きっと不細工なんだ!!」








・・・・という文を本編を書いている最中に入れたくてたまらなかったのですが、話の流れ上不可能だったのでここに書いてみました。ああすっきりした♪(でも何か申し訳ない気もしますが)
お付き合いくださった方、ありがとうございました~


その手のひらに最終話
2009年05月19日 (火) | 編集 |
シュナイゼルを押さえた兄さんは、その後密かにゼロの影武者として朝比奈をたて、正体を打ち明けたカグヤ、そしてカレンに黒の騎士団を託し、行方をくらました。

それからしばらくたった後、兄さんはルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとして僕やジェレミア、ヴィレッタ、C.C、咲世子だけを連れ、皇帝のところにまで乗り込み、ギアスを使って帝位を簒奪した。

シャルルは両眼ともギアスを使える達成者となっていたが、C.CやV.Vのようにギアスが効かない相手ではない。僕が時を止め兄さんがギアスをかけ、兄さんの傀儡とする事に成功した。

兄さんは全世界TV中継の元、ギアスをかけた皇帝にもっともらしい理由を言わせて帝位を譲らせた。

その後貴族制度を緩やかに改革し、実力があれば身分・国籍に関わらず重要な地位につけるようにした。
その一方、領民から規定以上に搾取したり狼藉を行うような貴族は、それが皇族・大貴族であっても容赦なく爵位を取り上げ、領地も召し上げた。


植民地である各エリアも改革がなされた。

特区日本を手本に、その地の反抗組織の武装解除とエリア市民参加を条件に全てのエリアを衛星エリアに引き上げた。

税も権利もブリタニア人と等しくし、そのエリア出身の人間の中から有能なリーダーを見つけ出して総督の地位につけ、平和的に導いた。

それだけでも画期的で各エリアからルルーシュ皇帝は絶大な支持を受けたが、改革はこれだけにとどまらなかった。
順次所有エリアを開放し、国として認め、混乱無く政権を総督に引き渡し、同盟を結んでいった。

黒の騎士団や中華、EUとも正式に和解し、謝罪さえした。
もしかしたら、一部の幹部は兄さんの事を気づいたかもしれないが、カレンやカグヤの強い説得もあり黒の騎士団・中華連邦とも、ルルーシュ皇帝の謝罪を快く受け入れ友好を結んだ。

突然現れた兄さんが皇帝となる事に不服を唱える勢力はあったが、世界に支持されるルルーシュ皇帝に逆らい続ける事は自らの首を絞める行為にしかならないと気付いたようで、武力を放棄して膝を屈した。

クルルギを除く全ラウンズはシャルル前皇帝の命令のもと兄さんの配下となり、テンだけはその後、不祥事を起こし、追放された。

ラウンズの欠番には変装を解き、本名に戻ったジェレミアとヴィレッタ先生が入り、元から居たラウンズに比べても遜色の無い成果をあげた。

クルルギは兄さんとの和解を良しとしなかったが、多くの人の血が流れる事は望まなかったようで、EUに亡命し、表立っては何も仕掛けてこなくなった。

小競り合いはあるものの、世界から急速に争いが無くなっていった。

ナナリーも取り戻した。
カレン奪回の際に残した手紙から、ゼロが兄さんだと察したナナリーは悩みに悩んだようだが、それでも兄さんの手を取った。
僕はそれを嬉しく思った。

このまま穏やかな未来に向かって一緒に進んで行ける。そう僕は信じていた。
あの日まで。




1年の歳月が過ぎた。

兄さんはある日、腹心の者皆を集めてふんわりとほほ笑んで言った。

「これまでよく仕えてきてくれた。本当にありがとう。
出来る事ならこのまま皆と生きていきたかったが、俺のやるべき事はもうすんだ。
罪を償うときが来たのだ。」

兄さんは恐ろしい計画を僕らに話した。
皆で必死に止めたけど、兄さんは止まらなかった。




そして、とうとう運命の日が来てしまった。

ゼロ・リクイエム。この日、皇帝ルルーシュは、クルルギスザクに刺され、衆人が見守る中、命を落とした。

・・・・・・とされている。






ルルーシュは重い体を引きづるようにしてベットから身を起こした。
そして、ハッとしたように時計を見た。

「何だこれは!!」

ゼロリクイエム決行前夜、確かロロが最後の時を過ごしたいと部屋にやってきた。そして、一緒に紅茶を飲んだところまでは覚えている。

「陛下・・・いえ、ルルーシュ様、お目覚めになられましたか?」

ジェレミアをはじめとする腹心達が部屋に入ってくる。

「俺は・・・いや、ゼロリクイエムはどうなったんだ!!」

「ああ、それでしたら、・・・計画通り、万事順調に進み、完了致しました。」

咲世子が言う。

「何を言っているんだ!!俺がここにいるのにそんなわけ無いだろう!!」

「ですが・・・本当に計画通り進んだのです。こちらをご覧下さい。」


パネルに皇帝専用車に乗り、民衆の歓声を受けて通るルルーシュ・ヴィ・ヴリタニアが映る。

「あれは・・・誰なんだ・・・・・・。俺じゃない・・・。」

ルルーシュは怪訝な顔でベットを取り囲む腹心たちを見回す。
そして、本来ならば一番近くに居るはずの者が居ない事に気がついて青ざめる。

パネルの中、御用車は突然パレードの中間地点で止まった。
そして皇帝は民衆を見渡して深々と頭を下げた。

「諸君、今から話すことをよく聞いて欲しい。私は歴代一卑劣で暗愚な皇帝である。
そのことを心に刻んでいて欲しい。」

ルルーシュ皇帝の言葉に民衆がざわめく。
無理も無い。
ルルーシュ皇帝と言えば、戦争をとめ、植民地を圧政から救った稀代の賢帝として名高い。

「私が優しい世界を作るために努力したのは罪滅ぼしのためだ。
元々私は私的な信念に基づいて小さな目的のために戦って来た。
・・・しかしその結果、数え切れないほどの人を苦しめ、殺してしまった。
私はやり方を間違えたのだ。

諸君はきっと覚えていることだろう。
日本人を虐殺した年若い皇女の事を。
彼女にそうさせたのは私だ。」

その驚くべき告白にどよめきが走る。

「彼女は日本人を愛し守ろうとしていた。そんな彼女は私の計画に邪魔だった。
私は彼女を密かに殺し、狂人と摩り替え汚名を着せた。
しかし私は後悔している。夜も眠れぬほどに。

罪なき者を貶め、手段を選ばず多くの人々を利用し、殺し続けた私に皇帝たる資格があるだろうか?
いや、皇帝どころか人間としてすら許されないはずだ。

だから・・・今日、この命をもって償おうと思う。
どうかそれでユーフェミア皇女を許し、再び愛して欲しい。
彼女は本当に日本人の事を思いやる優しい少女だったのだ。
悪いのは全てこの私、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。」

年若い皇帝はどよめく民衆から目をそらす事もなく、よく通る声を張り上げた。

「今日は彼女の騎士・クルルギスザクをここに招待した。
さあ、スザクよ・・・今こそ正義の剣で私を貫くのだ。」

両手を広げるように差し出す皇帝の数十メートル前に一人の青年が現れた。
クルルギスザクだ。

彼は信じられないようなスピードで皇帝車両に突っ込み、跳躍すると剣をすらりと抜いた。

ルルーシュ皇帝は満足そうにクルルギを見、それから民衆を見た。

先ほどとはうって変わって群衆は静まりかえっている。
あまりの事に言葉も出ないのかも知れない。

「見よ。わが最後を。罪無き少女を貶めた私は地獄に行っても詫び続ける事だろう。
さあ、クルルギスザク。ユフィの騎士よ。
私を殺してユフィや虐殺された日本人の仇を討て。
そして・・・どうか、幸せに生きてくれ・・・。」

皇帝が静かに目を閉じる。

スザクが剣を構える。

「止めろスザク!!止めてくれ!!あれは俺じゃない!!!」

パネルに向かってルルーシュは絶叫する。

「お察しの通り、あれはロロ様です。ルルーシュ様の身代わりをかって出ました。」

「何故お前達はロロをあそこにやったのだ!!ロロに罪は無いだろう!!何故!!!」

ルルーシュはジェレミアの襟首を掴んで詰め寄った。
ジェレミアはつらそうに目を眇めた。

「・・・ええ、ロロに罪などありません。もちろん皆で止めました。しかし聞かなかったのです。
さすがルルーシュ様の弟君、頑固でいらっしゃる。
彼はルルーシュ様を失っては生きていけないと言っていました。ゼロリクイエムで貴方が亡くなれば後を追って死ぬと。それならいっそ・・・。」

「・・・・・・だから・・・行かせたというのか・・・。」

「その通りです。お叱りは覚悟の上です。それでもロロも、我らも、ルルーシュ様に生きて欲しかったのです。」

ジェレミアが呻くように言った。


パネルの中のルルーシュ・・・いや、ロロはうっすらと満足そうに微笑んでいた。
その胸に、音も無く、スザクの剣が飲み込まれていく。

「嫌だ!!死ぬなロロ!!俺なんかのために!!!」

白い皇帝服が見る見る間に紅く染まり、その口からも血がこぼれた。

「ロロ!ロロー!!!!」

過去に起こった出来事は止められない。
それでもルルーシュは叫び続けた。

深く差し込まれた剣をスザクは引き抜き、血を振り払った。
ロロは何かをスザクに囁き、そしてヨロヨロと、しかし優雅に民衆やスザクに深くお辞儀して・・・・・・そのまま壇上から血まみれになって転げ落ちた。

ジェレミアが駆け寄って脈を取り、力なく首を振った後敬礼した。
それに習った民衆が一人、また一人、静かに哀悼の意を表した。

皇帝車両はその中を粛々と進んでいった。

「ロロ・・・・。俺が追い詰めたのか・・・。俺は唯、ユフィのために・・・。」

ルルーシュはもう叫ぶ事すら出来ないまま、涙が涸れはてるほど程泣いた。



「最後のお別れをなさいますか?」

ジェレミアが静かに聞いた。

ルルーシュは頷き、よろよろと立ち上がって隣室のドアを開けた。

そこには綺麗に清められたロロが真っ白な棺の中に横たわっていた。
色とりどりの花にうずもれるようにしてロロは眠るように微笑んだまま息絶えていた。

その傍らには喪服姿のヴィレッタとシャーリー、そしてナナリーが真っ赤にした目で付き添っていた。

「・・・・・・ロロ・・・どうして俺なんかのために・・・。」

ルルーシュはそっと棺に跪く。

「いつまでも俺の側にいると言ってくれたじゃないか。・・・お前は嘘つきだ。」

ロロの顔の上にルルーシュが落とした涙が伝う。

「でも俺は・・・お前にだけは嘘をつかないよ。ずっと一緒に居てやる。ずっと、ずっとだ。
お前と一緒に死んでどこまでも・・・。」

ルルーシュは花に埋もれているロロの手を探り、そっと握る。

そのとたん、ロロがぱっと目を開けた。

「そりゃ無いよ、兄さん。せっかく僕が命張ったのに、何を考えているんだよ!!!!」

死んだはずのロロは起き上がって元気に怒り出した。

そして周りの皆が一斉に吹き出す。

「お前・・・死んだんじゃなかったのか・・・。」

笑われてもまだ呆然としたままの兄さんはそのまま僕に手を伸ばし、抱きついた。

「ごめんね。皆お芝居なんだ。どうやってもゼロリクイエムを実行しようとする兄さんを止める手段はコレしかなくて・・・。
あ、もちろん、刺されたのもお芝居だから。スザクさんもグルだから。
もう大変だったよ、打ち合わせと芝居とトリックの稽古。一生分の冷や汗かいちゃったよ。」

ロロがいたずらっぽく笑う。

「冷や汗かいたのはこっちの方だ!!何だって死んだふりまでしてるんだ!!」

「だって・・・兄さんは人の気持ちが解らないもの。」

「何だと!」

怒鳴る兄さんの両頬を手で包むようにして僕は兄さんを見つめた。

「僕が死んだと思って悲しかったでしょ?
一緒に死んでしまおうかと思うほど苦しかったでしょ?
・・・そうやって残された者は一生苦しむんだ。ちゃんと解ってよ。」

僕の言葉に兄さんはばつが悪そうに目を泳がした。

「そうか・・・そうだな。すまなかった・・・。
しかしユフィを死なせた俺が生き延びてしまって、姉上やスザクにどう詫びれば・・・。

「それなら心配いらんぞ、ルルーシュ。」

扉を開けて現れたのは私服を着たコーネリア皇女とスザクだった。

「お前ががっつり騙されて泣いて取り乱してる姿を隣室からカメラで見て散々笑わせてもらったからな。
ユフィもきっとあの世で大笑いしてるさ。」

「姉上・・・。」

「お前の償いの気持ち、確かに受け取った。ユフィを忘れる事は出来ないが、少なくともユフィの名誉は回復された。・・・ありがとう。これで私も前を向いて進めると思う。」

「僕もコーネリア殿下と同じ気持ちだよ。彼女とヴィレッタを通じてゼロ・リクイエムの全貌を知ったとき、僕の心は決まった。
きっとユフィは君を許していると思うよ。・・・もう、とっくにね。
彼女は本当に優しい人だったから。」

スザクが兄さんに手を差し伸べた。あの時のユフィのように。

兄さんもその手を取った。本当に嬉しそうだった。




ルルーシュ皇帝崩御の後、ナナリーが次代の皇帝として即位した。

彼女の功績はエリア11提督としてのわずかな期間のものしかなかったが、ユーフェミア皇女が果たせなかった特区を成功させ、のちに賢帝ルルーシュが世界を開放するためのモデルとしたのはかの地であった。
その功績は世界から高く評価された。

彼女の足は不自由なままだったが、ジェレミアのギアスキャンセラーによりその澄んだ青い瞳は開かれ、人々を魅了し広く愛された。

彼女は時には兄さんや皆の助言を聞き、彼女の騎士であるスザクと共に辛抱強く、隅々まで穏やかに改革していった。
賢帝として死後も名高いルルーシュ皇帝の実妹の名に恥じぬ働きぶりだった。


クルルギ卿も一時はルルーシュ皇帝を害した事で非難を浴びたが、ナナリーは『兄の意思だった。彼の方が被害者だ。』と言い続け、一貫してスザクを庇い続けた。
また、スザクも少女である皇帝をよく助け、生涯温厚で誠実な家臣として仕え、疑心を抱いていた民衆からも愛されるようになった。


死んだ事になっている兄さんは政治の表舞台から手を引き、施設に預けていた元ギアスユーザーの子供達をつれて僕やC.Cとともにテレビさえない田舎に引っ込んだ。
時々遊びに来るコーネリア皇女はいつも子供達の先頭に立ち、勇ましく麦藁帽子を被り、虫取り網を手に誰より楽しげに遊んでいる。
・・・初めに見たときはビックリしたけど、今は見慣れてしまった。
もちろん時には一緒にナナリー皇帝を連れてくる事もある。
彼女もここではよく笑う。

カレンさんに連れられてシャーリーさんや会長達もこっそりと毎夏のバカンスを過ごしに来る。
そんな時は学生時代に戻ったかのような気になる。(そしてミレイさんに毎回振り回される)

隣の農場には扇から奪い取ったヴィレッタ先生と結婚したジェレミアたちがオレンジ農家を営みながら住んでいる。(意外にもラブラブだ!!ビックリだ!!)

・・・しかし、何故か記憶を取り戻したアーニャまで居候していて、こちらも時々遊びに来ては失った子供時代を取り戻す勢いではじけまくっている。


更に反対隣にはギアスによってすっかり野心を取り除かれたシャルル・シュナイゼル親子が住んでいる。
シャルルは家庭菜園に凝っていて、時々美味しい野菜をおすそ分けしてくれる。

シュナイゼルは僕に打ち抜かれた手の傷のため左手がやや不自由だが、さすが兄さんの兄だけあってあっという間に家事を完璧にマスターした。

彼は母親を早くなくし、今まで父である皇帝とも親子らしいふれあいをした事が無かったようだが、今は意外と親子らしく楽しげに暮らしている。

僕もすっかり日に焼けて、弟妹やC.Cの世話に忙しい毎日をおくっている。
最初は普通の子供とは言いがたかったギアスユーザー達も、たくさんの愛情を浴びながら過ごすうちに、人との繋がりが持てる、優しく快活な子供となっていった。

C.Cの記憶は今はないのでまるで子供のようだ。
僕にも懐いてとても可愛い。

彼女はコードを沈め、一時の間、人間として暮らすことを選んだ。

コードを沈めている間、彼女は普通に傷つくし、年もとる。
もちろん死が迫れば自動的にコードは復活してしまうが、少なくとも数十年は人として生きることが出来る。
苦しかった人としての記憶は何百年もC.Cを苦しめたようだが、これからの一時を幸せな人間として生きる事で克服したいようだ。
僕らを信じて無防備な身体と無垢な心をあずけてくれたのだから必ず幸せにするよ。

・・・でも彼女は兄さんより嘘つきだから、これだけが本当の理由じゃないのではと僕は思っている。


彼女はあれで、V.Vの事をとても気にしていた。

「シャルルに裏切られ、私にも裏切られ、ジェレミアにもロロにも裏切られた。自業自得だけどあいつはあいつなりに優しい明日が欲しかったんだ。」

そうつぶやいていたのを僕は知っている。
きっとC.Cは本体を眠らされ、孤独なままCの世界に閉じ込められたV.Vと一緒に居てあげたいのだと思う。
V.Vが寂しくないように。

孤独の苦しさを誰より知っている彼女は優しい嘘つきだから。

今、彼女はCの世界からV.Vと、嘘だらけだけど争いのない優しい世界を見つめているのかな?


人は誰でも生まれてくる時、その手のひらにたくさんの幸せを握り締めて生まれてくるのだという。
成長するうちに開いた手のひらから幸せがボロボロとこぼれていくけれど、一度開くからこそより多くの幸せを掴み取れるのだと僕は思う。

兄さんも僕も今は、本当に欲しかった幸せをこの手に掴み取った。
だから・・・僕は祈り続ける。

世界中の人の手のひらに、素晴らしい幸せを・・・と。



        END



長い間お付き合い下さってありがとうございます。
この話をもって、『ロロクラブ』は長期休止に入ります。
多分この忙しさでは復活は無いと思います。

読みに来て下さった方々、コメントや拍手で支えてくださった方々、ありがとうございます。
お陰様で、もう書けない・・・と思うことが何度かありながらも時間が許すギリギリまで書き続ける事が出来ました。
もしよろしかったら今までのぞくだけ~という方も最後に何かコメント下さると嬉しいな♪←厚かましい奴。
一生の宝物にします!!

なるべく幸せエンドを目指したのですが、どうだったでしょうか?
ルルロロはもちろん、コーネリアも以前書いたSSのお話ではルル生存中に和解出来なかったので今回はこんな風にしてみました。
本編とは全く違うパラレルエンドですが、抜けなかったとげのような部分を願望を込めて書くことが出来、これで休止となっても何となくスッキリしました。(ただしウチに昔から来てくださっている方にはオチが簡単に読めてしまったような。すみません
でも、あっと驚くようなお話より幸せエンド(←過去にどなたかにいただいたコメント引用)のお話のほうが私も好きなもので・・・


ロロファンを止めるわけでは無いので、隙があったらロロサイト様やリンク先サイト様は回ってみたいと思います♪(もう体力的に今までのような超早起きは無理ですが、朝30分間のサイトめぐりはとっても楽しみなので続けていきたいなぁ

いろいろウダウダ書きましたが、ありがとうございました!
『その手の平に』のロロたちと共に皆様のご多幸を祈っております!!!


あ、あと、このお話の番外編で、ジェレミアとマリアンヌのお話をサービスで(?)書いてみましたので、よろしかったらお寄り下さい下さい。

あの方に誓うはこちら

更にコメディ系手のひら兄視点はこちら


一話ずつ毎週UPしようかとも思ったのですが、そこまでのお話では無いのでオマケにつけることにしました。


密かにルルロロ誕生日にぐらいはまた書いてみたいと思っていますがちょっと日にちが空きすぎているし、自分自身がどのような状態なのか想像つきません
でもロロの事は今でもだ~~い好きなのでまたいつか機会がありましたら書いてみたいです♪

7月2日追記(↑は同居前に自動投稿でセットしています)

RUY様より、ギアスの続編が作られるかも・・・との情報をいただきました。
もし本当に続編が放映されたら短い(?)感想ぐらいは書いてると思いますので覗いてくだされば嬉しいです♪

同居の方は最初の10日は手続きや病院めぐりでものすごく忙しかったものの、今は徐々に落ち着いてきています。
現在夜間はじいちゃん、徒歩3分の自分のアパートに帰ります。
朝7時から夜9時までウチにいるとは言え、ウチの前の道を一人で散歩したり、時々うたた寝したり新聞読んだりしてるのでその間にブログめぐり出来そうです♪

ただ、仕事量が増えてるので早朝起きると眠いし身体にも悪そうなので今は昔ほど早起きしてません。おまけに嫁の分際でほぼ毎日「手術後ですので~♪」と30分ぐらい昼寝してます☆
この昼?寝が気持ちいい!!すごくスッキリします!!

自分一人の時間は短時間しかないのでそれでもやっぱりSSを書き続けるのは厳しそうですが、続けるのは無理でも単発でふ・・・と載せる事はあるかもしれません。
一番早くても夏休み終了後ですが・・・もし更新があったら知らせてほしいという奇特な方がいらっしゃったらメルアドをコメント・管理人宛(非公開)で教えてくだされば更新のお知らせを送ります(ただし全然当てにしないで待ってて下さいね。長女が中学受験したいと言い出したのでもっと時間がなくなってるかも?)

こちらを休止している間は家族が居ても堂々と打てる、家族公認のブログの方を書いていると思いますが。こちらはアニメのアの字も出ない家族や実父母も見る子供の成長関係の主婦ブログです。
私の実年齢を載せているので絶対ご紹介できませんが、何かの拍子に偶然見つけてアレもしや・・・と思ったら、そっと見守ってくださいね♪(近況を書いているのですぐわかっちゃうと思います)

コメント欄からいただいたコメントは3日以内にお返事しますが拍手コメントはもしいただくことがあれば記事にて後日お返事いたします。
サーチには載りませんのでご注意下さいね

拍手お礼文からブログへの移行文のみ今後UPするという事はあると思います。(9月で期限切れなので消える前に・・・。)



では、お付き合い下さった天使の様な皆様ありがとうございました!!
休止はとっても寂しいですが、ものすごく充実したファン生活でした♪
今後はわずかな一人の時間を使ってリンク先サイト様やロロサイト様を全力で応援していきたいと思います!!!













あの方に誓う(その手のひらに番外編)
2009年05月19日 (火) | 編集 |
注:ジェレミア視点です。





斑鳩内に監禁されたアーニャの様子を見に行ったのは、ほんの気まぐれだった。
彼女はシュナイゼルに従って此処に来て、そして無抵抗のまま捕らえられたのだという。

見張りの兵から鍵を受け取り、一人入って目の前の少女を見る。

まだ14歳の幼さの残る少女だ。
実物はTVなどで見るより更に幼い。


彼女は昨年ラウンズの1員となり、幼いともいえるその年齢に相応しからぬ軍功をあげていた。

報道などで見る彼女のあの動き。気のせいでなければ彼女の戦闘パターンはマリアンヌ様にとてもよく似ている。

もう少し年齢が上なら故意に真似たのかとも思えるが、マリアンヌ様が亡くなられた当時、彼女はホンの子供だったはず。
マリアンヌ妃がラウンズとして戦っていたのはその更に前の話だ。

一体何故なのだろう?会った事は無いが気になる存在だった。


拘束衣を着せられたナイトオブシックスは放心したようにぼーっと座っていた。
彼女は今何を思っているのだろう。

「・・・ジェレミア?」

ふと視線を合わせた彼女が私の名を呼んだ。
変装しているのに。

「・・・ジェレミア・・・よね?懐かしいわ。」

え・・・?

懐かしい?
確か会った事は無いはずだ。

「老けちゃったわね。昔はまだ子供ぽいところもあったのに。苦労したのかしら?」

子供っぽい?
子供なのはお前の方だろう。

「・・・私、私よ!わからないの!?」

その声には少し苛立ちが混ざっている。


「ほら、私の事、『女神様のようです』なんて言ってくれてたじゃないの。」

げ。

この少女に向けてではなかったが、一度だけ私はそのような事を言った事がある。

憧れのマリアンヌ様の警備主任として初めてお会いした私は、舞い上がってしまい、そんな事を言ったのだ。

彼女は私の憧れだった。
ブロマイドは全て買ったし、雑誌も本もマリアンヌ様が載っているものは全て買って切り抜いた。

間近に見る彼女は輝いていて、美しくて、あまりにもまぶしかった。
しかしマリアンヌ様しか知らないはずの事を何故この少女が・・・。

「ねえ、あの時はごめんね。初任務だったのに失敗させちゃって。」

少女は続ける。

「まさか死んじゃうなんて私も思ってなかったの。私とした事が大失敗だったわ。」

「・・・あの・・・何を?」

怪訝な顔で問う私に少女がイタズラっぽく微笑む。

「あら?意外と鈍いわねぇ。堅物なところ、変わってないみたい。
ギアスの力を手に入れたみたいだから察してくれてるかと思ったのに。
私よ、わ・た・し。マリアンヌよ。」

「・・・は?」

「・・・実はねぇ・・・。」

少女はとうとうと語りだした。

「・・・ってわけなのよ。」

「は・・はぁ・・・。」

この少女がマリアンヌ様?
信じがたいが、確かにこの口調はマリアンヌ様のもの。
そしてアーニャでは知りえないことをその口は語った。

「ねぇ、ちょっと頼まれてくれない?」

「え・・・?」

「私がこの子にかけたギアス、解除して欲しいの。」

「そんな事をしたらマリアンヌ様は・・・!!」

「う~ん。今度こそ、死んじゃうわねぇ。でもいいの。
私さ、結構酷い母親で、ルルーシュやナナリーの事、犠牲にしてもしょうがないと思っていた。
実際、犠牲にしたかな?
だって、日本の遺跡を手に入れなくちゃいけなかったもの。」

彼女は陛下と企てた恐るべき計画を私に語った。

「酷い女だと思ったでしょ?うん。それでいい。実際そうだもの。
でも私、陛下の計画に夢を見ちゃったの。
会いたい人・・・いっぱいいたんだぁ・・・。
父さんも母さんも、たくさん居た兄弟親友もみんな死んじゃったし、ラウンズになっても后妃になっても喜んでくれる人もいなかった。
私は庶出だものね。いるわけないわよ。
貴族達は嘘つきばっかり。
擦り寄ってくる奴も私を利用しようとする奴ばっかり。
息子も娘も何度も何度も命を狙われた。

ラウンズになったら・・・后妃になったら・・・母親になったら何か変わると思ってた。
でも結局何も変わらない。
・・・こういうのは違うって思っちゃった。
この世界を変えたいって思ったの。
一度この世界を壊すなんて、普通の人なら頭がいかれてるって思うかもしれないけど、私は本気だった。
優しい世界を作りたかったの。
陛下は私の共犯者として素晴らしかったわ。」

少女はうっとりと微笑む。

「最初はルルーシュを取り込んでV.Vも取り返すつもりでここに乗り込んできたの。
C.Cもいまだに私に甘いし出来ると思ってた。
・・・でもさ、会議に出て、成長したあの子を直接見て思ったんだ・・・。
もう私の出る幕じゃないかもって。
あのお利口さんの優等生がルルーシュを追い詰めた時、皆あの子を守ったわ。
・・・愛されているのねぇ。
そしてあの子は、心の力を大事にしてるのね・・・。」

マリアンヌ様は、ふう・・・と息を吐いた後、ちょっと嬉しそうに瞬いた。

「ナナリーもよ。
目も足も不自由だからお人形さんみたいに大人しく生きているのかと思っていたら、頑張っているじゃない。
さすが私の娘ね。
・・・って言いたいところだけど、私が育てなかったから、あの子は真っ直ぐ愛されて強くなったんだと思う。
だから私はもう要らないの。元々死んだはずの人間だしね。
生きてる人間は明日に向かって進む。
死者はただ見守る。それでいいんじゃないかしら?
私が取り付いたこの子にも気の毒しちゃった。
だからもう開放してあげたいの。ね。ジェレミア、お願い。」

にっこりと微笑むマリアンヌ様は、あの時のマリアンヌ様だった。
まぶしいほどに輝く、優しい瞳の美しい方。

私は迷いながらもキャンセラーをかけた。
彼女の覚悟に応える事が忠義を果たす事なのだと思ったから。

最後の時、マリアンヌ様はふわっと笑った。
あでやかで、それでいて慈愛を浮かべて。

『ありがとう。』

そんな声が聞こえた気がした。



マリアンヌ様は決して私が考えていたような聖女ではなかった。
彼女が語った計画は恐るべきものだった。
息子、娘に対する仕打ちも。

それでも私はマリアンヌ様を恨めない。
あの方はあの方なりに、より良い明日を手に入れるために力の限りあがいたのだ。


・・・どうぞ安心してお眠り下さい。
ルルーシュ様もナナリー様もこの私が守ります。

貴方が気にしていたこの少女も。


もう、心を削らなくても良いのです。


そしていつか伝えましょう。
貴方が最後まで愛しいと思っていたルルーシュ様とナナリー様に。

『マリアンヌ様はとても素晴らしい方でした。』

『あなた方の事をいつも思っておられました。』

『ルルーシュ様とナナリー様の幸せこそが、あの方の最も望まれたものなのです。』

・・・と。


その言葉は半分本当で半分は嘘だ。

しかし神はきっと、優しい嘘をつかせるためにこの世に嘘を作り出したのだろう。
これでいいのだ。

優しい世界はすぐそこに・・・・・・・。


    fin


死後もジェレミア、ルルーシュ、コーネリアを惹きつけたマリアンヌ様。
こんな方だったらなぁ・・・と思いながら書きました。
その手のひらに・番外編(ルル視点コメディ)
2009年05月19日 (火) | 編集 |
最近ロロが俺の部屋に来ない。
仕事が忙しいのはわかるが、せっかく斑鳩に連れてきたのにこれでは余計に寂しさが募る。


な・・・なんでなんだロロ・・・!!

ロロに相応しく俺の親衛隊長に任命したのは間違いだったのか!?
最近話すことといったら玉城、玉城、玉城のことばかり!!

俺の私室にもめったに来ない。

・・・どうして来ないんだろう。
斑鳩に来る事が決まったときは、

「毎日行くね、兄さん

「兄さんの部屋と僕の部屋が100メートルも離れてるなんて寂しくてたまらないよ~(><)」

とか言っていたのに・・・・・・。

ちっとも来ないじゃないか。

もしかしたら両部屋間が以外に遠いのですねてるのだろうか?
いや、むしろ誰かの嫌がらせにあっているのでは・・・。

ロロは有能だが、此処では新参者。
俺とロロの顔の距離が近すぎる・・・いや、親し過ぎることを不服に思う愚劣な奴らもいるという。
あんなにカワユイロロを可愛がって何処がいけないというのだ。

ロロは華奢で儚げで気が弱く、とても優しい。

普通に考えれば優しくしてやるのが当然だ。
そう思っていたのに団員達はロロが大人しいのをいいことに初日からロロをいじめやがった。
それもよってたかって『女の子みたいだ。』とからかったのだ。

可哀相なロロ・・・。
むさくるしいオッサンどもに囲まれて、女の子みたいだなんて言われてどれ程怖かったことだろう。
思わず正当防衛してしまったようだが、心の傷は深いに違いない。(めったに涙を見せないロロが泣いてたもんな)

もしかしてショックのあまり人間不信になって引きこもっているのか?
部屋の外に出ると誰かに会うから嫌なのか?(←実際は玉城の後始末に忙殺されて部屋から出られない)

・・・そういう事なら俺のほうから会いに行こう。


しかし、信じられない出来事が起こった。
せっかくお菓子を用意してロロを誘いに行ったのに、断っのだ。
今までならありえないことだ。

しかも俺とのお茶は断ったくせに、玉城には優しく茶を入れてやっているのか!!
掃除や身の回りの世話もしてやって・・・・・・ああ、考えたくもない。

俺の何処が玉城に劣るというのだ!!!

いや、そういう問題ではない。まずロロから玉城を引き離さねば。

・・・よし、響団を落とすのにロロを連れて行こう。
あとは腕の立つジェレミア、元響主のC.Cがいればいい。
響団は軍事施設ではない。
これで十分落とせるはずだ。

玉城は(一応)ゼロ番隊・副隊長だからついてくると言い張るだろうが、何、下剤入りのハートクッキーを焼いて可愛らしく箱に詰め

『玉城さんへ。私だと思ってた・べ・て

というキショいメッセージでもつけてロッカーに入れておけばあの馬鹿は食うだろう。
キショくてたまらんがロロのためだ!!
最高のハートクッキーを焼いてやるぞ。

待ってろ玉城。
ふはははは~!!!


もくろみは成功したかのように見えた。

・・・が、響団施設破壊が済んだらまたロロは玉城と部屋に篭りきりになった。
団員達の噂によると、俺の可愛いロロは・・・・・・それはそれは優しく奴に手取り足取り片時も離れず美味しいお茶の入れ方の特訓をしてやっているそうだ。(注:実際は何度もキレかけそうになりながらも理性を総動員して踏みとどまっている)

おのれ玉城。俺のロロに・・・・・・

いや、俺のほうにも何か問題があるのか?
もしかして、完璧すぎる兄に疲れて玉城に癒しを求めているのか?
そんな馬鹿な・・・でもありうる。

くっ・・・!!
こんな時にはスキンシップだ。
そして、玉城から引き離して二人の時間を作るのだ。

は・・!!
そう言えばカレンの奪回がまだだったな。
前回はC.Cやジェレミアも連れて行ったが今回はロロ一人を連れて行こう。
二人でピンチを乗り切り、偉業を成し遂げて兄弟の絆を深めるのだ!!!


・・・しかし忍び込んだ通風孔は果てしなく狭かった。
そこを腹ばいで進むのは思った以上にきつい。

「・・・兄さん、ちょっと休む?」

ロロが心配そうな顔を向けるがにっこり笑って首を振る。
俺はロロのカッコイイ兄でいなければ。

しかし通風孔の縦穴に縄梯子をたらして降りるのもこれまたきつかった。
携帯用なので縄が細く安定が悪いのだ。

ロロは慣れているらしくひょいひょいと降りていくが、俺はそうはいかない。
それでも頑張って紅蓮の元にたどり着く。

紅蓮の操縦はロロに任せて俺は下で起動準備をする。
こういうのは得意だ。

「・・・紅蓮発進!!」

ぐんと伸ばした翼をきらめかせて紅蓮が飛び立つ。
・・・と同時に紅蓮の手が俺を掴む。

こういう細かい芸当は弟の方がはるかに上手い。
スザクも瀕死のユフィを一瞬で掴んで舞い上がったが、ロロもそれに劣らぬ早業で俺を手の中に納めた。

同時に障壁を溶かしながら2つ斜め上の部屋にいるカレンの所に向かう。
初めてとは思えない安定した操縦だ。
さすがカレンと卜部をお試しで乗ったヴィンセントで追い詰めただけはある。

先に潜入を果たしていた咲世子とカレンも手のひらに納めると紅蓮は輻射派動砲を撃って壁をぶち破ると共に飛び立った。
よし。計画通りだ。

しかし・・・ちょっと速度が早すぎるんじゃないか?

ほわあああああああああ!!!!

早すぎる!!
苦しい!!!
血が偏る!!!

ああ・・・そういえばユフィ・・・。
急所は外れてたハズだった。
俺は皇族時代にしか射撃訓練をしていない。
ナイトメアの自動照準で攻撃するのは得意だが、拳銃はサッパリだ。
一応護身用に持ってはいるが、一期ラストの打ち合いでも見事に的(スザク)を外した。

なのに二時間でユフィが死亡したらしいからおかしいな・・・と思っていたら、とどめはランスロットがさしたのか。
多分あいつの無茶な飛行で高圧Gがかかって大量失血死したのに違いない。
俺も死にそうだ。血管が切れて。

「こんなスピードは想定外だ!
一体どんな改造をしやがったんだー!!!


「・・・ちょっと、ルルーシュうるさい!!!」

見ればドレス姿のカレンは平気そうにしている。

「ルルーシュ様、お茶はありませんが、飴などいかがです?
リラックスできますよ?」

咲世子もにっこりと微笑んでる。

こいつら・・・人間じゃない・・・!!!





作戦は大成功だった。
こちらの損害はゼロ。
カレンは無傷。

しかし俺は死にそうだった。(筋肉痛で)

「じゃあ、ゼロ番隊隊長の任を降りますので、カレンさん、よろしくお願いします。」

ロロがカレンに言う。

そうだった!!!
カレンさえ帰ってくればもうロロは俺のものだ!!!

「・・・でもいいの?
ロロ君、私の代わりに素晴らしい働きをしてたって皆褒めてたわよ?
貴方さえ良ければ私・・・。」

「隊長はカレンだ!!君しか居ない!!!!!」

俺はロロをがしっと抱きかかえて言った。

「・・・そ、そう・・・?。うん。じゃあ私頑張る!!ありがとう。ゼ・・・あれ?」

カレンが何か言っていたが、俺は最後まで聞かずロロを拉致して部屋に戻った。
ロロの役職はそう・・・俺の特別警護役がいいだろう。

夜も昼も片時も離れる事無く俺と一緒に居るがいい!!


・・・と思うのに、俺が姉上に会いに行っている間にこっそり玉城に会っている様だ。
仕方ない。
あの部屋にだけは連れて行きたくなかったが、次からは一緒に行くか。

ロロは姉上の部屋での俺を見て目を丸くした。
俺は毎日此処で姉上に土下座している。

姉上の大事なユフィを奪ったのは俺だから仕方がない。

姉上は本当にユフィを可愛がっていた。
手をかけ目をかけ母親以上に可愛がっていた。

寝るときは同じベットで手を繋いで寝てたらしいし、お風呂も亡くなる寸前まで一緒で身体もあらいっこしていたらしい。
常にハグとキスとナデナデを忘れず、怪我をしたら舐めて直してやる。

そんな姉上の姿を俺は物心ついた頃から見、手本として来た。(母さんも『あれぞブリタニア一の仲良し姉妹。あなた達も見習うように!』と言っていた。)
その辺のへぼ姉妹と違う素晴らしい絆が二人の間にはあったのだ。

それなのに俺はユフィを奪った。
許されざる罪だ。

いい機会だ。
罪を犯した人間がどう裁かれるのかロロにも見せておこう。
暗殺者として育ったロロは極々たまにだが、酷く残酷な面を見せる。

ロロ・・・。
たとえ目的がどうであれ、やってはいけない事が世の中には存在するんだよ。


謝っても後悔しても許されない事が・・・。
だから俺は・・・。





ゼロ・リクイエム。

亡くなった命に哀悼を。鎮魂歌を。
この俺の命を持って。


許されたいとは願ったよ。
だからずっと謝り続けた。

お前と一緒に生きていきたかったよ。
お前の成長する姿を見たかった。

可愛い笑顔を、すねた横顔をもっともっと見ていたかった。

でもそれは姉上も同じ。
スザクも同じ。

優しいユフィ。
俺も妹として愛していたよ。
いや、幼いときは恋さえしていた。

「あの子は虫も殺せない。」

そうです姉上。
迷い込んで来た小さな蜘蛛を皆気持ち悪がって殺そうとしたのに、ユフィだけが可哀相と言って、そっと紙に乗せて逃がしたんでしたっけ。

「皆に愛されて幸せな生涯を送るはずだったんだ。」

そう。彼女にはそれが相応しい。
ユフィが汚れ仕事を引き受けなくていいように、姉上は率先して戦場に行きましたね。
貴方も根は優しい事を俺は知っている。
人を殺すのは苦しかったでしょう。
つらかったでしょう。

でも、ユフィの笑顔を思い浮かべて頑張ったのですね。

俺と同じ。

姉上は多分兄弟のうちで誰より俺と似ている。

俺だけ生きていて、愛しい妹や弟に囲まれて生きるのはやっぱりずるいですよね。

俺だけが弟妹の成長を見て、柔らかい髪に触れ、その笑顔を見るのはずるいですよね。


姉上にはこの俺の命を差し上げます。
それでもユフィには足りないでしょうが、せめてユフィが望んだ世界を実現させて、それを姉上に差し上げます。

散々姉上に罵られたけど、それでも俺は姉上を愛しています。

さようなら。どうかお幸せに。


・・・ただ、最後の夜をロロと過ごす事だけは許してください。
彼の顔をよく見ておきたいのです。

血も繋がらない弟ですが、俺によく尽くしてくれました。
俺は本当の弟だと思っているのです。

でも彼には俺の他に身内は居ません。
だから、穏やかにロロと過ごしておきたいのです。

ああでもまぶたがだんだん重くなってくる。
あと少しだけロロの顔を見ていたいのに。

・・・でも、例え死んでも俺の魂はきっと此処に還ってくるんだろうな。



ロロ、ナナリー、C.C、ジェレミア、咲世子、ヴィレッタ、カグヤ、藤堂・・・皆・・・どうか、どうか幸せに。







祈りを込めて眠りについたのに、起きたらゼロリクイエムはもう終っていた。

そして皆笑っている。ロロも生き返った。

でも俺は?

世界は確かに平和になった。
でも俺は償う事が出来なかった。

呆然としていたら姉上とスザクが現れた。笑ってる。

しばらく振りに見た。二人の笑顔。
ここに俺が生きているのにどうして・・・。

「もう死のうなんて考えるなよ、ルルーシュ。また私から弟を一人奪う気か?」

「姉上・・・?」

姉上はつかつかと歩み寄るとユフィにするように俺を抱きしめた。

「お前だって私の弟だよ。愛しい弟だ。」

姉上の胸に抱かれて俺は子供の頃の事を思い出した。
ずっとずっと小さい頃、前にも一度こう言って抱きしめられた事がある。
確か人質として日本に行く前夜だった。
俺とナナリーを抱きしめてそう言ってくれたっけ。

ああ、ユフィ。
どうか許してくれ。

やっぱり俺はまだ生きていたい。
みんなと共に生きていたい。

君の命を奪った俺がこんなことを言うのはおかしいだろうが、どうしても生きていたいんだ。
生きて償ってもいいだろうか?


死んだことになっている俺は田舎暮らしを選んだ。

大勢の子供達の世話は大変だが楽しい。


ジェレミアとヴィレッタの子供もやっとハイハイするようになり、とても可愛い。

今度は命を失わせるのではなく育てて生きたい。
ユフィ・・・。
君が生きていたら、きっとそうしただろうから・・・。

  
 Fin


このお話は浅田りん様のコメントにヒントを得て書かせていただきました。
ありがとうございました!!!

ところで、ギアスサーチに登録しているごひいきチャラの並びが(意図したわけでは無いんですが)なんかウチのSSの全てを現しているようでちょっと笑えますのでよろしかったら見てください♪

こちら
ピンチ脱出♪♪♪
2009年05月16日 (土) | 編集 |
おかげさまで入院せずに済みました
おりこうに安静にしていたせいか、金曜日、「よく頑張りましたね。」と先生に褒められました♪

・・・が、「言っておきますけど無罪放免じゃないですからね!!今後も節制してくださいね!!」

とも言われていますので灰色容疑者UTはしばらく節制します

私はほぼ絶食でしたが(今も消化の良いものしか食べられません)子供らのおかずの差し入れを友達や職場の先生がしてくれました。(四日間も・・・)
怒られるより、こうやって親切にされる方が実はUTにはこたえます。(嬉しいけど)
うえ~ん、ごめんよ。ちゃんと節制するからね!!!

・・・と思いつつも、料理の差し入れをくれる友人も、先生も超料理上手。つい味見したくなって一口づつ食べてしまったのはお医者さんには内緒です(ほんのすこ~しなんですよ)

点滴はちょっと大変でした。
血管が細いので約1週間毎日点滴やって一発で入ったのはたった一回だけ。
さすがに最後の方になると、看護婦さんが言うまでも無く、ちゃんと入ったか失敗だったか感覚で解るようになりました。
毎日ぶすぶすさされるので、このときばかりは「入院だったら点滴の入れ替えだけで済むのにな~。」と思っちゃいましたが、めったに出来ない貴重な?学習をさせていただいたので良しとしましょう。


ブログのほうは騎士団に入ったロロのお礼SSの続きを書こうと思います。続きをそのうち書こうと思っていたのにすっかり忘れていました。

・・・で、同じ文をブログのほうに2話分載せますのでもうよんで下さった方はスルーして下さいね。

その後書き始めたら体調的にばっちりだと思います♪


ヴィレッタ大好き(*_*):様のサイトにうちのSSのイメージ画を書いてくださっていたので強奪して来ました☆(上のは許可をいただきました。下のは今日発見したのでコメント欄に書き逃げてきました)

原作に近いイメージでありながら、うちのSSの雰囲気そのもので驚きました。
とっても嬉しいです♪

vire1_convert_20090516062145.jpg


vire_convert_20090516062025.jpg

読みにきてくださった方々、ありがとうございます!!
拍手コメのお返事は↓から、コメント欄からの方はそちらでお返事させていただきました☆

[続きを読む...]
ピンチ!
2009年05月13日 (水) | 編集 |
GWを乗り切ってからもバタバタ余計な用事を増やしていたせいか、またバッタリいってしまいました

注:余計な用事とは

その1・・・子供が亀を買いたいと言うので一緒に片道5キロの道程をペットショップまでチャリで買いに行く。

その2・・・サーティーワンのイベントで10円の寄付でアイスが食べられる日だったのでその後真ッ反対の道程をちょっと体調悪いかな?と思いつつ子供とチャリで行っって並ぶ。

その3・・・衣類の整理や片付けに数日前から燃えており、十分休んでなかった。

・・・という、人様には余り話しにくい理由でバッタリいったため、友達にも内緒にしていたのですが、たまたまアスパラガスのおすそ分けをしに来てくれたお友達にバレ、次に点滴をガラガラ引っ張って病院内のトイレに移動中バッタリまた違う友達に会ってバレ(←そしてそのまま世間話してしまったUT.だって退屈だったんだもの)、車を待っている間マンションの前で座り込んでいる所(←この間ほんの5分なのに)をまた違う友達が通りかかりバレ、先生の家庭訪問(長女・次女とも)で先生にもバレ(←以前先生経由で顔と名前しか知らない程度の人にも大量バレしたので警戒してる)、結局バレバレになってしまいました
悪い事は出来ないものですね。
全身麻酔をして手術したら1年は無理をしない!!が鉄則らしいのですが、無理ではなく、コレが私の普通なので油断してました。
ブログが週1になってからはちゃんと6時間睡眠をほぼ守っていたから良い生活だと思ってたんですがね~。。。(ちなみに毎日更新の時の睡眠時間は平均3時間。)
それにチャリで往復20キロとかも、もうしてないし。

全く命に別状は無いのでUTに危機感は無いのですが、一応先生には入院を勧められ、辞退してきた身なのでしばらく大人しくしておきます。

おとといは安静とポカリ、お茶以外の断食、毎日点滴に通うの3点を守れば小学生の子供がいるなら・・・という事で見逃していただいた入院ですが、「数値が悪化したらがっちり入院していただきますからね。」と有無を言わさないにっこり笑顔で言われておりますので気をつけておりました。

その甲斐あって次の日は体調が悪いなりにも回復し、数値も「順調ですね。入院はしなくて済みそうですよ。」と言われたとたん、つい出来心で病院内で出あった友達とべらべら立ち話したり、病院を出た後「この横断歩道を渡って反対車線にでてしまえばきっとタクシー代は200円ぐらい安くなる!!」とか思って結構長い歩道を渡ってしまったり、家庭訪問(今年は学校方針により戸口訪問のみ)の間しゃがましてもらおうかと思ったのですがやっぱりかっこ悪いので「大丈夫です~♪」と言って立ち話10分×2(長女・次女)してしまったり洗濯してしまったせいか、食事制限を守っているにもかかわらずまた発熱してしまい、今日は先生に「う~ん、やっぱり入院してがっちり直しましょうかねぇ。」と言われて逃げ帰って来ました

入院は実際ほんと~~~に困るので、とりあえずしばらくPCも止めておきます。くすん。
コメントくださった方がいらしたらごめんなさい。

拍手コメのほう下さった無記名のお二人の方、(もしかしたら一人はリンさん?)次回お返事させていただきますね~
それはもう、がっちりと!!!!
コメントはとても嬉しいです♪

そんなにはかからないと思うけど、入院しないで済む事が確定するまで安静にしておきます
座ってじっとしておくぐらいいいと思ったんだけどねぇ・・・。(退屈で死ぬかもしれない)
皆様のブログにもまた元気になったら報告に行きますね♪
気分的にはけっこう今は元気なので心配要らないです。
あくまで念のための安静(のはず)です。
では・・・。
ただいま・・・。
2009年05月08日 (金) | 編集 |
今回は流石に疲れました。
ヘロヘロです~
早朝から夜まで自分ながらよく働きました~

でも一晩寝たら随分すっきり♪
それもこれも若いからですね!!・・・ということにしておきましょう。(←でもこういうこと言い出すこと自体が年の証拠と薄々気づいている)

義父との同居は体調に問題なければ6月第1週目の土日になりそうです。
そうすると3食糖尿食を作り病院やリハビリの散歩に付き合うことになりそうなので私の時間は,ほぼ無いに等しくなると思います。(バイトは続けますし。)

ちょっとだけですがボケがあるので目を離すと迷子になりそうですし、同じ事を何度も喋っていますので相当手は取られると思います。でもよく考えるともう一人子供が出来たと思えばなんてこと無いのかな~と・・・。
子供が小さい頃はそれはそれは大変でしたが楽しみも多かったです。
すでに亡くなった祖父母の代わりと思って孝行してみます。


病院生活がよほど寂しかったのか随分頼りにしてくれているし、今回3ヶ月ぶりに生家に車で連れて行ってあげたのですが、凄く喜んでました。
UTが作ってあげた糖尿食も美味しいと泣いて喜んでくれました(←涙もろくなっているのですぐ泣きます

ブログのほうは月1ぐらいになりそうですが、こちらでお友達になったサイト様の所はもちろん通わせていただきます!!!

同居と言っても、半同居と言う形になりそうです。
色々な方の意見を参考にした結果、べったりの同居だと共倒れになりそうなので義父にすぐ近くにワンルームを借りてもらって、お昼前から夕方ぐらいまで家に来てもらい、体調がすごく悪い時のみ家に泊まっていってもらう事にしました。

義父はここ数日でかなり回復し、杖を突いて歩けるようになりました。いずれは戻ってまた商売したいようです。体調次第では向こうの家に戻る事もあるかもです。

・・・でも、広島は夏は暑いし、歩けるようになったといってもまだふらふらしてますので秋ぐらいまではかかるでしょうね。
こちらとしてはずっと居て欲しいと思っていますので、気に入ればこのままかもしれません。
介護保険の制度も活用しつつ無理の無い範囲で頑張っていこうと思います。

ロロSSも、もうあまり書くことが出来なくなるのかと思うと逆に無性に書きたくなります。
ただ書きたい話はもう書いてしまったのでネタが無いのが困りモノですが・・。
ちょっとシリアス系も込みにしてみようかな・・・?


それで思い出したのが以前書いたSS.
ロロサイトなのにコーネリア主役の暗い話ですので結局出さずに放置していました。
書いたの3ヶ月ぐらい昔なんじゃないかな?
今後は放置していた暗い系をこっそり載せてブログ維持を図ってみようと思います。
明るい話を楽しみにしてくださってる皆様すみません

リグレットにコーネリアの話が無かったようなので、何となく思っていた事をリグレットっぽくお話にしてみました。

暗いお話OKと言う方だけこちらからどうぞ。

ところでリグレット、ロロ、スザク、ナナリーあたりまではネタバレで読んだのですが、他の方たちはどんな事を思ったのでしょうね。ちょっと気になります。
個人的には扇さんの大後悔・大反省もリグレットで読んでみたかったです。(←やけに幸せそうだけど、ちゃんと反省しているのだろうか?R18玉城との話でも都合のいい時だけゼロの名を呼んでいたけど

ではまた♪

読んでくださる皆様、拍手コメントくださる皆様、ありがとうございます!!
とっても励みになっています♪
6月1週目以降は更にゆっくりペースになると思いますが、ロロの1周期まではせめて続けたいと思っています。

拍手コメントお返事はこちらから♪

[続きを読む...]
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。