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クリスマス
2008年12月25日 (木) | 編集 |
注・今回はコメディではなくむしろ少し悲しい系です。
それでも良い方だけ読んでくださいね

最初はブラックサンタコメディを書こうと思っていたのですが・・・。

ちなみにブラックサンタ伝説は本当にあります。(去年話題になったからご存知の方も多いと思いますが









クリスマス。
ブリタニアでもメジャーなそのセレモニーは実は響団内でもあった。

でも、クリスマスを待ち望んでるギアス使いの子供はほぼいなかった。

何故なら、僕らの元にやってくるのは世間一般で言われているような優しいおじいさんのサンタクロースではなく、恐ろしいブラックサンタだからだ。

V.Vが言うには、ブラックサンタは悪い子の所にやってくる。

彼は良い子には少しのお菓子をあげるが、悪い子には石炭やジャガイモをプレゼントする。
それだけではない。

何と奴は寝静まった悪い子供のベッドの上や下に豚の臓物と血をまき散らすのだ。


さらには子供がすっぽり入る大袋を持って現れ、袋に子供を入れ連れ帰ってしまうときもある。

だから響団の子供達はクリスマスが近づくと震え上がるのだった。


実際、任務を度々失敗するような子供の元には臓物がまかれ、人殺しをためらうような役立たずな子供はブラックサンタに連れていかれたのか、その夜を境に居なくなってしまう。

僕は今でこそ優秀な暗殺者だが幼い頃にはやはり失敗する事もあり、そのたび恐怖に震えた。
今年こそは僕もブラックサンタに連れて行かれてしまう・・・。
そう思って子供心にゾッとした。

今ならブラックサンタの正体もわかるが、あの頃の恐怖は大きくなっても消えることは無かった。



・・・それなのに・・・。

「ロロ!もうすぐクリスマスだな。楽しみだな♪」

今年になってできた優しい兄が不吉千万な事を言う。
全然楽しみじゃないよ。
嫌いだよ。
クリスマスなんて。

「ロロはいい子だったから、きっとサンタさんからでっかいプレゼントをもらえるぞ!」

ニコニコと嬉しそうに言う兄の言葉に仕方なく目を伏せる。

全然いい子じゃないよ。
優しい兄さんを欺いて監視する、暗殺者の僕なのにサンタさんからプレゼントなんて貰えるわけ無いじゃないか。

もらえるとしたらブラックサンタからの不吉な贈り物だろう。
今ではさすがにサンタはEUのとある国の伝説より広まった架空の人物であると知っているが、それでもクリスマスは怖い。

悪い子の僕にプレゼントがあるとしたら確実に臓物だろうし、去年悪い子だった兄さんはブラックサンタにまたさらわれてしまうかもしれない。




サンタもブラックサンタも本当は存在しない。

でも、不吉な事はいくらでも起こる。



ブラックサンタこと、V.Vはきまぐれな上、変なイタズラが好きだからそのぐらいの事はやりそうだ。

神に祈る資格の無い僕は、神様に救いを求める事すら出来なくてため息をつく。
そうしてクリスマスが近づいてくる。





ブリタニアの学生達が行うクリスマス会は響団のものと違って大変賑やかで美しかった。
響団以外の場所でクリスマスを迎えるのは初めてだったから、僕は凄くビックリした。

飾り付けられたオーナメントがゆらゆらと揺れ、電飾が学園中をきらめかせる。
楽しげなクリスマスソングが途切れる事無く流れ、人々は寒さを忘れたかのように微笑みあう。

・・・なんという違いだろう。
響団で育った僕と、普通の家庭で育った奴ら。本当に、なんという違いだろう。

ぬくぬくと愛されて育っただけでも妬ましいのに、奴らは当たり前のような顔をして毎年こんな素敵なクリスマスを祝ってきたのだ。
そう、きっとナナリーも。

「ロロは今年はサンタさんにとうとう手紙を書かなかったな。」

兄さんが残念そうに言う。


「よしてよ。もう僕、そんな年じゃないよ。」


がっかりする兄さんの顔を見るのは辛いけど、穢れた僕にプレゼントを貰う資格は無いような気がして、いくら勧められてもとうとう手紙は書かなかった。





「ああ、雪だ・・・。」

生徒会のメンバーとする作業の手を止めて兄さんがつぶやいた。


生徒会室の大窓から見上げると確かに白いものがちらちらと見えた。

天気予報では雪は朝まで降り続け、『素晴らしいホワイトクリスマスになりそうです。』とキャスターが言っていた。

「きれいねぇ。」

シャーリーさんが感嘆の声を上げる。

舞うように降り積もる雪はクリスマスのきらびやかな夜に映え、柔らかな光を放っていた。
他のメンバーも作業の手を止めてしばしその雪に見入っていた。

僕には、僕以外の人たちこそ、雪よりきれいに見えた。



何だか無性に一人になりたくて、ミレイさんが兄さんに話しかけた隙にそっと部屋を抜け出し、屋外に出た。
ギアスを使ったから、きっと誰も僕に気がつかなかったはずだ。


しばらく歩くと楽しげな音楽も聞こえなくなり、ただ静寂だけが白い空間を満たしていた。

木々が高くそびえていたけど、そこには電飾も無く、とても寂しい場所だった。
でも、僕にはそういう場所こそ心が休まるのだ。

このままここに朝まで立っていたら、僕は雪に染まって真っ白になれるだろうか。
身体に染み付いたどろどろの血を消す事が出来るだろうか。

そんなバカな事をふと考えた。


多くの人々を殺めてきた事を僕は後悔していない。
今更許しを請う気もない。
だって僕はそうしなければ生きていけない無力な存在だった。

でも、あの綺麗な兄の前でだけは当たり前の子供でいたかった。
皆みたいにきれいでいたかった。


じっと空を睨んでいたら、かすかな足音が聞こえ、それはどんどん大きくなってきた。


「ロロ!!」


息せき切ってやってきたのはあの人。
全く血の繋がらない偽りの兄。

僕はそっとあの場を抜け出したのに、どうしてここがわかったの?



いや、・・・僕は彼がここに来るであろう事を知っていた。

何よりも誰よりも僕を大切にしてくれる彼はいつだって体力の無い身体で校舎中駆け回ってでも僕を必ず探してくれる。


「ロロ・・・どうしたんだ。こんな所に一人で。ああ、もう、こんなに冷えて。」

僕を抱きしめる兄の腕は温かい。
偽りの腕である事を忘れそうなほどに。


「兄さんが探しに来てくれるのを待ってたんだ。」

そう言うと単純な彼はにっこりと笑った。

「何だ。最近生徒会の方が忙しかったから拗ねてたのか?ごめんな。」

悪いのは勝手に抜け出した僕の方なのに、なぜかこういう時、兄さんはいつも僕に謝る。


「うん・・・・・・拗ねてたんだよ。」

そっとそう口に出してみる。


そう、僕は拗ねていた。

普通の人にとって当たり前の事が、自分にとってだけ当たり前で無かった事に。

本当はこの兄の愛さえナナリーの物だという事に。


「そうか。ロロを拗ねさしてしまうなんて、俺は悪い兄だな。じゃあ、これから学園を抜け出して二人だけでクリスマスを祝おうか。」

「だって・・・。生徒会はどうするの?いいよ別に。」

「良くないよ。」

兄さんは僕の髪にかかった雪をそっと払うと頬を包んでくれた。

「神様からもらった大事なお前をほったらかしにしたら、バチが当たるからな。」

おどけるように言う兄さんに心が冷える。

これが本当に僕に言ってくれた台詞だったらどんなにいいだろう。

でもそうではない事を僕はよく知っている。

兄さんが神様にもらったのはナナリーだよ。僕じゃない。


兄さんは去年ブリタニアに逆らった悪い子だったから、きれいなナナリーの変わりにブラックサンタに血まみれの臓物をもらったんだ。

姿は確かにナナリーに似ているかもしれない。
もしかしたら兄さんを呼ぶその声も少しは似ているのかもしれない。

でも、僕はナナリーじゃない。
罪に対して与えられる汚い臓物。

殺人しか知らない暗殺者。


もしそれを知る事になっても、それでも兄さんは僕がここに居る事を嬉しいと思ってくれるんだろうか。



ねえ、兄さん。

きれいじゃなくても好きでいてくれる?

本当は送られたのは臓物だったと知っても好きでいてくれる?



ねえ。

僕は大好きだよ。兄さんが。

大好きで大好きで、この世の全てより大事だよ。


僕は臓物かもしれないけど、それでもあなたが大好きなんだ。







どうか、どうか、このまま雪が降り続けて僕の体を白く染めてくれますように・・・・・・・。

どうか、どうか、僕がきれいと兄さんが信じ続けてくれますように・・・。

どうか、どうか、この箱庭が壊れませんように。



どうか・・・。






               Fin



この話は湖面の番外編のような気持ちで書きましたので、もちろんその後ロロは幸せになりますとも!!!!
翌朝ルルサンタによるでっかいちょっと的外れなプレゼントが枕元に置かれていると思います。
拍手お礼文で続きを書こうと思ったけど、自動投稿分だけで精一杯で間に合いませんでした

時期的には今連載している話よりかなり前になりますので、この時のロロは兄さんの前から行方不明になったらどんな目にあうかまだ知りません。

校舎中駆け回ってもロロを発見できなかった場合、ロロを探せ!!コースに突入です


さて、ちょっとしんみりしてしまったので、『黒猫皇子と白狼騎士」』なぎーの様のところにクリスマスの幸せフリー絵がありましたのでありがたくお借りしました♪

ありがとうございます~!!!


kurisumasu_convert_20081219152012.jpg




こちらの幸せクリスマスで口直ししてください♪
いつかこんなにきれいに描けるようになりたいです(←身の程知らずでごめんなさい)


では皆さん、良いお年を~☆

次回は年賀状っぽいイラストを1月1日にUPします。
10年以上ぶりに描くので下手さに引かないように!!

またちょっとずつ修行していきます~



この記事は自動投稿です。
コメントいただいた方には1月6日以降にお返事しますね★
コメント
この記事へのコメント
リサーチに必死! ルルサンタ
こんばんわ
クリスマスにルルはロロの欲しいものをリサーチしようと頑張ったけど、兄の心弟知らずでサンタに手紙を書かなかったロロ。
ルルはどんなプレゼントを用意したのでしょうか。
ブラックサンタに怯える昔のロロはさぞや可愛かっただろうと想像します。
ルルサンタが何をあげたのかすごく気になります。
プレゼントが兄弟お揃いの服とかだったら的外れすぎて笑える・・・・・。
でもロロは普通とは違うのですごく喜ぶ事でしょう。
普通の兄弟は喜ばないけど・・・・・。
2008/12/25(Thu) 21:31 | URL  | 浅田リン #-[ 編集]
Re: リサーチに必死! ルルサンタ
こんにちわ♪
いない間にもコメント下さってありがとうございます!!!


> ブラックサンタに怯える昔のロロはさぞや可愛かっただろうと想像します。

うちの子供たちも去年テレビでブラックサンタをを見ておびえていました。
「悪い事したらブラックサンタが来るよ~!」と脅しに使っています。
とても便利です♪←鬼母ですみませんv-356

> ルルサンタが何をあげたのかすごく気になります。
> プレゼントが兄弟お揃いの服とかだったら的外れすぎて笑える・・・・・。
> でもロロは普通とは違うのですごく喜ぶ事でしょう。

お揃いの服・・・ありえすぎです。
そう言えばイラストとかでは何気におそろいっぽいの着てることが何度かあったけど、絶対ルルからのプレゼントですよね!!!

> 普通の兄弟は喜ばないけど・・・・・。

え・・・v-12

と青ざめるのが普通です。
双子とかだったらわかるけど、仲の良い兄弟であってもしてるの見たこと無いな~?
私も小さい頃ならともかく中学生になったら服の趣味も明らかに違ったし、お揃いなんて着たこと無いですね~v-356
2009/01/07(Wed) 11:36 | URL  | U.T #-[ 編集]
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