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無人島パラダイス その6
2008年08月24日 (日) | 編集 |
昼食をとった後はさすがに疲れたので木陰にシートを引いて少し休むことにした。

「疲れた?兄さん。」

「ああ少し。お前も疲れただろう?よく頑張ったな。」

「頑張ったのは兄さんだよ。僕なら大丈夫。兄さんと一緒だったから。」




無人島の木陰は風が通ると意外に涼しくて気持ちいい。
人工の音は何一つ聞こえず、鳥のさえずる声、木々の揺れる音だけが優しく響く。

そういえばこういところで過ごしたことって僕には無い。

遠い記憶の中の僕は薄汚れた子供だった。
何故だか親の記憶も無い。

お腹がすいて、でも食べるものも無くて、ああ僕死ぬんだな・・・と思ったとき、神様のようにきれいな、長い金の髪の少年が僕に言った。

「ねぇ、生きたい?」って。

生きるってことがどういうことかわからなかったけど、死にたくは無かった。

例えば親・・・。僕の記憶に親はいなかったけど、もしかしたら生きていて僕を探しているかもしれない。だから今死んだら会えなくなってしまう。

例えば兄弟。
もしかしたら一人ぐらいは僕にも兄弟がいて、優しくしてくれるかもしれない。

例えば友達。
僕に友達なんていなかったが、もし出来たらどんなに素敵だろう。

まだ僕には何も無い。こんなところで死ぬのは嫌だった。

「君には生きる理由があるんだね。」

優しく問いかけるその言葉に僕はうなずいた。そして僕はその人の道具となった。



気がついたら砂漠のような人界から離れた場所の要塞のようなコンクリートの箱の中にいた。
そこで僕は育った。
足首には常に鎖。
ギアスの力を持つ僕を大人たちは恐れた。

自室はかなり小さい頃から与えられたが、窓は無かった。
夜になると部屋は外から施錠された。
残るのは深い闇。

まだ小さかった僕は施錠のガチャンという音を聞くたび、いつも泣きたい気分になった。
僕は道具なのだ。
必要な時にだけ使われ、使い終わったら引き出しの中にしまわれて鍵をかけられるただの道具。

任務のたびにギアスを使った。
胸が痛くて苦しかった。
でもその痛みが何なのか、僕の体がどうなっているのか教えてくれる大人は居なかった。
道具にそんなことを知る必要は無いのだろう。

僕は「生きたい」とあの人に言った。

でも実際は心臓が動いているだけで、生きているとはいえなかった。
任務のことだけ考えろ。
厳しくそう教育された。

少し大きくなると様々の特権が与えられ、エリートとして扱われた。
思想教育が済んだ僕にもう鎖はつけられなかった。部屋も豪華になった。
任務は次々と成功し、大人達の僕を見る目は変わった。
自分でもかなり優秀だと思っていた。
でも、人間らしい心はもはやどこにも無かった。

誰を殺しても心にはさざなみ一つ立たなかった。
ギアスを持たない弱い人間を見下し、内心では冷たくあざ笑っていた。
僕は強くなった。
それでもやっぱりまだ道具のままだった。


今は・・・今はどうなんだろう。

兄さんのそばに常に居るのは任務。
そう、任務のはずだった。

普通任務には情など一切挟まない。
そんな事をしたら任務は遂行できない。

だから対象者に情をかけたことなど無かった。
そうしなければ唯一の居場所さえ無くしてしまうし、皇帝やV.Vの命令に従うことだけが正義なのだと幼い頃より教えられていた。

忠実な道具である僕は信頼されて、今回の難しい仕事に抜擢された。
そして今ここにいる。

兄さんの記憶が戻るのがいつなのか僕にはわからない。
明日かもしれないし、ずっと後かもしれない。

記憶が戻ったら僕は兄さんを殺すのだろうか。
殺せるのだろうか。

任務に忠実であるならゼロを殺さねばならない。記憶の戻った兄さんは今の兄さんとは全く別人。

別の記憶に基づいて判断する『ゼロ』になるのだから、かばったところで何の意味もない。
かばってみたところで、多分僕は彼に殺される。

記憶を書き換えられた兄さんは、何より誰より僕を大切にしてくれるけど、騙され続けたと知ったらきっとこの人は僕を許しはしない。
ゼロが非情な男だったということはブリタニアでは広く知られているが、僕だけが知っている情報もある。
彼はナナリーを心から愛していた。
偽者の僕に底のない愛情をくれるぐらい。

冷酷とされる彼の心は実は優しい。そして悲しいほど情深く、純粋な人だ。
全てが嘘だったなんて事が知れたらその分恨みは深いだろう。

それなのに僕は今日も兄弟ごっこをする。
僕を撫でるその手に銃を持ち、憎しみのこもった瞳で僕を見る日が来るかもしれないのに。

わかっていても手放せない。

その日一日きりの幸せを手に入れるためにすら命をかけてもかまわない。
唯一僕を人として扱ってくれ、愛情をくれたこの偽者の兄だけが僕にとっての神域なのだ。




「おい、ロロ・・・。ロロ・・・っ!!」

気がつくと兄さんが心配そうに見下ろしていた。
知らないうちに眠ってしまっていたようだ。
しかもいつのまにか兄さんに膝枕されている。

「・・・悲しい夢、見てたのか?」

言われて初めて自分が涙を流していたことに気がつく。

道具は涙を流すだろうか?

道具は笑うだろうか?

道具は誰かを大切に思うだろうか?


「・・・悲しい夢だったんだ。僕が本当は兄さんの弟じゃないって夢。怖い夢だった。」

そう、夢だったら良かったのに。

「バカな事を・・・。」

兄さんの瞳が切なげに揺れる。なんて綺麗な瞳。
偽者の僕を映してなお澄んで、宝石のよう。

その口から漏れるため息すら僕を魅了して止まない。

「お前は俺の弟だ。母さんのお腹が膨らんで、俺はお前が生まれるのを毎日楽しみにしていた。
お前が生まれるところを見たいってわがままを言って病院でこの目でお前が生まれるところを見た。
生まれたてのお前はサルみたいなクチャクチャの顔でハゲだったから凄くがっかりしたけど、目を開けたら俺と同じ色の瞳だった。懐かしいなあ・・・。」

兄さんがその宝石の瞳を細める。



・・・・・・・サルみたいなクチャクチャの顔でハゲでしたか僕は・・・。

出た涙が引っ込んだよ、兄さん。

この記憶だけ返却していい?ナナリー・・・・・。



「サルみたいなうえに、虫みたいにうごめいていて、ビックリしたけど、見慣れると可愛くって可愛くって。美人は三日で飽きるけど、ブスは・・・ってやつかな、見てても全然飽きなかったなあ。」

そう言って清々しく空を仰ぐ。

サルの次は虫ですか、兄さん・・・。
そのうえ『美人は三日で飽きるけど、ブスは・・・。』ってひどいよ兄さん。

そんなんだから18歳にもなって彼女のひとりも出来ないんだよ。(出来たら邪魔するけど)




「新生児の頃は抱くと首がぐらぐらで揺らすとがっくんがっくんするんだ。母さんに見つかってすぐ取り上げられたけど、隠れて何回も抱いたっけ。
いや、ちゃんと育って良かったよ。あ~、本当に良かった!!」


兄さん・・・・・・・・・・・・・もはや言葉も無いよ。

僕もたいがい不幸だけど、ナナリーはナナリーでピンチな日々を過ごしていたんだね。ほんのちょっとだけ同情するよ。




「母さんがの命令で、オムツは俺が換えてやってやってたんだぞ。感謝しろ!
一度真っ赤なウンコが出たことがあって慌てて医者にすっとんでいったら『昨日トマトの離乳食を食べませんでしたか?』って笑われたっけ。あははは。」


・・・・・・そういう思い出もナナリーに返却したい。




「もう十年以上前のことなのに、昨日のことみたいだ。
な、お前は俺の弟だろう?」


「・・・・・・うん。そうだね。」


嬉しそうに語る兄さんにそういうしかなかった。



「お前が生まれてきてくれて俺は嬉しいよ。
お前だけはずっと俺のそばに居てくれた。
どんな時もお前だけは。だから俺は父さんや母さんを失っても生きていけたんだ。」


兄さん・・・。

父を、母を、そしてあなたは知らないだろうけど、唯一肉親と呼べる妹さえ失ってるんだよ。
ごめんね。ごめんね。でも、僕がナナリーのかわりにずっとそばにいるから。
ナナリーよりも兄さんを愛していくから。
楽しい時だけじゃなくて、苦しい時も。兄さんのそばから誰も居なくなっても。世界中からいらないって言われても。


ナナリーを失ってもあなたは生きていける。僕がいれば生きていける。幸せに。

家では僕は掃除や洗濯をちゃんと分担しているし、料理の手伝いや買い物だってする。
そんな事、ナナリーには出来ない。

僕と兄さんはよく映画に行く。
「楽しかったね♪」って感想をいいながら笑いあう。

目の見えないナナリーに兄さんを楽しい気分にはさせられない。


兄さんは今誰一人味方のいない状況にいる。
ただ一人の親、そして親友にさえ裏切られ、だれも兄さんを想わない。

僕も敵側の人間には違いないが、最大限兄さんを守っている。
兄さんにとって不利と思われる極端な思考に偏った監視人は理由をつけて殺しておいた。
僕は僕なりのやり方であなたを守ってみせるよ。
味方を何人殺したって守ってみせる。

兄さんには僕の方がふさわしい。あんな妹、思い出してはいけない。
僕だけを見て。僕のことだけ考えて。
きっと僕は兄さんの本物の家族になってみせる。
どんな努力でもする。偽物の思い出話に心が引き絞られても笑ってみせる。



だからゼロにならないで。



                                   その7に続く

このお話にひづき様が1P漫画をつけてくださいました♪♪♪
すっごく嬉しくて飛び上がっちゃいました

うちは地味~~~なブログサイトですが、やっぱり絵があると華やかでウキウキしますね♪♪

無題mannga2


ありがとうございました!!!!!!!









今回はちょっとシリアス気味でしょうか?
全部バタバタしてるのもアレなので、ちょっと静かめにしてみました。
すみません

無人島もあと2~3回だと思います。もうしばらくお付き合いくださいね♪

ついでに拍手のお礼ページを作成してみましたが、うまくUPさせるため格闘中です。
文自体は、ロロの最後の別バージョンで以前書いたものですが、さすがにロロ、ルル、その後と書きすぎたのでしつこいかな?と思って出さなかったのです。でも折角書いたのでお礼文として使ってみようと思います。さて、うまくUPできるのでしょうか~

インスタントに飽きて結局こっそり夕食作っちゃいました旦那が出張に行ったので。
その後頭をひねりながら拍手お礼文UPを何とかしてみました。
・・・でも、自信ないです。
出来てなかったらどなたか親切な方、コメントからでも教えてください


出来てなかったようです
今日中には無理そうな・・・。どこがいけないんだろう?
マニュアル通りにやってるつもりなんだけど・・・

明日お礼文にするはずだったのを記事としてUPしてもいいのかも知れないけど、何だか悔しいです


貧血、だいぶマシになってきました。
昨日、今日と旦那が心配してちょこっとづつ昼間に帰って来ました。
そのたび慌ててますけど、やっぱり嬉しいな♪
早く全快しなくっちゃ!!!

・・・といいつつ、いない間に好きなサイトでの更新がけっこうあるので自分のはほったらかしてついぐるぐる回っちゃってます♪



ご心配おかけしているにもかかわらず、こんなに楽しく過ごしちゃってすみません



拍手コメントありがとうございました!!
返信はこちらから
美月みなみ様

大丈夫です♪
今は貧血以外はこれといって困ってませんよ~☆
ただ、私の性格を知っている周り中から

「絶対安静に!!!」

・・・と言われているのでおとなし~くしてます
コソコソ出かけてもこの近所では絶対誰かに出会ってばれて怒られますので心配かけないよう今週は引きこもっています
ご心配おかけしました~!!!



ウサギのチャッピー様

何かあったのではと思っていました?いい勘してらっしゃいます!!!!!
私もビックリです!!
出血1リットルはさすがにきつかったですね~
今度からは変な出血があったら絶対すぐ病院に行かなくっちゃ!

かえってきてナナリーが生き返っていてビックリでした。最初は偽物?と思いましたが、咲世子さんが居たので本物なんでしょうね。
うわあん、せっかく退院してきて、ナナリーが敵になっててがっくりきました。
ロロ退場から後はもう何があっても大丈夫だと思っていたのに、ギアス恐るべし!!!



浅田 リン様

長文大歓迎です♪
リンさんはもはや存在自体が面白いので読むのはいつも楽しいです♪♪
もうすぐギアスが終わりますが、公約(?)楽しみに待ってますからね☆
絶対、絶対書いて下さいね
それを楽しみにギアスの終了に耐えます!!!
私はギアス以外はまってるアニメも漫画も無いので終了はロロ退場の次ぐらいにきついですね。
展開的に?だったり、グサッときたりするものの、やっぱりR2好きなんでしょうね。

誤字脱字?私のほうがひどいですよ~
気にしない、気にしない

コメント欄の方もそちらからお返事しています♪いつも楽しいお話ありがとうございます☆
コメント
この記事へのコメント
いいんですか? 大丈夫??
ああ!!
大丈夫なんですか!?
こんなに書いてしまって。
更新とかもゆっくりしてからにしてくださいね。

今回 「ナナリー危機一髪」 でしたね。
ルルのために命の危機があぅたなんて。

そーなんです!!
さよちゃん生きてたんですよ!!
ナナちゃんも!!
なのに・・・ルル不憫すぎる・・・・。
こーなったらロロも・・・・
とか思うんですが、さすがんい死亡決定ですよね・・・
だってルルが見とってるんですから。
ギアス何かショックな事がおこらない限りは書きたいです。
なんかルル死亡とかなると本気で1ヶ月位抜け殻になりそうです。
ありえなーい!!
そう思うのですが、相手はギアスですから。
ルルパパあっさり退場させたギアスですから。
ああ・・・これから先はどーか誰も死にませんように!!
祈ってます。
ああ・・・フリスクはあのフリスクです。
すーすーする食べ物のフリスク。
ちっちゃいタブレットのフリスクですよー。
2008/09/10(Wed) 18:52 | URL  | 浅田 リン #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008/09/11(Thu) 00:07 |   |  #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2008/09/11(Thu) 09:37 |   |  #[ 編集]
浅田 リン 様
大丈夫ですよ~♪
・・・というか、他にすることもなくて、コレだけが楽しみです。(サイトめぐりや二コ動含め)
テレビは元々あんまり見ないし。

さよちゃん、ななちゃん、生きてましたね~!!
しかも最悪な生き残り方でしたねv-406
ついこないだ最愛のマリアンヌ様に裏切られて傷もいえないうちにコレですか!!
でも、コレ、ロロでやられる恐れもあったのかと思うとぞーっっとします。
でも、ロロだけはどんな事があっても裏切らないかな?
兄さんの綺麗な面も汚い面もロロは大好きだし、どんなに非道な事をやっても、言葉通りずっと側に居ました。
弟の鏡です。
さらに、聞いてはもらえないのに「駄目だよ兄さん。」とちゃんといさめようとしている所も良かった・・・。スザクも良いけど、やっぱり、ロロに側に居て欲しかった。
居るだけで癒される人って、中々居なかったのに・・・。
ルル、死亡説も出回っていますね。
くうう~~!!監督のバカっv-406

フリスクやっぱりアレですか・・・。なんかの略語かと思ったけれど、ずばりなんですね.
では、使用はしませんが、食べる時はリン様の事を思い出しながらありがたくいただきます♪
2008/09/11(Thu) 10:47 | URL  | UT #L1ch7n1I[ 編集]
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