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2008年09月18日 (木) | 編集 |
めったなことでは怒らない兄さんを怒らせてしまった。

いや、めったにどころか、兄さんが怒ったところをはじめて見た。

たかがオカルト映画。
そんなに怒らなくてもと思ったけど、僕の手を振り払って自室に帰ってしまった兄さんはそれっきりもう姿を現さなかった。


別に後悔しているわけじゃない。僕が兄さんのそばにいたいのなら、機情への情報操作はどうしても必要。
当たり前のような兄弟関係は、監視の目がある限り許されない。
欺かなければ。
そうしなければ僕は、ただ一人の大切な大切な・・・
命より大切な兄さんを失ってしまう。
だから兄さんを怒らせることになっても仕方ない。
分かっているのに!



それなのに、兄さんが自室に去ってく時の情景が何度も頭に浮かんできて眠ることが出来なかった。



記憶・・・まだ戻ってないよね。
でも戻ったらあんなふうに怒ってここから出て行こうとするのかな?
必死につかむ僕の手をあんなふうに振り払って行くんだね。

もう二度と僕に笑いかけてくれないのかな。
考えただけで泣けてくる。

僕の部屋には監視カメラがないから別に盛大に泣いてもいいんだけど、そうすることも出来なくてベットの中、布団にくるまって声を押し殺して泣いた。



その時だった。

「ロロ・・・。」

さぐるような小さな声が部屋のドアの外から聞こえた。


え?兄さん?

壁にかけた電子時計を見やるともう夜中の2時を過ぎている。
こんな時間にいったいなんだろう。

いぶかりながらドアを開けると兄さんが枕を持って立っていた。

「えっと・・・その・・・、お前が眠れないんじゃないかと思って・・・・。」


一瞬何がなんだか分からず、目をぱちくりさせる。

兄さんは何だか恥ずかしそうに目を泳がせている。



・・・・・・・・・・・・・・・・ようするに、怖いんだね兄さん。夜にあんなDVDを見たから。

思わずぷっと吹き出すとじろりと睨まれた。ごめん、ごめん、普段の兄さんからは想像できない可愛さだったのでこらえることが出来なかった。

この兄さんがゼロだったなんて絶対なんかの間違いだ。

そうだ、間違いって可能性もないわけじゃないよね。

黒の騎士団にいたことは事実なのだろうけれど、うっかり間違えられてつかまったとか、うっかり本物のゼロをかばってとらわれたとか。
この兄さんは普段はしっかり者だけれど時々信じられないぐらい抜けてるときがある。

ああ、そうだったらどんなにいいか!

別に僕は兄さんが稀代の天才でなくてもいい。

ましてやゼロでなんてなくていい。

ただの、普通の兄さんでいい。

そんなことを考えていると。


「・・・だめか?ロロ・・・。」

とすがるように兄さんがつぶやいた。

えっと・・・。僕は兄さんとあんまり仲が良かったらまずいんだよね。
ビレッタ先生が自重しろと言っていた。

だから・・・・・・

「冗談じゃないよ。さっさと部屋に帰ってよ。」

というはずだったのに、そのはずだったのに・・・。

「じ・・・じゃあ、どうぞ。」

と、言ってしまった。僕の馬鹿!せっかく苦労して機情メンバーを欺いてきたというのに。

でも兄さんは、そんな僕にお構い無しにさっさと僕のベットに上がりこみ・・・。
3秒後には安心しきった顔ですやすやと眠ってしまった。

こうなったら仕方ないよね。
そもそも僕のせいじゃないよね?

ひとつため息をついて僕もベットに入り込む。
隣り合わせた兄さんの規則正しい寝息だけが聞こえてくる。


・・・まあ、こんな日があってもきっといいんだ。

どうせ僕のこの部屋にカメラはないし、多分、破滅の日まではまだまだ遠い。
今から気を張り詰めすぎたらもたないかもしれない。

だから、今日のこの日は哀れな僕への神様からのプレゼント。
そう思うことにした。

隣で眠る人の体温が心地よくて僕もまもなく意識を手放した。
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