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だからきっと
2008年09月29日 (月) | 編集 |
群集心理は恐ろしい。

悪逆皇帝ルルーシュに対する恨みはすさまじく、沿道からは人々が押し寄せてきた。
捕虜を解放しようとする人々だけではない。

警護役がいなくなった皇帝専用車によじ登り、何十本何百本もの腕が伸ばされる。
その光景は地獄でもがく亡者のようで、常軌を逸している。

人々は顔に狂気を浮かび上がらせて叫ぶ。

「悪逆皇帝を八つ裂きにしろ!!!」と。


もはや動かなくなったルルーシュはわずかな笑みを浮かべていた。
血の気の無い死に顔。白い皇帝服は血でべったりと汚れていた。

でも満足そうな笑みだった。

計画は成った。

この世の憎しみを全て引き受けて消える。
そして憎しみの連鎖を断ち切る。

命を捧げ、その後はこの体もきっと引きちぎられて犬の餌にでもなるのだろう。
それでも良いと、ルルーシュはスザクに言った。

誇り高いルルーシュ。
でも、誇りより世界や人々への愛を取った。

残される人々の幸せな明日を願った。



ナナリーが必死でルルーシュを抱きかかえる。地獄から伸ばされる手から守るように。

でもそんなか弱い、足の悪い少女の抵抗など何の意味もなかった。

「やめて!やめて!!お兄様に触らないで!!!」

突き飛ばされ、髪をつかまれ、それでもルルーシュを守ろうと泣き叫ぶ皇女から悪逆皇帝のなきがらを男たちが奪い取る。

一人の男がルルーシュのつややかな黒髪をわし掴みにし、高々と掲げる。

「この惨めな野郎が、悪逆皇帝だ!!これから切り刻んでやる!!!」

「いいぞ!!やっちまえ!!!」

「耳をそげ!腕をちぎれ!!!」

処刑台から助け出された藤堂や扇が駆け寄ろうとするが、群集の壁が立ちはだかってどうする事もできない。

そして、もしゼロの・・・ルルーシュの側に行けたとして、どうして止める事が出来よう。
そんな事をしたら、彼が命をかけて作ったこの舞台が、芝居が台無しになる。

狂気の集団と化した民衆はもはや止めようも無かった。

がたがたと震えながらその足元に取りすがる小さな皇女を蹴飛ばして、男がナイフをひらめかせる。

その時だった。




「私はゼロ。力なきものよ、我を求めよ。力あるものよ、我を恐れよ!!」


圧倒的な威圧感を持った声だった。

独特の機械音の混じる、いつものゼロの声。



その声に、狂乱していた群集が静まり返る。


ついさっきまで悪逆皇帝が座っていた皇帝の玉座から、ゼロが立ち上がる。

「道を開けよ。」

その重厚な声に、男たちはルルーシュを掴んだまま道を空けた。

ゼロはひらりと飛び降りると男から皇帝を受け取った。

そして、静かに抱きとめ、その瞳を閉じさせた。


「え?」

「どうして?」

「ゼロが悪逆皇帝を?」


そんな声が沿道からささやかれる。



「私はゼロ。」



再びその声が響き渡る。



「力なきものに対する陵辱は私が許さない。彼はもうただの骸となった。再び我らを脅かす事も無い。
・・・・・・・ただの、力無き者だ。」


静まり返った群集がゼロを見上げる。



「ゼロは。私は、正義を行うために死地から再び蘇った。私は諸君に問いたい。
死者を辱めるのが正義か。少女である皇女を傷つけるのが正義か。

それが諸君の本当に望む正義か。胸に手を当てて考えて欲しい。」



群集から狂気の色が消えていく。

皇帝専用車両から人波が引いていく。



「そうだよな。俺達は正義の・・・。」

そんな声が人々の間から囁かれる。



正義も平和も実はこんなにもろい。
皇帝の残虐さをなじったその人々が、きっかけ一つで死肉を求める野獣の群れと化す。



「・・・人の心は難しいね。皆明日の幸せを望んでいるはずなのに・・・。」


抱き取ったルルーシュがあまりに軽くてスザクは仮面の下で涙を流した。

気丈に振舞っていたけれど、怖くなかったはずが無い。

世界から憎まれて、その心臓を貫かれる日を彼は指折り待っていたのだ。

腕はガリガリに痩せて、骨を掴んでいるかのようだった。

元々小食の彼だったけど、きっと想像以上に食べていなかったに違いない。
だけど、胸を張り、最後まで世界を見据え、白い花が散っていくような優しい微笑を見せて死んでいった。

だから、今度は自分が・・・。








「ゼロ!!」

拘束を解かれたカレンが駆け寄る。

ゼロを見上げ、震えが止まらない小さな皇女を助け、その胸に抱く。

藤堂が皇帝のなきがらを受け取って肩に担ぎ、車の中に消えていった。

群集はその姿を声も無く見送った。










「あそこに居たの、ゼロだったね・・・。」



カレンがぽつりと言う。


ルルーシュの遺体を守ったゼロ。

彼の言葉。

群衆を一瞬で静めるカリスマ性。

ゼロをよく知るカレンから見てもゼロその人にしか見えなかった。

あれは本物のゼロだと、そう錯覚するほどの迫真の演技だった。


もちろんカレンは今のゼロの正体を知っている。
藤堂も。決して口にはしないが。



スザクはルルーシュの幼馴染で親友だったという。
きっと遺体を取り戻したい一心だったのだろう。

それとも、明日を作る決意の現われか。



ここは玉城の経営するバー。

そこは黒の騎士団幹部のたまり場になっていた。

「だから言ったろう!ゼロはやっぱり裏切ってなかったんだよ!皇帝ルルーシュが俺達をかく乱しようとしてギアスを使って摩り替わってただけなんだよ!!」

そんなわけあるか、と言おうとしてカレンは口をつぐんだ。

皆希望が欲しいのだ。
多分玉城だって本当は今のゼロがゼロじゃないとわかっている。

でも、あのゼロが本物だと信じていないと苦しくて仕方がないのだ。

ゼロは決して正体を見せないように用心していたから、ゼロとかかわりの薄かったものはほとんど違和感を感じていないようだ。

自分達のゼロが、あの、バベルタワーの時のように死地から蘇ってきたのだと素直に信じている。

幹部以外で少し接触のある者は・・・最近ゼロがC.Cのかわりに猫を飼いだしたと騒いでいた。

C.Cはもういない。

だから今ではゼロの私室に入れるのはカレンとナナリー皇女、そしてその黒猫ぐらいだ。

ゼロは何故か毎回その猫に噛まれ、「痛てっ!」なんてゼロらしからぬ悲鳴を上げている。

・・・・・・と噂になっているようだが、ゼロが偽物とまでは考えていないようだ。




ルルーシュの遺体は、スザクの計らいでとある島に密かに葬られた。
名を刻む事は出来なかったけど・・・と言うスザクはそれほど悲しそうでもなく、微笑すら浮かべていた。

多分、そこはルルーシュの弟が眠っているという島なのだろう。
ルルーシュを最後まで信じてかばった弟の眠る聖地。
それなら寂しい思いはきっとしない。

「今頃二人で海でも眺めているかな?」

スザクは少しおどけて、でも遠い目をして言った。



あの日。
ルルーシュとたもとを分かつ事になった日。

黒の騎士団全てを敵に回して、ルルーシュを守ったブリタニアの少年がいた。

ルルーシュと同じ色の瞳。

小柄な体。


けっして他の団員と打ち解ける事は無かったが、ゼロの前でだけ嬉しそうにニコニコと笑っていたそうだ。

後でスザクからあれは弟だったと聞いた。まあ、兄弟が多いと聞いていたから、別に驚いたりはしなかったけど。

あの少年。

命をかけねばルルーシュを助け出せない事ぐらい分かっていたろう。
周りは全て敵。

何度も投降の通信を送った。ゼロを引き渡せば助けてやると。
それをブッツりと切って、彼は飛び続け、その後彼の姿を見たものは誰もいない。
あの少年の隣でルルーシュは今は眠っているのだ。







ルルーシュ・・・。

心の中でつぶやいてみる。

恋とは少し違ったかもしれないけれど、初めてキスした相手だった。


キス、したいと思った相手だった。


あの時の冷たい唇を思い出すことがある。


あの冷たい唇で人々に優しい嘘をつき続け、最後まで悪として散っていった人。


あなたは幸せだった?

人々に明日をくれたあなたの人生は幸せだった?



唇はもう閉ざされ、答えは決して返らない。




でもね、私、あなたの幸せそうな顔ばかり浮かぶの。

生徒会で過ごした、ルルーシュとしてのあなたの顔。

そして黒の騎士団内で、誰もいないときに仮面をとって見せてくれた素顔。

いつも笑ってた。







だからきっと・・・・・・・。




                                  End




ルルーシュは幸せだった。幸せだった幸せだった。だから・・・・・・と呪文を自分にかけています。
でも、寂しい・・・。
帰った後少しでも寝ておこうかと思ったけれど、結局眠れそうに無かったので昨日の下書きを仕上げちゃいました



リンクのお知らせです。


万華鏡世界の紅柳美咲様


ロロサイトではありませんが、ロロを愛してくださるサイト様です♪こちらのギアス考察はするどく載るといつもUTは最低三回は繰り返して読んでいます♪
表現力が豊かで長文ですので本当に読み応えがあります。
ぜひ遊びに行ってみてください♪
本編終了という微妙な時期で申し訳なかったのですが、ラブコールを送ってみたら、了承していただけました。嬉しいです。



コメントありがとうございました。返信はこちら




ウサギのチャッピー様

こんにちは。チャッピーさまのサイトの優しさのあるSSで随分癒されました。
またSS書いてくださるようになってとても嬉しいです。
ルルーシュもロロもほんとよく頑張りましたよね。
平和を維持していく事は歴史的に見ても凄く難しい事だけど、出来ないと・・・誰もやったことが無いから・・・と諦める事も無い。
ルルーシュのとった方法が最良だったかどうかは、後に残された人たちにかかっていると思う。
とにかく、より良い世界に繋がる扉をルルーシュがこじ開けた事だけは間違いありません。
(私的に)恨み重なる扇には特に頑張ってもらわないと・・・。

ヴィレッタの子供は本当、ヴィレッタの遺伝子が98パーセントを占めてるといいと思います。
あ、よく考えたらコーネリアとギルフォードの子供だったら黒髪、紫の瞳(隔世遺伝)のルルそっくりの子供が生まれてもおかしくないかも・・・。


sa●●i 様(リンクしていない方は念のため伏せさせていただいています)、RUI 様、めかりん様、浅田 リン様ありがとうございました。
コメント欄からお返事しますね。

今回の衝撃と悲しみも皆さんと共有できたお陰で随分救われました。
本当にありがとうございます!!
コメント
この記事へのコメント
うるうる
ブログがサーバーエラー起こして困りました。
何が一番困ったかって?
自分の更新よりもここにこれない事にものすごーく困りました!!
知り合いにも「ロロクラブに行けないのが一番困る」とメールした位困った。
ブログにリンクがあるからと言って油断してはいけない。
お気に入り登録しとくべきでした。

このエラーの間に私のサイトのギアスページでルルを回転走りさせてみました!!
アイコン回転走り。
すごくかわゆいロロアイコン見つけたので貼ってしまいました。
沢山貼りまくりました。
力作です(私が作ったわけじゃないけど。借りてきた所のリンク貼ってあります)
あと、INDEXのサーチ同盟のなかに、面白い同盟とかはってみました(ロロ雑巾とかロロ同盟とか。すごく愛が溢れてますね)
こんな事してギアスから現実逃避してました。

やっとここに来れて、もうこれ読んで涙が出てきました。
うう・・・そーだよね。
そーだよね。
感動しました。
ロロと一緒に眠らせてあげたいです。
この小説について何語っても私が語ると安っぽいので何とも表現しようのない感想は胸の中です。
なんか書くとまた泣きそうです。
月並みな言い方で申し訳ないですが、とにかく感動しました。


2008/09/30(Tue) 23:46 | URL  | 浅田 リン #-[ 編集]
浅田 リン 様
おはようございます。

ギアスページでルルを回転走りさせてみました!! ←早速見てきました♪本当に回転している!!!どうやって作るんでしょうね?作れたら楽しそう~!
サーチ同盟、私も登録してみたかったのですが、何だか難しそう?と諦めました。(根性無しですv-356)でも、リンさんのサイトを探す時だけ頑張りましたよ♪


サーバーエラー、うちも時々あります。
旦那もいない。子供も学校。さあ更新するぞ。皆のサイトも画像を大きくして見れるぞ♪(子供が部屋で遊んでいるときなどは画面を文字が読めるギリギリサイズにしてダミー画面の上に載せています。近寄ってきたら一瞬で消すv-356)・・・と思ったら自分のブログに入れない・・・・・v-12
悲しいですよねv-356
でも、うちのブログをそんなに気にしてくださっていてとっても嬉しかったです♪
私もりんさんのブログはお気に入り登録しています。

SS読んで下さってありがとうございます。
敗れた独裁者の末路は悲惨な場合が多いけれど、ルルーシュには安らかな眠りについてほしいです。
あれだけの事をしたのですから地獄行きでも仕方ないかもしれないけれど、それはどうしても嫌です。
彼が望んだのは人として当たり前の小さな幸せだったはずなのに。
せめてロロと穏やかに眠れるよう、祈りを込めて書きました。



2008/10/01(Wed) 05:52 | URL  | UT #L1ch7n1I[ 編集]
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2008/10/01(Wed) 16:37 |   |  #[ 編集]
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