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兄さんの誕生日おまけSS・お礼文より移動
1970年01月01日 (木) | 編集 |
神様の許可が下り、僕らは双子として生まれ変わった。

・・・と思ったら目も開かないうちに捨てられた。
コンチクショー!!
どんな親だよ。

神様も酷すぎる。

確かに僕らは足りないものの多い人生を希望した。
しかし人生の最初からコレか。

孤児院のベビーベットで兄さんと共にふてくされていたら、周りがざわざわしだし、優しい手が僕らを抱き上げた。

まだ視界のはっきりしない目を見開いてよく見ると、アッシュブロンドに澄んだ湖のような青い目をした美しい女性の顔が見えた。

「ナ、ナナリー!!」

兄さんが赤ん坊語で叫んだ。

あ、本当だ。

成長してスッと背も高くなり、大人っぽくなってはいるが確かにナナリーだ。
歩けるようになったんだね。良かったね。

髪を高く結い上げ、上品な皇女服を着たナナリーは、僕らを抱き上げ、何とそのまま政庁に連れて帰った。


どうやら僕らはナナリー皇女に引き取られ、育てられる事になったようだ。

たまたま僕らの孤児院に慰問に来た彼女はたまたま紫炎の瞳の僕らを見つけ、そこに亡き兄の面影を見たのかもしれない。

兄さんを抱き上げ、抱きしめては

「なんてお兄様に似ているのかしら。きっと神様が私達をお引き合わせになったのね。」

と、涙を浮べて言っている。

・・・じゃあ、僕は何で引き取られたのかな?
おまけなのかな・・・・・・。

と、ちょっと気を悪くしていると、ナナリーが今度は僕を抱き上げた。
至近距離で見るナナリーはさすが兄さんの妹だけあってドキドキするほどの美しさだった。

「懐かしいわ・・・。」

彼女は僕を見つめてホロリと涙した。

女の涙は武器というが、確かにそうかもしれない。
潤んだ瞳に真珠の涙を浮かべた彼女は天界の天使たちより美しかった。

「お父様になんてそっくり・・・。」


おい、ちょっと待て。
何で僕があのおっさんそっくりなんだよ。
こいつめ・・・僕が大きくなったら100回殺す・・・。


ベットに戻された僕に兄さんがそっと囁く。

「そんなに落ち込むな。信じられないだろうが、シャルルは子供の頃本当に可愛かったんだ。
昔の肖像画を見て俺は驚きのあまりよろめいて3000万の壷を割ってしまったほどだ。」


・・・・・・そう言えばV.Vとシャルルは双子の兄弟だったっけ。
そう考えれば納得は出来る。
つまりあのまま生きていれば僕や兄さんもいずれは・・・いや、やめよう。変な想像は。


そうこうしていると、ナナリーの部屋にゼロが入ってきた。

ゼロはすばやく部屋のロックをかけると仮面を取った。
現れた顔はおなじみのもの。クルルギスザクだ。

「やあ、ナナリー。ルルーシュにそっくりの赤ん坊を拾ったって聞いたけど?」

「ええ。本当に可愛いのよ。見てくださいな。」


その様子はなんとなくラブラブの新婚の夫婦のようで、兄さんが二人を見て眼を吊り上げた。

「ス・・スザク!!俺が死んでまだ5年なのに何早速ナナリーとラブラブになっているんだ!!!
お前、生涯ゼロとして生きると約束したじゃないか!!!
せめて結婚はナナリーが大学院を出るまで待ってくれ!!手を握るのも見詰め合うのも結婚式がすんでからだろう!!順番が違う!!!」

と赤ん坊語でほぎゃほぎゃ言っていたが二人に通じるわけも無く、うるさかったのかスザクさんが兄さんを抱き上げた。

「泣いてるよ、ナナリー。オムツを代えてあげたら?」


ぎゃあああ。なんて事を!!!と口をパクパクさせて声にならない声を兄さんが上げていると

「ええ~っと、お口ぱくぱくしてるから、ミルクじゃないかしら?」

と言ってナナリーが粉ミルクを調合しだした。

兄さんもこんな所でおむつを変えられてはたまらないと思ったのかぴたっと文句を言うのをやめた。

「ほ~ら、やっぱりお腹がすいてたのね♪」

抱き上げられて渋々ミルクを飲む兄さんって何か可愛い。

と思っていると、僕の視線に気づいた兄さんにキッと睨まれた。


そのまま僕らはベットに寝かされ、次に気がついたときは1歳の誕生日になっていた。
その次は二歳、更に次は3歳、4歳、5歳の誕生日。

どうやら誕生日の日だけ前世の記憶が戻るようだ。

僕らはまだ子供なので外に出て行く事はそれほどないけれど、ニュースとかで世の中が良くなっていってる様子を知ることが出来た。

それから、僕らが幸せに育っていっているらしい事も知ることが出来た。

ナナリーはますます美しく女らしくなっていて、いつの間にかゼロと結婚していた。

頼まれて仕方なくとはいえ、自分の兄を殺したスザクさんをそこまで好きになれると言うのは不思議な気もしたが、シャーリーさんがお父さんを殺した兄さんの事をそれでも大好きだったように・・・・・・シャーリーさんを殺した僕の事をそれでも兄さんが弟と認めてくれたように・・・・・・ナナリーもきっとスザクさんを許したのだろう。

いや、ナナリーも兄さんを殺そうとしたことがあるから、スザクさんの行為が深い信頼と友情のためであった事を誰よりも知っているのかもしれない。

兄さんももう二人の事は諦めたのか密かに祝福の言葉を贈っていた。
・・・が、ナナリーに筋トレを勧めるスザクさんを睨みつけるのは忘れていなかった。

あの事件さえなかったらおてんばに育っただろうと兄さんがナナリーを評して言っていたが、今は快活なうえ、筋トレの成果かあのコーネリア皇女と腕相撲して勝っていた。
・・・さすがマリアンヌ様の娘だ。恐ろしい・・・。

兄さんは5歳にして6ヶ国語を操り、チェスにかけては右に出るものの無い天才児らしい。
ナナリーの側近を片っ端からやりこめているという。

僕は天国で来世に望んだとおり毎日調理場に行っては料理を習い、暇さえあればちくちくと何かを縫ったり編んだりして料理・裁縫の得意な男となるため日々励んでいるらしい。
良かった。暗殺に励んでなくて。

さあ、今度の人生はどんなものとなるのだろう。

こんどこそ兄さんとこの手を血で濡らす事の無い人生を歩みたい。
きっとそうなるよね。

兄さんがいて、僕がいて、ナナリーがいて、スザクさんがいる。
そうして皆で笑ってる。

足りないところは皆で補えばいい。

悲しい時は慰めてもらえばいい。



どうかこの優しい世界が続きますように。






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