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あの方に誓う(その手のひらに番外編)
2009年05月19日 (火) | 編集 |
注:ジェレミア視点です。





斑鳩内に監禁されたアーニャの様子を見に行ったのは、ほんの気まぐれだった。
彼女はシュナイゼルに従って此処に来て、そして無抵抗のまま捕らえられたのだという。

見張りの兵から鍵を受け取り、一人入って目の前の少女を見る。

まだ14歳の幼さの残る少女だ。
実物はTVなどで見るより更に幼い。


彼女は昨年ラウンズの1員となり、幼いともいえるその年齢に相応しからぬ軍功をあげていた。

報道などで見る彼女のあの動き。気のせいでなければ彼女の戦闘パターンはマリアンヌ様にとてもよく似ている。

もう少し年齢が上なら故意に真似たのかとも思えるが、マリアンヌ様が亡くなられた当時、彼女はホンの子供だったはず。
マリアンヌ妃がラウンズとして戦っていたのはその更に前の話だ。

一体何故なのだろう?会った事は無いが気になる存在だった。


拘束衣を着せられたナイトオブシックスは放心したようにぼーっと座っていた。
彼女は今何を思っているのだろう。

「・・・ジェレミア?」

ふと視線を合わせた彼女が私の名を呼んだ。
変装しているのに。

「・・・ジェレミア・・・よね?懐かしいわ。」

え・・・?

懐かしい?
確か会った事は無いはずだ。

「老けちゃったわね。昔はまだ子供ぽいところもあったのに。苦労したのかしら?」

子供っぽい?
子供なのはお前の方だろう。

「・・・私、私よ!わからないの!?」

その声には少し苛立ちが混ざっている。


「ほら、私の事、『女神様のようです』なんて言ってくれてたじゃないの。」

げ。

この少女に向けてではなかったが、一度だけ私はそのような事を言った事がある。

憧れのマリアンヌ様の警備主任として初めてお会いした私は、舞い上がってしまい、そんな事を言ったのだ。

彼女は私の憧れだった。
ブロマイドは全て買ったし、雑誌も本もマリアンヌ様が載っているものは全て買って切り抜いた。

間近に見る彼女は輝いていて、美しくて、あまりにもまぶしかった。
しかしマリアンヌ様しか知らないはずの事を何故この少女が・・・。

「ねえ、あの時はごめんね。初任務だったのに失敗させちゃって。」

少女は続ける。

「まさか死んじゃうなんて私も思ってなかったの。私とした事が大失敗だったわ。」

「・・・あの・・・何を?」

怪訝な顔で問う私に少女がイタズラっぽく微笑む。

「あら?意外と鈍いわねぇ。堅物なところ、変わってないみたい。
ギアスの力を手に入れたみたいだから察してくれてるかと思ったのに。
私よ、わ・た・し。マリアンヌよ。」

「・・・は?」

「・・・実はねぇ・・・。」

少女はとうとうと語りだした。

「・・・ってわけなのよ。」

「は・・はぁ・・・。」

この少女がマリアンヌ様?
信じがたいが、確かにこの口調はマリアンヌ様のもの。
そしてアーニャでは知りえないことをその口は語った。

「ねぇ、ちょっと頼まれてくれない?」

「え・・・?」

「私がこの子にかけたギアス、解除して欲しいの。」

「そんな事をしたらマリアンヌ様は・・・!!」

「う~ん。今度こそ、死んじゃうわねぇ。でもいいの。
私さ、結構酷い母親で、ルルーシュやナナリーの事、犠牲にしてもしょうがないと思っていた。
実際、犠牲にしたかな?
だって、日本の遺跡を手に入れなくちゃいけなかったもの。」

彼女は陛下と企てた恐るべき計画を私に語った。

「酷い女だと思ったでしょ?うん。それでいい。実際そうだもの。
でも私、陛下の計画に夢を見ちゃったの。
会いたい人・・・いっぱいいたんだぁ・・・。
父さんも母さんも、たくさん居た兄弟親友もみんな死んじゃったし、ラウンズになっても后妃になっても喜んでくれる人もいなかった。
私は庶出だものね。いるわけないわよ。
貴族達は嘘つきばっかり。
擦り寄ってくる奴も私を利用しようとする奴ばっかり。
息子も娘も何度も何度も命を狙われた。

ラウンズになったら・・・后妃になったら・・・母親になったら何か変わると思ってた。
でも結局何も変わらない。
・・・こういうのは違うって思っちゃった。
この世界を変えたいって思ったの。
一度この世界を壊すなんて、普通の人なら頭がいかれてるって思うかもしれないけど、私は本気だった。
優しい世界を作りたかったの。
陛下は私の共犯者として素晴らしかったわ。」

少女はうっとりと微笑む。

「最初はルルーシュを取り込んでV.Vも取り返すつもりでここに乗り込んできたの。
C.Cもいまだに私に甘いし出来ると思ってた。
・・・でもさ、会議に出て、成長したあの子を直接見て思ったんだ・・・。
もう私の出る幕じゃないかもって。
あのお利口さんの優等生がルルーシュを追い詰めた時、皆あの子を守ったわ。
・・・愛されているのねぇ。
そしてあの子は、心の力を大事にしてるのね・・・。」

マリアンヌ様は、ふう・・・と息を吐いた後、ちょっと嬉しそうに瞬いた。

「ナナリーもよ。
目も足も不自由だからお人形さんみたいに大人しく生きているのかと思っていたら、頑張っているじゃない。
さすが私の娘ね。
・・・って言いたいところだけど、私が育てなかったから、あの子は真っ直ぐ愛されて強くなったんだと思う。
だから私はもう要らないの。元々死んだはずの人間だしね。
生きてる人間は明日に向かって進む。
死者はただ見守る。それでいいんじゃないかしら?
私が取り付いたこの子にも気の毒しちゃった。
だからもう開放してあげたいの。ね。ジェレミア、お願い。」

にっこりと微笑むマリアンヌ様は、あの時のマリアンヌ様だった。
まぶしいほどに輝く、優しい瞳の美しい方。

私は迷いながらもキャンセラーをかけた。
彼女の覚悟に応える事が忠義を果たす事なのだと思ったから。

最後の時、マリアンヌ様はふわっと笑った。
あでやかで、それでいて慈愛を浮かべて。

『ありがとう。』

そんな声が聞こえた気がした。



マリアンヌ様は決して私が考えていたような聖女ではなかった。
彼女が語った計画は恐るべきものだった。
息子、娘に対する仕打ちも。

それでも私はマリアンヌ様を恨めない。
あの方はあの方なりに、より良い明日を手に入れるために力の限りあがいたのだ。


・・・どうぞ安心してお眠り下さい。
ルルーシュ様もナナリー様もこの私が守ります。

貴方が気にしていたこの少女も。


もう、心を削らなくても良いのです。


そしていつか伝えましょう。
貴方が最後まで愛しいと思っていたルルーシュ様とナナリー様に。

『マリアンヌ様はとても素晴らしい方でした。』

『あなた方の事をいつも思っておられました。』

『ルルーシュ様とナナリー様の幸せこそが、あの方の最も望まれたものなのです。』

・・・と。


その言葉は半分本当で半分は嘘だ。

しかし神はきっと、優しい嘘をつかせるためにこの世に嘘を作り出したのだろう。
これでいいのだ。

優しい世界はすぐそこに・・・・・・・。


    fin


死後もジェレミア、ルルーシュ、コーネリアを惹きつけたマリアンヌ様。
こんな方だったらなぁ・・・と思いながら書きました。
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