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2008年09月18日 (木) | 編集 |
今は昼休み。
人気もなく、カメラの死角にもなっているその場所まで来るとビレッタ先生はくるりと僕を振り返り、手で口元を押さえ、ブブッと笑った。

いきなり何!?
その反応。

「悪い、悪い。いやお前があまりにも可愛くて。」

可愛い?何が?
きょとんとしている僕を見てビレッタ先生はとうとうげらげら笑い出す。

「昨日、ぐっすり眠れたか?お前も3秒で眠ってしまったな。」

いたずらっぽく笑って僕を見る。

「!!」

ばれてる?

いや、僕のへやには監視カメラなどないはず。

「すまん、すまん、最近のお前、素の部分がすごく不安定だったからな。心配でついお前の部屋にも隠しカメラを仕掛けてしまった。」

「ちょ・・・それって越権行為ですよ!!」

「まあそういうな。もう大丈夫そうだから機材は全部外しておいたよ。安心するがいい。それに見ていたのはもちろん私だけだ。」

たとえそうだとしてもプライバシーを勝手に人に見られるってなんて居心地が悪いんだろう。
兄さんごめん。これと同じことしてて、本当にごめん。
僕は心の中で兄さんに謝った。

「さて、用件の方だが、先日出した規定を一部変更しようと思ってな。」

「変更?」

何?あの規定。これ以上厳しくなるの???


ちなみに規定というのは兄さんに対する態度の規定。

「お前の兄に対する態度は世間の尺度から言うと間違っている。ちなみに兄貴の方もまちがっている。これを参考にしろ。」

そう言って、兄弟も家族も知らない僕にビレッタ先生は箇条書きにまとめられた禁止事項をよこした。


1、兄弟はいい年して手なんかつながない。相合傘も致しかたないとき以外は禁止。小指を絡めての約束げんまんも禁止。 

2、おはようのキスも、お休みのキスもあの年ではしないので禁止。

3、髪の毛ぐらい自分で乾かせ。

4、食べ物を分け合うのはOKだが、「あ~ん。」は禁止。
  はっきり言って異常だ。

5、夜中までチェスをするのはかまわないが寝るときは自室で寝ろ。
  ついでに、先につぶれてしまったルルーシュの手を握って眠るなど言語道断。
  見張りについてた機情メンバー全員おもいっきり引いてたぞ。

6、抱きしめられそうになったらさっさと逃げろ。
  ひしっと抱きつき返すな。

7、眠れないからと言って子守唄なんてねだるな。
  そういう時は一人で羊の数を数えるのが世間の常識だ。

8、見詰め合うときは最低でも30センチはあけろ。
  顔が近すぎだ。

9、ケーキを作っているルルーシュに味見させてもらうのはいいが、指でたねを食べさせてもらうな。
  行儀が悪いことはしたくないと言ってちゃんと自分でスプーンで食え。

10、冗談でも兄貴のひざの上に抱かれたりするな。
   ルルーシュの妹は足が不自由だったからそういうことも許されたが、弟で五体満足なお前がやると、とてつもなく不気味だ。


以上、10項目。必ず守るべし!!!

と、紙には書いてあった。


ううっ。もうこういうことが当たり前になっていた僕には厳しい条件だったけれどしょうがない。
これも兄さんのため。
ひいては僕のため。
それにしても厳しい・・・。

それなのにまだ条件が増えるのか。


ため息をつく僕にビレッタ先生がにっと笑う。

「条件、緩めてやるよ。」

「え・・・ええ!?いいんですか?」

「昨日もそうだが、上手く演技できるようになったし、お前、賢くなったよ。少しぐらい緩めたってどうということはあるまい。
それにまあ、毎晩毎晩布団かぶって泣かれたんじゃ、私もつらいしな。」

「ちょ・・・。盗聴器もつけてたんですか。趣味が悪すぎます。」

「まあそういうな。心配なんだ私は。お前のことが。お前の暗殺者としての能力はここにいる誰よりも高い。でも、その心は誰よりももろい。

でもまあ、お前も迫真の演技が出来るようになったし、私もお前に協力してやる。
私からの命令という形で機情本部でお前を怒鳴りつけてやる。

『対象者は妹の代わりにお前を求めている。うっとおしくとも、もっと甘えて見せろ。』

とな。」

「・・・そうですね。それならちょっとぐらい兄さんに甘えても不自然じゃあなくなりますね。
でも、芝居は続けるんでしょ?
本気で甘えるのはカメラや盗聴器のないところにしたほうがいいですよね。」

「そう、賢いじゃないかロロ。やっとお前も腹芸が出来るようになったな。甘えてもいいけれど、奴らに隙は見せるな。うまく立ち回れ。真実と虚構を上手く使い分けろ。見破られたらお前の負けだ。」

「大丈夫です。僕は上手くやりますよ。よっぽどのイレギュラーでもない限りね。
まだまだ普通の人間とは感覚が違う所があるかもしれないけれど、僕はもう人形じゃない。
上手くやって見せます。」

ビレッタ先生は僕の言葉にうなずくと、優しく微笑んだ。
それからちょっと言いにくげにはにかんだ。

「その・・・甘えるのは全然かまわないけれど、危ない道に走るなよ?」

「は?」

危ない道って何の道?
・・・というか、僕は物心付いたときから暗殺者として危ない道を突き進んできたし、今は機情メンバーを騙してあざむき続けている。

ああ、暗殺人形に戻るなって事?

「大丈夫ですよ。僕は兄さんに『心』というものをもらって生まれなおしたんです。
だから、僕は大丈夫です。」

にっこり笑うとビレッタ先生は一瞬戸惑い、ああ、そうだなと目を細めた。

「・・・・・・そうか・・・。そうだな。]

お前にやった10の禁止項目。考えてみれば私が6,7歳ぐらいまで母さんと当たり前にやってたことだったな。そうたしか、弟とも。

[お前は本当の意味では生まれてまだ間もない。与えられる無条件の愛に手を伸ばして当然だ。
いっぱい可愛がってもらえ、ロロ。」

そういうとロロは本当に嬉しそうに微笑んだ。

そうとも。
たとえその幸せが期限付きのものだったとしても。
お前はせっかく人間として生まれたのだから。

幸せを求める心をとがめることは、神にだって出来ないのだから。





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